加速する物語
「ええ?」
スザクは驚いていると同時にとうしていいかわからなかった。九尾が去ったあとは炎と炭化した地面だけが残っていた。これが四獣に匹敵する魔物の力であるともはや疑いようはなかった。
「白滝ー。今はどうなってるダンジョンの中?」
「主よ。もはや聞くまでもなかろう。」
「だよね。」
「うん?なんか雰囲気が変わったぞ。親父?」
「え?」
「あ、扉よ!とりあえず外に出ましょ。」
アーノルド一家は外に出た。
「うん?特に、」
「いやよく見てよ。普通に被害出てるじゃん。」
外の様子は家は潰れ時折犠牲になった狐人が見えた。しかし、女や子供の姿はなくオークたちの姿もなかった。
「なんか焦げてね?」
「ほんとだ。」
そこに
「おい。どういうことだ?あれだけいたオークたちが一匹も。まさかお前たちが?」
降りてきたのは翼が生えた知性のある魔物だった。
「ああ悪魔か?」
「あれが?あの絵本にしか出てこなかった。」
「へえー俺も悪魔は初めて見たな。よく知ってるなジョージ。さすがは俺の息子だ。」
「もっと褒めてくれ。親父。」
ワイワイ騒ぐ家族に。
「お前ら少し黙れ。これはお前らがやったのかと聞いている。」
「いや全然俺らもよくわからん。あ、それよりもメヒアっていう悪魔知ってる?」
「少しは黙れ。うん?今ルリアって言ったか?」
「その反応だとやっぱり支配者になってるか?」
「我々の女王を何故知っている?それは機密事項のはずだぞ!」
「知り合いだからとしか言えないなー。」
「お前は何者なんだ?ただの人間ではないな?」
「いえ私はいたいけな一人の人間ザマス。」
「急にオカマになんな!」
「でどうなんだよ!」
「どうなんだよってなんだよ。会いに来たいのか?なら案内するぞ。その代わりにお金がいるなー。」
「お金って今はないなー。」
「うん?そうか?お前はなにか持ってる気配を感じたんだが?」
「え?ああルリアから持ったやつか。なら。」
と言ってジョージは次元の袋を展開してメヒアからもらった大量のコインを悪魔に渡す。
「ええ?そんなに?いやそんなにはいらない。1枚で十分だから。」
悪魔はすでに冷や汗だった。
「決まりだな。じゃあちょっと待ってて。」
「おう。」
悪魔は困惑する中ジョージは父親の下に行った。
「親父ー。」
「うん?ああ何だ?」
「俺ちょっと悪魔のとこに行ってくるからちょっと待ってて。」
「ああいいぞ。まあ俺も行くけどな。」
「え?大丈夫なのか?」
「何が?今更だろ。」
「そうだな。」
一方で、ダンジョン内はというと
「こんなものかの?」
「こんなものー?どんだけ壊してだよ?」
「なんじゃ。いいじゃないか。我が子孫は救ったわけじゃし。」
「でもねー。ダンジョン壊れてんじゃん。」
「まあわしをお主が契約した時点でこのダンジョンは役目を終えとるからの~。」
「それもそうだな。」
その後、狐人たちに事情を説明するとみんなスザクに感謝をしていた。代表して長老から挨拶があった。
「異邦から来た客人に大変な失礼をした。なんせこんなところに人が来るとは思ってなかったのでみな慌てていたのだ。どうか許してほしい。」
「うん。いいよ。それよりもアーノルド一家は見なかった?」
「あなたと一緒にいた人ならどこかへ出かけると言ってそのまま行きましたぞ。」
「え?」
「時間がかかるがしばらく待ってくれと伝言です。」
「ええええええ。」
「お客人は我が村の救世主なので手厚くもてなしましょう。ほれ。」
「あらかわいい子じゃない?」
「ホントだー。」
「お客様は夜の方からおもてなしをしますのでこちらへ。」
お父さん、お母さん俺は童貞を卒業できます!やっと。
「いやー。落ちてる!落ちてる!」
「ほら姉さん落ち着いて。」
「はらー。お客さん変な魔法使いますね。」
「変言うな。」
「そろそろ中間なんでご注意を。」
ジョージたちは奈落を降りていた。最初はちょっとした穴を下っているだけであったが開けたところに出て下を見たところ地下深くまで続く穴に出ていた。現在はジョージの空間を操る魔法で仮想壁を下向きに作りみんなで降りていた。なお悪魔は翼があるため自力で降りていた。
王国
これで準備は整った。」
「ふふふ。そうね。これでやっと宿願の国を手に入れれる。」
そう言うのはアーノルド家を追放した長女のジェシカである。夫は軍隊を前に不敵に笑っていた。
「よし。お前たちは今日より王国の正規兵となる。今日、王国の歴史を塗り替えすべてを変える。お前たちの苦労は報われる。そのためにも死力を尽くせ。いいな!」
この反乱軍の主力はこの国のかつての兵士であった。しかし、国のためにと受けた強化手術の結果、身体能力を引き上げる代わりに魔力が暴走し兵士として使い物にならなくなった者たちである。そして、盗賊や傭兵として身をやつし今日まで日に当たらぬままに過ごしてきた者たちである。
「おおおおおおおおおおおお。」
この者たちにとってついに復讐を果たす絶好の機会が来たわけである。やる気にならないわけがない。
「俺に続けー。」
そう言って軍団はついに王国の首都に向けて進軍を開始した。
「姫、準備はできましたでしょうか?」
「いえ。マリアまだよ。」
「お急ぎください。」
「急かさなくてもわかってるわよ。全くあなたの娘にも困ったものね。」
「面目ありません。こればかりは私の落ち度です。」
「いいわ。あなたにはこれまで数え切れないほど貢献してもらっているもの。少しくらいあったとしてもとても釣り合わないほどね。それよりも状況はどう?」
「まだ進軍が始まったばかりです。」
「そう。じゃあとりあえず騎士団を首都近郊の進軍予想経路上の原野に配置して。そこで迎え撃つわ。」
「は!」
「あなたはいつもどおり私の護衛。あとの魔術師は後方支援と遊撃に分かれて頂戴。」
「は!」
「これってどうなってるの?」
リンネは久しぶりに実家に帰って驚いた。禁忌の森から親に決して消してはいけないと言われていた異様な魔力の気配が消えていた。
「私が、私が管理を怠ったからあああ。」
とりあえず森に入ることにしたリンネは装備を装着して家を出た。途中で、ポチが来て結局二人で行くことにした。禁忌の森は長い間立入禁止になっていたのでどんな生物が暮らしいるのか学者の間でも謎に包まれている。そんなところに一人で行こうとすればポチが心配するのも無理はない。
「うーん。やっぱり何か変ね。」
リンネはあたりの魔力を探りながら進んでいるが一向に魔力を感知できないのである。そしてそのままとうとう祠の前まで来てしまった。
「え?」
破壊された祠を見てリンネはそのまま気絶した。
「ちょっと、え、だいじょうぶ?リンネ?リンネ?」




