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第九章:第185・186回国会

2013年10月15日。

第185回臨時国会が召集された。

今国会で次年度に実行される各種政策についての論戦が行われる。

政府の打ち出した方針は主に7点。


1.保護責任者遺棄に関する刑法218条一部改正

2.外国人観光客の受け入れ促進に関する施策

3.人手不足解消に向けた規制緩和

4.代替エネルギーの導入促進

5.英語教育の推進

6.フードロス削減に向けた取り組み

7.感染症への防疫体制強化



1.保護責任者遺棄に関する刑法218条一部改正


全国の小・中学校、および高等学校に通う全ての学生に対して、沖縄県那覇市で試験導入された通知機能付きGPS端末を貸与、校内・主要通学路における防犯カメラの設置・増設を行い、民間の警備会社によるいじめの遠隔監視、聞き取り調査を実施する。

いじめが発覚、認定された場合に第一段階として加害者に通達、改善されない場合には担任教員および保護者に通達、なお改善されない場合は学校長の権限により加害者を退学処分とする。

また、本人からの通知により家庭内での虐待が発覚した場合には、各自治体が認定するホストファミリーが一時保護、保護者との間に児童相談所職員が入り虐待の解消に向けた指導・監察を行う。解消に至らない場合には本人の希望等を最大限尊重する形で成年となるまで国としての各種生活を保障する。

0~5歳の未就学児については、月1回かかりつけ医療機関への検診を義務化、担当医による不審な外傷などのチェックやヒアリングを実施、疑わしい事例がある場合には児童相談所職員による経過観察対象とする。1ヶ月以内に検診を行わない保護者には担当医療機関よる督促および児童相談所への報告義務を課し、2か月検診のない場合には同じく児童相談所職員による訪問調査、拒否が1か月以上継続された場合には警察立ち会いのもと児童の一時保護措置を実施。検診費用は全て公費負担とする。

これらを2014年4月1日施行とし、端末の配布は5月1日以降順次実施する。


2.外国人観光客の受け入れ促進に関する施策


9月に2020年夏季オリンピックの東京開催が決定したことを受け、外国人観光客の受け入れ促進について、以下の施策が示された。


・外国人観光客専用フリーパスの発行

10・20・30日間有効の新幹線・有料特急を除く公共交通機関の共通フリーパスの発行、高速道路についても全国の高速・有料道路で利用できる共通フリーパスを同様に発行。


・宿泊場所の拡充

キャンプ場や道の駅の駐車場などで大型のキャンピングカーでも長期滞在できる場所を新設・増設する場合の助成、一般住宅における宿泊を可能にするための住宅宿泊事業法を整備。


・入湯税の免除、お通しの説明要請

外国人観光客に限り入湯税を免税とする、また飲食店でトラブルの原因となる「お通し」について事前説明による承諾、または提供の自粛を業界団体に要請する。


・出国税の導入

日本国民も含め、日本より出国する際の出国税を導入し、Wi-Fiなどの環境整備・維持財源とする。


3.人手不足解消に向けた規制緩和


医療・福祉分野で就労可能な「外国人介助士」資格を新設。読み書きなど障壁の高い筆記試験ではなく、日本語による日常会話能力および実習による認定資格とし、食事の提供、シーツ交換、清掃、排泄補助など看護師・介護士の補助的業務を担う人材確保を目指し、現場の負担軽減を図る。

あわせて「農林水産技能者」「土木・建設技能者」制度を設置し、日本語による日常会話能力と3か月間の研修修了後は、同一業界内での就労・転職を許可する。

ただし、これら全ての対象者は専用アプリによる位置情報の監視を受けるほか、1ヶ月に1回の電話による在籍・所在確認義務を課し、違反者および2か月以上の失職者は国外強制退去処分とする。

あわせて、対象者の地位を確保するため、日本国民と同様の最低賃金を適用し、「安価な労働力」としての乱用を防止する。

本制度下において10年間従事したものは本人が希望すれば日本国籍取得要件の緩和措置が適用される。


4.代替エネルギーの導入促進


太陽光・風力・地熱などの自然エネルギーによる発電を推進、太陽光プラス地熱など最低2系統による電力供給網を全国の市区町村単位で整備、従来の電力と併用しながら「スモールエリア・スモールエナジー」を10年間で実現し、大規模ブラックアウトの発生阻止を目指すほか、海底に眠るメタンハイドレード、メタンプルームの活用に向けた調査・研究を促進する。


5.英語教育の推進


2015年度より、小学校から高等学校まで会話に特化した英語教育カリキュラムを導入、「外国語教育技能者」を農林水産技能者と同様に設置し、実用的な英会話習得を図る。


6.フードロス削減に向けた取り組み


世界における難民・貧困者の食糧不足を救うべく、農業・漁業従事者で発生する規格外の農産物や魚介類を農協・漁協を通じて回収するシステムを構築、全国の刑務所において長期・常温保存が可能な食品と有機肥料を製造、肥料は発展途上国に安価で販売し、その収益で運営できるビジネスモデルを第三セクターとして事業化。食品については、ユニセフ、国境なき医師団、各国NPO法人などを通じて全世界に無償で提供する。

将来的には不要木材も回収し燃料ペレットの製造、飲食業界から発生する廃棄物を活用した肥料の製造も行う計画になっている。


7.感染症への防疫体制強化


SARS、MERS、新型インフルエンザなど感染症への対策として2012年4月に成立した新型インフルエンザ特別措置法を受け、発生時に防衛相指揮のもと自衛隊が中心となる防疫体制を確立させ、大湊・横須賀・舞鶴・呉・佐世保にある海上自衛隊の各整備区に中古の大型クルーズ船を改造した「病院船」をそれぞれ2隻ずつ段階的に配備する。また東日本大震災発生時の教訓から医療用マスクや防護服などの物資をフードロス対策同様、刑務所で製造させるほか、民間企業への助成も含め国内での製造を拡充、さらに遺伝子検査用キット・機器を全国の保健所・医大・陸上自衛隊駐屯地に整備し、1日あたり全国で10万人の検査を可能にする体制に引き上げる方針である。



これだけの方針を一度に打ち出したかなめだったが、当然のことながら野党から様々な反対意見が飛び出す。

マスコミにおいても子供や保護者の人権やプライバシー、外国人不法滞在者の増加懸念、受刑者の人権保護、そして防衛関連予算の増額について様々な報道がなされた。

1についてのみ、採決がなされ衆参両院で可決承認、2以降は年明けの186回通常国会で継続審議となったが、野党の一部反対を押し切る形で2014年3月20日、これら全てを盛り込んだ112兆円の一般会計予算を成立させた。


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