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茶色

ありがちな顔だな、と目の前の友人を見ながら唯衣は相槌を打っていた。中身のない話ができるようになったらそれを社交性と呼ぶのだと、古い友人に言われたのを思い出す。


茶色い髪に茶色いマスカラ、服すら見たことあるようないでたちで、彼女は何を考えながら生きているのだろう、と思う。学食のメニューは特段美味しいわけでもないが、唯衣は嫌いじゃなかった。



「こんなに食べきれない…」

「ほんとに少食だね」

「いまダイエットしてるの」


小さな違和感は感じないようになってきた。本気で話すことを彼女は望んでいないのだ。


「そっかぁ、私も始めようかな。最近ぷにぷにで。特にこの辺!」


ふふ、と笑う友人を確認してから、唯衣は何かに落胆する。こんなご機嫌とりを社交性と呼ぶのなら一生要らないわ、と思いそうになって掻き消した。大人はいつもこんなことをしているのだろう。



手を振って友人と別れる。今日も乗り切れた、と唯衣は密かに安堵していた。こんな友人でも隣にいるべきなのか、それとも1人で過ごして後ろ指を差されるべきなのか、自転車のペダルを回しながら考える。


大学生とは幼くて大人の練習で、つくづく厄介な職業だ。

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