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魔王の花嫁  作者: yaasan


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59/106

お困りですか?

「その器に中身を注いだのならば、神をも凌ぐ巨大な力を手に入れられる……」

「そんな夢みたいな話は俄かに信じられないですね。それで中身とは? 手に入れられる力とは?」


 マルネロの問いかけにヴェリアスは首を左右に振った。


「分からん。それにこれはあくまでも噂での話だ。私は騎士団長を解任された身なのでな。真実は申し訳ないが分からんのだ……」


 ヴェリアスがそこまで言った時、エリンが唐突に叫んだ。


「第百夫人!」

「分かってる! ダース、下がって」


 マルネロとエリンは立ち上がり、後ろへと飛び退いた。ダースも要領を得ないようだったが、即座にマルネロとエリンに続く。


 マルネロは首筋がぞくりとするのを感じた。次の瞬間、マルネロの視界にあるヴェリアスの首から上がごろりと床に落ちた。

 残された首から勢いよく鮮血が噴き出す。


「き、騎士団長!」


 駆け寄ろうとするダースをマルネロが制した。


「駄目よ、ダース!」


 直後に首から上がないヴェリアスの背後にある空間が揺らいで、白髪の男が姿を見せた。歳は三十歳半ばぐらいであろうか。白髪の男は無言でマルネロたちに赤い瞳を向ける。


「あなた、魔人ね?」


 エリンが呟くように言う。


「そう言う貴様は天使か? それに魔族に人族か。奇妙な取り合わせだな」

「貴様、何故ヴェリアス様を殺した?」


 ダースの問いかけに男は軽く鼻を鳴らしてみせた。


「こいつは少し喋り過ぎだ……」

「貴様!」


 長剣に手をかけたダースをマルネロが押し留める。


「あなた、何者なのかしら。ナサニエルとか言う魔人の仲間?」


 マルネロがそう問いかけた。この男、ナサニエルと同じく形容し難い嫌な不気味な雰囲気を持っていた。あえて言えば危険な雰囲気なのだろうか。


「ナサニエル? ああ、あの魔族の王とやらに殺された奴か。あれは単なる道化だ」

「道化? どういうことかしら」


 再びマルネロが問いかけたが男は小首を傾げて見せた。


「説明するつもりはない。お前らは死ね……」

「エリン!」

「分かってるわよ!」


 マルネロの言葉にエリンが叫び返す。


 どうして魔人はどれもこれも短絡的なのだろうかとマルネロは思う。ナサニエルたちもそうだったが、魔族とは話をするつもりは少しもないのだろうか。


 エリンが展開した防御魔法に遮られて、男が発した魔法が霧散する。


「ふん、天使がいると厄介だな。おい、そこの天使。お前はどこまで知っている? 知らないのであれば天上に帰って、ミネルとやらに訊いてこい」

「ミネル……天使長様?」


 エリンが男の言葉に訝しげな顔をする。


「ちょっとエリン、変な顔してないで、何かできないの? あんた、いつも防御魔法ばかりじゃない。もっと凄い攻撃魔法とかないわけ?」


 エリンに時間を稼いでもらって、その間に強力な魔法を発動しようとマルネロは考えたのだった。

 マルネロの自分を非難する言葉を聞いてエリンの血相が変わる。


「し、失礼ね。できてよ! こ、光弾」


 エリンの差し出された両手から子供の拳ぐらいの光る球体が生み出される。

 そして、その球体はぶるっと震えると魔人の男に向かって動き出す。が……。


「はあ? なにそれ。届く前にへろへろへろって落ちちゃったじゃない。消えちゃったじゃない!」

「ふ、ふん! 消滅以外の攻撃魔法は得意じゃなくってよ」


 エリンが胸を反らせてそう高らかに宣言した。


「はあ? じゃあ騎士団長でもさっさと生き返らせなさいよ!」

「蘇生魔法も得意じゃなくってよ! 死んだ直後に蘇生させないと、生き返らなくってよ!」

「は、はあ? 駄目じゃない! 何もできないじゃない。あんた、何でついてきたのよ!」

「し、知らないわよ! スタシアナ姉様が行けって言うから……」


 ……何か頭が痛い。


 防御以外でエリンがほぼ使えないとなれば、ダースに時間稼ぎの攻撃をしてもらうか。だが、相手の実力がわからない以上、それは危険ではないかとマルネロは思う。


 少なくともあの魔人は空間転移と同時に、他人の首を容易に落とせるぐらいの実力があるのだ。それにこの男が纏う嫌な雰囲気のこともある。


 不味いわねとマルネロは思う。逃げ出す方法を考えた方がいいかもしれない。マルネロがそう思った時だった。


 左手の空間に歪みが生じた。魔人の新手かと思いきや黒い頭巾を被った骸骨が現れる。


「あれえ、マルネロさん、お困りですか?」


 トルネオがいつもの調子で訊いてくる。緊迫感の欠片もない感じだ。

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