潜入と駆け引き
「マジかー。こんな格好は、ないでしょ。」
「頑張りましょ。給料分は働かないと。」
そう言っている二人は、掃除婦の格好で議会の廊下を掃除していた。昨日の夜に、大統領から言われた潜入方法は、まず掃除婦として、議会の様子を観察。状況に応じて、役割を与えていくというものであった。
「にしても、広いわね。」
「そうですね。こんなとこ掃除するのに1週間はかかりますよ。」
「暑いのにやだわー。」
「どれが、スズムラさんなんでしょうね?」
「さあー。あの人は、違うでしょうしね。」
「もしかして、男とか?」
「いや、あれが男だったらかわいいすぎですよ。」
「そうかなー。私とどっちがいい?」
「さー掃除掃除。」
「濁しやがったなー。」
そんなこんなで、3日この格好で議会の掃除をしていたが特に以上はなかった。しかし、4日目に大統領から連絡が入る。
「という事で、目標のスズムラ議員から査察官派遣の要請が裁判所にあったみたいでわたしたちは、その担当として派遣されることになった。」
「なるほど。分かりました。」
「でだ、敵の本拠地に乗り込むのでちょっとした防御をシルキーにお願いする。」
「はい。お任せください。」
「うん。」
「僕は何をすれば?」
「とりあえず、何か武力面で予想外のことがおきたときに対処をお願いする。」
「はい。分かりました。」
「じゃあ、早速明日からだからよろしく。」
「ポチー。ジョージたちは、どこで活動してるの?」
「それは、私にも分からないよー。」
獣の姿で飛びながら話しているのは、リンネとポチである。
次の日の朝、ジョージたちはスーツに袖を通した。
「今日からは、この格好でいくからな。慣れろよ。」
「はい。」
「襟って立ったままでもいいですか?」
「それは、ダサい。」
「チャック開いてるぞ。」
「エッチ。」
「隊長、行きましょ。」
「そうだなー。」
三人は、議会の廊下を議員の部屋に向かって進んでいく。入り口の手前で、秘書が待っていた。
「査察官の方々ですか?」
「はい。そうです。」
「ではこちらへ。」
入ると、そこには、映像で見たようなスズムラ議員の顔があった。それは、童顔のようなかわいい系で男性にとっては守りたいと思わせるようなそんな顔であった。
「こんにちは。今日はありがとうございます。」
「いえ。伺ったところによると議員の中に私利私欲のために魔法を使い議員たちを操っている人がいると。」
「その通りです。そして、これが私が質問をする形で入手した声と映像です。確認してもらえばわかると思いますがおそらくその女が黒幕であると思います。」
「分かりました。では少し資料の確認と事情の把握に乗り出したいと思いますので少しお時間を頂きたいと思います。」
「はい。」
数時間後、
「なるほど。確かに確認した限りこの議員は何らかの魔法の影響下にあるか魔人の類とみて間違いないだろうな。」
「そうですね。しかし、」
「うん?なんだ?言ってみろ。」
「いやちょっと目が光るタイミングというかそれが気になるんですよね。」
「タイミングか。」
「はい。なぜか、スズムラ議員が立つタイミングで目が光っているのが気になるんですよね。」
「それは、議員が気配を隠していたが最後終わるタイミングになって油断してあやしくなってしまったのではないのか?」
「そうかもしれないですね。」
「それにまだこれだけでは判断できないからこれから調査だ。それに議員のところに戻ろう。」
「その前に、シルキーもしもの時はお願いしてもいいか?」
「はい。」
「失礼します。」
「査察官どの。資料には、目を通せましたか?」
「はい。だいたいの事情は、把握できました。確かに、事態は深刻なようですね。」
そのとき、シルキーがボソッと一言。
「無効領域」
その一言で、シルキーの魔法がジョージとシルキーと隊長の3人を覆うように展開された。
「そうなんですよ。なので、早速、尾行をお願いします。」
「え?まだ、早い段階で確かに、事態の深刻さは。」
「あなたは、この国を終わらせるのですか?」
そういうスズムラ議員は、有無を言わせぬオーラを纏っていた。
「、、、。分かりました。で。ターゲットは?」
「はい。、、、首相からお願いします。」
「分かりました。」
「よろしくお願いします。」
「では、これで。」
そう言って、ジョージたちは、部屋から出ていった。
「ふう。ありゃヤバイね。」
「ええ。」
「それにしても、シルキー、ありがとう。」
「さすがですね。気づきました?。」
「え?魔法をかけられたのですか?」
「私も、具体的に気づいた訳じゃないけど何かを媒体に魔法が行使される雰囲気があったから対抗魔法をかけただけよ。」
「、、、。すごいっすね。俺も気づかなかったのに。」
「ふふふ。もっと褒めて。」
「にしても、どういうことだ?スズムラ議員からか?」
「状況的には、そうとしか。」
「どういうことだ?」
「つまり、スズムラ議員が首謀者?」
「でも、本人は自分が犯人を追いかけてると思ってるみたいだったぞ。」
「何でそんなことが?」
「隊長は、相手が嘘をついているかどうかがわかるのよ。」
「え?魔法ですか?」
「俺は、魔法は持ってないぞ。」
「マジですか?」
「その代わりに、センススキルは、めちゃくちゃなのよ。」
「センススキル?」
ああ。確かごく稀に一般人に持つものが現れる知覚魔法に匹敵する精度のものか。
「じゃあ、本人は少なくとも被害者のつもり?」
「そういうことだろうね」
「ややこしい。」
「なんの目的で?」
「さあーそこまでは。」
「とりあえず、尾行しますか。」
「「分かりました。」」
そこから、一週間、二週間目の尾行調査によって集会が行われていることなどもろもろの結果は出た。しかし、どれもすきだらけすぎ、ありきたりすぎてどこか違和感を覗かせるそういう調査になった。
「あとは、盗聴器を仕掛けてこれで一応準備万端です。」
「おそらくだが、敵は明日には尻尾を出す。俺は、そう思う。」
「それは、同感です。」
「あとは、ここからが本番だ。」
「どういうことですか?」
「うん?まず、この証拠集めは確実にうまくいくんだよ。」
「なぜそう言い切れるんですか?」
「それは、明日説明する。あとは、今の政権を担っている人たちは必ず保護しろ。」
「はい。分かりました。今じゃあダメですか?」
「それは、ダメだ。必ず明日、もしくは、今週中。」
「了解です。」
切羽詰まったようなそんな声色を出す隊長に俺は、何か嫌な予感を覚えるのだった。
郊外の森
「ポチー。ここどこー?」
「うーん。ここは、おそらく共和国の首都だ。」
「森じゃん!暑いのに何で虫まで相手にしないといけないの?」
「すまぬ。なぜかここに来なければと思ってしまったのだよ。」
「何でこんなとこに?」
そのとき、森の奥から光のたまがフワフワ近寄ってきた。
「なにこれ?」
「それは、いわゆるこの世に未練を残した魂だ。」
「へえー。でも、何か怖いわね。あっちに行きましょ。」
「そうだな。」
そう言って、ポチとリンネはその光から離れるが光はついてくる。
「何か変ね?ポチ。恨まれるようなことしたんじゃない?」
「私は、、、決してそのようなことは。」
「私もないわよ。」
「リンネ。リンネ。」
「ポチ、呼んだ?」
「私は、何も言ってないぞ。」
「じゃあ。」
「「リンネ。」」
「うわ。光がしゃべった。」
「なんなのだこれは?」
一人と一匹は、謎の現象に遭遇するのだった。




