飛行艇の中で
「やれやれ。疲れましたね。」
「そうね。」
「にしても、驚きましたよ。あんな魔法だったとは。」
「うふふ。まあね。お姉さんは、最強だからね。」
俺たちは、共和国からの帰路についていた。被害こそ軽微だったものの魔人の脅威が改めて認識されることとなったのは言うまでもない。それに、あのヘルメスが言い残したことが気になる。いずれ、決着の日は来るのだろう。それに向けて、準備をしなくてはならない。
「隊長は、この後ご予定でも?」
「まあ、そうだな。賢人会議に報告したりせんといかんな。」
「ありゃ。大変ですね。」
「まあな。あの爺さんといい曲者ばかりだしなー。」
「隊長‼️」
「なんだ?どうした?」
「なにかが飛行艇に突っ込んできます。」
「なにか?」
よくみてみると、鳥の魔物のようである。
「ミサイルで打ち落とせないのか?」
「無理です。避けられます.」
「一体なんの魔物だ?」
「共和国の砂漠にすむと言うパシラレクイナです。」
「邪魔ですね。俺が倒します。」
「いや待て。」
そう言うと、ジョージは隊長の制止も聞かずクイナを倒しに行った。
扉から、飛行艇の外に出てみて驚いた。
「そっちのクイナを剥がせるか?」
「いや無理だ。くちばしが床に突き刺さってやがる。」
「これだからこいつらは厄介なんだ。」
「俺が何とかする。スタッフの人たちは、」
「ジョージさん、それはやめた方が。」
外に出てみて驚いたがなんとパシラレクイナは砂漠からジャンプしてひとっとびで飛行艇のいる高度まで来ていた。羽はないようで届かなければすぐに落ちていっていた。ジョージは、障壁を展開して固定し足場としてそこに降りた。
「ヤバイな。こいつらは。」
「ちょっとジョージ君帰りましよ。」
「何で?こいつらを倒さなきゃ。ちょっと待ってて。」
そう言ってジョージは、下から跳んできたクイナに向かって壁を飛ばした。
しかし、
「え?」
クイナは足場がない空中でなんと避けたのである。
「こいつら羽を使って飛んでないですよ。姉さん。」
「あのね。こいつらはなぜかだれにも倒せないほどの戦闘力とでたらめさがあることで有名なのよ。」
「え?知らなかった。」
「だから、たぶんジョージ君でも倒せないの。」
「姉さんのあの魔法でも無理なんですか。」
「うーん。私の間合いに入れば倒せるけどその領域にはいってくるかどうかが疑問だからね。」
「じゃあこいつらどうすれば?」
「まあまああいつらは隊長にまかせましょ。」
「うん?」
「ちょっと乗員になかにホイッスル持ってる奴いる?」
「は。ここに。」
そういって、乗員から受け取ると隊長は扉の外に出て。おもむろにピーっと吹いた。それは、結構な音量だった。すると、隊長のもと続々とクイナたちが上から横から集まってきた。
「「「グワ。グワ。」」」
そして、ないはずの翼を出して敬礼していた。
「よし。おまえたち今日は良く集まってくれた。今日は命令を下す。」
「「「グワ」」」
再び敬礼をする。
「お前たちの能力を買いお前たちのために近くにあるオアシスで水を飲むことを許そう。」
「「「グワ。」」」
クイナたちは目を輝かせながら命令を遂行すべく去っていった。
「・・・。なんなんですか?」
「私も最初見たときは驚いたわよ。隊長いわくこれがこいつらの習性らしいの。」
「つまり?」
「こいつらは命令をされたがるのよ。そしてその命令を実行すると次の命令を求めてまた、近くの生き物か人を襲うのよ。」
「ぷっ。マジっすか。すごい習性ですね。」
「そうなの。だからこの世界で一番残念で迷惑な生き物と言われているのよ。」
「うわー。かわいそう。」
「よし。総員今のうちにやつらがまた襲いに来ないように遠くまで逃げるぞ。」
「「はい。」」
一行は、飛行艇のエンジンを全開にして王国への帰路に就いた。
「ああああああああ。ぶつかる!ぶつかる!」
「城がー。」
飛行艇は、全速で飛行場に入ってきた。
「おおおお。避けたー。」
「皆様、ここから減速して着陸します。体を固定して、前の壁にぶつからないように、。」
キキーーっと急に飛行艇は減速して来た。
「ゲフ!」
「慣性がーーーー。」
乗員はもうつぶれる勢いで壁や前の座席にくっついていた。前向きの重力はさすがに魔法ではないので誰にも対抗できなかった。
「うえええええ。」
「他に誰か吐きたいやつはいるかー?」
ジョージは、乗り物酔いと言う人生の壁にぶち当たっていた。
「アハハハハ。よわいわねー。」
「う!姉さん後でおぼえておいてくださいよ。」
「じゃあ、みんな今日はお疲れさん。共和国の任務はこれで終了だ。ゆっくり休んでくれ。」
「「はい。」」
「ルビー。大丈夫?」
「うん。だいぶ楽にはなったかなー。アハハハハ。」
「リンネー?」
「なに?」
「どうするんだ?」
「今日は、ルビーの付き添いかな。」
「そうか。わかったよ。じゃあ俺は帰るから。」
「うん。お疲れ。」
「あの。ジョージさん。今日はありがとうございました。」
「いいよ。無理しなくて。リンネがルビーを助けてくれたらあなたと一緒に一夜を過ごしてもいいよって言ってたから俺にとってもいい感じだし。」
「え?」
「ちょっと‼️そんな事一言も。」
「冗談冗談。じゃあね。」
「うん。後でね。」
そう言って、ジョージはあとにした。
「もしかしてリンネ?」
「うん?」
「本命?」
「さあーなんのことかしら。いこう。」
そう言って、それぞれ解散した。
「ねえー。ジョージ君?」
「なんすか?姉さん?」
「昨日の魔人のこと知ってた?」
「あの魔人は、声の魔人ですよ。魔法で思い出したんですよ。」
「声の魔人?」
「そうです。500年前の魔人戦乱時代があったじゃないですか?」
「うん。」
「そのときに特に被害を出した魔人たちがいたんですがその一人だと思います。」
「ヘエー。ジョージ君って物知りだね?」
「ええまあー、そのー図書館で本を読んだことが。」
「え?どこの?」
「セフィロトですかね。」
「うん?どこにある図書館?」
「まあすごく遠くにありますよ。」
「へえー。また行ってみたいなー。」
「今度いきますか?」
「うん。行ってみようよ。」
「それと俺のことはジョージでいいですから。」
「ああ、分かったよー。じゃあ私のことはシルキーさんって呼んでよ。」
「分かりましたよ。シルキーさん。、、、言いにくいです。」
「ええ。じゃあ姉さんでいいわよ。」
「すんません。」
「じゃあ、俺はこっちなんで。」
「うん。またねー。」
そう言って、二人は別れた。
寮に帰ったジョージは、そのまま風呂へと向かいはいった。
「ああああ、疲れたー。気持ちいい。」
「旦那、気持ちいいですかい?」
「まあな。とても最高だわ。」
「共和国はどうだったんですか?」
「うん?まあまあ。また一人俺じゃないけど魔人を倒して来たよ。」
「さすがと言った方がよろしいですか?」
「いいから。なんかあるの?もう寝たいんだけど。」
「それがですね。明日から学校があるじゃないですか?」
「俺は、関係ないぞ。成績は。」
「それがリンネさんの方がちょっと危ないみたいで。もしかしたら明後日からのテストにも間に合いそうになく赤点も。」
「お前はそんなとこまでみてんのか。まあそうか。ちょっとライザ先生に言ってみようか。」
「おお。さすが旦那、惚れた女にはとことん。」
「なんか言ったか?」
「いえ。ではこれで。」
そう言って、後にした。ジョージは、任務の疲れからこの後すぐに寝てしまった。




