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残骸
彼がバイトに行ってから、部屋着のままずっとベッドにいた。音楽の動画を観たり、ゲーム実況の冒頭だけ観てはやめて、少しお腹が空いたりなんかして、ずっとベッドにいた。
天井の真っ白な電気に手を透かすと、珍しく濃いピンクに塗ったマニキュアがところどころ剥がれていた。完璧な女にはなれないだとか、そんなことを思った。そういえば、抱かれかけたせいでずっとキャミソールのままだった。今の私はまるで女の残骸だった。
そういった残りかすはかき集めて、もう一度料理して、バイトから帰ってきた彼に会わせてやりたいと思う。けれど現実はそうも上手くいかなくて、多分実際に彼に会うのはお風呂上がりの化粧っ気すらない私と、スマホか、スイッチか、そのあたりだ。
それでも彼はきっとただいま、と笑う。