魔王になりたくない
私はしがない女子大生。給料のいい所に就職し安定した生活を送りお母さんに楽をさせてあげたかった。
なのに、顔を見たことも無い父親の後釜、しかも魔王になるため呼び出される(異世界)とか、ありえないにも程がある。
文句は色々言いたいが、私を召喚するために前魔王の身体を触媒につかうサイコパス家臣にそんなこと言えない。
殺されたら元も子もないからな…どうしたものか。
慎重に話をしないとな。
「魂が魔族と言っても、今まで人間として生きてきましたし、魔王として人間コロスとか無理ですよ?
そもそも魔王って世襲制なんですか?強い人が魔王で良くないです?」
最もらしいことをいい、説得するプランでいこう。
「ヴァンシュタイン様が魔王の初代です。それまではみな魔族は好きに生きておりましたが、討伐されたり、契約により縛られ隷属する者も増え、魔族が劣勢になったため、ヴァンシュタイン様は魔族を統一し魔王になられたのです。
強大な力を持ちながらも、頭もキレる方でした」
「次に強い人じゃダメなんですか?それにえーと…」
この人の名前聞いてないな
「私のことはジェイとお呼びください」
「あージェイさんじゃダメなんです?私より魔王らしいと思うんですけど、というか私である必要性が感じられないというか…」
仮に、魔法が使えたりする世界で私も使えるとしてもやり方なんて知らないし、力でも私の様な小娘が力でこの人をどうにか出来るようには思えない。
「そうですね。潜在能力的には貴女様の方が上でも、私でも赤子の手をひねるように殺せるでしょう。
しかし、その思考力。他の魔族にはない考える力が貴女様にはおありだ。
一言でいえば魔族は基本的に脳筋なんです。」
脳筋…もしや言葉でやり込めるか????
でも暴力で従わせられたらやだなぁ
ていうかこの人明らかに知的です。みたいな佇まいだけど脳筋なのか?
改めてジェイと名乗る宰相(仮)をまじまじみる。見た目は20後半から30代半ばの男性。血の気の失せたような青白い肌に銀髪(白髪か?)黒を基準とした服を着ている。
"基本的に脳筋"だから、例外もいるだろう…
多分この人は例外な気がする。
「脳筋が多いって…ジェイさんはそう見えませんけど?
何故私を魔王に据えたいんですか?私で無いとダメな理由を完
簡潔に教えてください。」
「…それはヴァンシュタイン様及び、貴女の外見が自分の好みだからです。」
「…え?」
「私はヴァンシュタイン様の執事。ヴァンシュタイン様以のような主などそうそういないでしょう。見た目が良くても脳筋の下につくなど論外。
ならばヴァンシュタイン様の娘である貴女様を魔王に据えた方が良い。
その点貴女様はヴァンシュタイン様の面影もあり、冷静。潜在能力的にも申し分ない。貴女様しかありえないのです」
……源氏物語的な。理想の魔王を作ろうってか。
「別に執事辞めればいいんじゃ…」
「魔族にも色々あり、適性というものもあるのです。
大丈夫です。私が立派な魔王なれるよう力添え致しますので。」
全然だいじょばない。