表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の花嫁  作者: yaasan


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/106

帝都リドルへの潜入

 「ダース卿、危険です!」


 玉座の前で珍しくアストリアが声を荒げていた。無理もないとクアトロも思う。ベラージ帝国の帝都リドルに潜入して動向を探るとダースが言い出したのだった。


「大丈夫です。変装をすれば私だとそうそう分かるものではありません」

「変装が分かる、分からないといった話をしてるのではありません。ダース卿だともし分かったら危険だと言っているのです」


 アストリアの言い分に分があるのだが、ダースの気持ちも分からないではない。こちらとしては情報が圧倒的に不足しているのだ。


 なぜベラージ帝国がアストリアを欲しているのか。それが分かれば対処の仕方もあるかも知れない。何もベラージ帝国が兵を挙げて攻めてくるのをただ待っている必要はないのだ。


「騎士団長のヴェリアス様とは昔からから懇意にして頂いております。ヴェリアス様に会うことができれば……」

「あれ? 騎士団長ってあの時、クアトロが燃やしたんじゃなかった?」


 マルネロの言葉にダースが絶句する。


「い、いや、確かに燃やしたがあの後、スタシアナが復活させたはずだぞ。な、スタシアナ?」


 クアトロが慌ててそう言ってスタシアナの顔を見る。そんなクアトロを見てスタシアナがこてっと首を傾げた。


「ぼくはよく分からないですよ。あの時は沢山の人族を一度に復活させましたからー。でも、多分大丈夫ですよー」

「ほ、ほらな。間違いなく復活してるぞ」


 スタシアナから確約を得られていないのに、クアトロは取り敢えずそう言い張ってみる。

 そんなクアトロの言葉にマルネロが懐疑的な顔をする。


「ちょっと大丈夫? あれだけの人族がいたんだから、復活漏れだってあるんじゃないの? スタシアナは、ぼーっとしてるんだから」

「ふえ……ぼくは、ぼーっとなんてしてないです。大体、マルネロが楽しそうに爆炎魔法をあんなに使うから、沢山の人族が死んだんですよー。生き返らせるのが大変だったんですよー」

「はあ? 何ちゃらって言う騎士団長を燃やしたのはクアトロじゃない! それに、楽しそうになんてしてないわよ。スタシアナだって、ふえ、ふえ言いながら消滅ーってやってたじゃない!」

「ふえー。ふえふえなんてぼく、してないですもん」


 スタシアナが両手をばたばたとする。


「皆さん、静かにしてください! そんなことを言ってるんじゃないんです。ダースが帝都に行くのが危険だと言ってるんです!」


 滅多に怒らないアストリアが怒る姿を見て、皆が一斉にごめんなさいと頭を下げる。


「ま、まあ、落ち着け、アストリア。ベラージ帝国の動きを知りたいことは事実だ。一方でダース一人だと危険だというのも分かる。となると……」


 ダースの同行者ということになるのだが……。

自分が行ければよいのだがと思うクアトロだったが、アストリアをこの状況で一人にしてはおけない。ましてや連れて行くわけにはいかないので、自分の同行は流石に無理だろうとクアトロは思う。


 ならば……エネギオス。

 ないな。筋肉ゴリラすぎる。


 ……ヴァンエディオ。

 ないな。魔人すぎる。


 ……トルネオ。

 一番ないな。骸骨すぎる。


 となると……。


「マルネロ、スタシアナ、一緒に言ってくれ」

「……まあ、仕方ないわね。こういう時に頼りになるのは私ぐらいだもんね」


 マルネロが大いに納得したように頷いている。しかも何故か得意げだ。単なる消去法だったのだが、後が面倒なのでクアトロは黙っておくことにする。


「えー、ぼくは嫌ですよ。クアトロは行かないんですよね?」


 この言葉、何か最近どこかで聞いたことがある気がするとクアトロは思う。


「ま、まあ俺はアストリアを一人にはしておけないからな。連れて行くわけにもいかないし、今回は残念だが留守番だ」

「じゃあぼくも留守番するんですよー。ぼくはクアトロといつも一緒なんですよー」

「いや、流石にダースとマルネロの二人では不安が……」

「そうだ! エリンが行けばいいんです」


 ああ、やはりこの下りかとクアトロは思う。


「えー? 嫌ですよ。また第百夫人と一緒になんて」


 エリンが当然といった感じで不満の声を上げる。


「エリン、いい加減にその呼び名は何とかならないのかしら?」


 マルネロがエリンを睨みつけながら片頬を引き攣らせて言う。


「えっと……では、残念おっぱいかしら?」


 エリンが人差し指を顎に当てて、こてっと首を傾げる。美少女だけにそれが絵になってしまうのだが、マルネロにとっては腹立たしいだけのようだった。


「だから、悪口をやめなさいって言ってるんでしょう!」

「いやあ! 逆ぎれの爆乳がぶち切れたのー」


 エリンが血相を変えてとてとてと走って逃げて行く。


「待ちなさい、エリン。あんたはいつもいつも!」


 マルネロも即座にそれを追いかける。


「ということで、マルネロとエリンで決定なのー」


 エリンがいなくなったところでスタシアナが無慈悲にも宣言する。


「そ、そうか。エリンは少しも同意してなかったが……」


 クアトロとしてはエリンが少しだけ可哀そうになってくる。


「まあ、クアトロ様、人選としては妥当でしょう。彼女たちがいれば大丈夫かと」


ヴァンエディオが一連の騒動があったからなのだろう。溜息をつきながら言う。


「ろりろり姫、俺も問題はないと思うぞ。心配するのは分かるが、ベラージ帝国の内情が分かるのであれば知りたい。それで打つ手も出てくるかもしれないからな」


 エネギオスもそう言ってアストリアを説得する。


「……分かりました。皆さんがそう言うのであれば。でもダース卿、決して無理はしないで下さいね」


 不承不承といった感じでアストリアがそう言うと、ダースが無言で頷いた。


 こうしてダース、マルネロ、エリンのベラージ帝国帝都リドルへの潜入が決まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ