着いたよ
改札の外の柱の前にいるよ。からずっと止まったLINEを見るのが好きだ。
普段は1日に何度かのやりとりと、1週間に2回ぐらいの着信履歴だけが連なっていく。それなのにここ数日は全く動かない。
慣れない土地はスーパーとコンビニの場所だけ覚えた。大きな駅に着く道を私はまだ知らない。小さなスーパーは家を出て、2回曲がった先だった。味が濃いものが好きな彼を心配したりしながら、野菜とか肉とか、それと私が好きな豆腐をカゴに入れる。
私はコーラが好きではない。炭酸も飲めなければ、あの甘い独特な味が好きではない。ゆえにコーラを飲んだ彼の口も好きではないので、よく横で文句を言っていた。それを気にしてか、健康を気にしてか、彼は別な炭酸飲料を飲むことにしていた。今日は遅くなるらしい。私はコーラを一本だけカゴに入れて、揺らさないように家に帰った。
適当に炒め物を作って、ご飯の残りを確認する。もりもり食べる彼を想像して、今あるのをとりあえず冷凍することにした。新しいご飯を「急速」でセットする。
そうして私は今日も、仕事から帰ってくる彼を、お風呂に入って寝顔を作って待っている。