夢の果て
次の朝、早速、議員を監視する査察官がやって来た。まず、彼女の部屋から監視することになるというとこであった。それによると、彼女の部屋には普段から大量の議員や秘書、後援関係の人たちが出入りをするということだった。そして、出てきた直後の人たちというのは、決まって目がピンク色になってどこかに行くという。そして、そのなかに、首相や与党の幹部等も含まれているということだった。
この報告書に目を通してから、私は、危機感が募った。早くしないと、この国の政治が女によって操られてしまう。
「では、この部屋から出ていく人たちを尾行すると?」
「はい。この尾行でおそらく決定的な証拠を掴むことができると思います。」
「うーん。」
「どうかされたんですか?」
「いえ。確かに怪しさはありますが証拠は皆無に等しいですし尾行するほどの段階でもないと思うのですが。」
「証拠がないから尾行をするんでしよ!それともなんですか。この国を終わらせるつもりなんですか?」
「、、、。分かりました。部下を二人、尾行につけます。でターゲットは誰にするんですか?」
「、、、。首相でお願いします。」
「分かりました。」
この査察官の部下は、女性と男性だった。査察官によると、若く一年目のようだが、魔法が使え、学校を優秀な成績で卒業した期待の若手だということであった。
「では、二人ともよろしくお願いします。」
「「了解しました。」」
その日から一週間とにかく、調査をした。首相の近辺だけでなく、重要な繋がりを持つ人物を調べた。すると、議会で重要な政策が通った日は必ずその女の部屋で集会があったそうなのである。これは何かあると感じたのでもう一週間調べてもらった。すると、火曜日と木曜日がその集会がある日であったということであった。これはいい。翌週で片がつきそうだと思っていた。このとき、私は勝ったそう思っていた。
二週間がたち、今日は本命の移民の緩和を行う政策の採決の日である。私は査察官に頼んで昨日の夜に彼女の部屋に盗聴器を仕込んでもらった。今は集会が行われているだろうから証拠を自分達で残していることだろう。そう考えただけで自然と笑みがこぼれた。
採決の時間が近づき私は、議会に向かう。
「こんにちは。ウラド議員」
「こんにちは。」
「いかがですか。今日は?」
「楽しみですな。私たちの政策の集大成が達成される日ですからな。」
そういう議員は、しかし、虚ろな目をしながらどこか操られたような感じがしていた。
「あの女がやったのですか。なんと酷い。」
「ふふふ。まあ、あの集会で女性大臣が暗示をかけたのでしょう。どうされますか?スズムラさん。」
「そうですね。まあ、確証でもつかめれば議決の否決に持ち込めます。」
「でしたらこの録音機をお使いください。」
渡されたのは、小さな機械だった。しかし、相手は、査察官、確信があって使えとそう言ったのだろう。私は、それを信じることにした。しかし、どう使う?
「では、最後の議題です。首相提出法案、移民の緩和政策について投票をお願いします。」
議長の声に従って、議員がそれぞれ投票に向かおうとする。このままでは、情勢通り賛成になり共和国は多民族国家となりテロリストの巣窟とかすであろう。
「ちょっとお待ちください。」
私は、普通の一般庶民のいえにうまれた。両親は、東方の家の出身者ではあったが結婚を反対され駆け落ちしてこの国に来ていた。東方の家のものたちを共和国の人たちは温かく迎えてくれた。そして、私が生まれ弟が生まれ家族みんなが平和に暮らしていた。共和国が王政から民主制に平和的に移行したときも私は、誇りに思いいつか国のため政治家として、支えていきたいと願っていた。
時が過ぎ、私は、議員となった。この国を守ることが私の使命であり、国民はそれを応援してくれた。だから、そのためにがんばる。
「お待ち下さい。議長」
「なんだね。スズムラ君。」
「その政策の、採択をお待ち下さい。」
「なんだね。君は、ただの時間稼ぎならやめたまえ。」
「いえ、ここに録音機がありまして、この議題に関する重大な企ての証拠がおさめられてますから。」
「なんと!企てだと?」
議会は、ざわざわしだす。
「ええ。どういうことか?スズムラ君?」
「なんですか。首相。今さら、言い訳は、させませんからね。」
「そういわれても、なんのことやら。君は、この政策の意義をなんだと思っているのか?」
「そんな戦法には乗りませんよ。議論は終わっているはずでしょ?」
それから、数分後。録音機におさめられていた会話をながした。
『議員の方々、今日はお集まりいただきありがとうございます。』
『いえいえ、あなたのお頼みならいつでも。あなたの応援は力になりますから。』
『全くその通り。して、今日はなんのお頼みごとですか?』
『実はですね。この政策、移民政策に関する採決で賛成に投票を。』
『ハハハ。そんなことお安いご用ですよ。』
『私もですよ。』
『有難うございます。』
『して見返りは?』
『はい。次の内閣改造で大臣になれるように取り計らいましょう。あなたは?』
『この議員を排除していただきたいのですが。』
『あら、分かりました。オホホホ。』
その他にも、首相との会話などいろいろな裏取引の会話がおさめられていた。
「なんということだ。」
「首相はそれに大臣これはあなたの進退に関わる問題ですぞ!」
「この政策の結果は決まりましたな。」
「あとで覚悟しておいてください。」
この証拠をきっかけに政策が否決され、内閣は解散、様々なことがあったが政権が交代した。
「新首相の、スズムラさん。何か一言を。」
「はい。これからは、国民のためにしっかり前の政権が怠って来た政策の実施、経済対策いろいろなことをやっていきたいと思います。」
「主になにかやっていきたいものはありますか?」
「私は、スラム対策を行い労働力の創出と貧困層の排除を行っていきます。」
「なるほど。共和国の経済対策に力をいれるということですね。わかりました。ありがとうございました。」
国民からの歓声が眩しく見える。
「これでやっと国民のためにできるわね。オホホホ。」
スズムラ議員は、勝利を確信するのであった。そして、首相室でこれから始まる首相としての生活に夢を抱くのであった。
ガチャ。と扉があくおとがする。
秘書でも来たのかしら。これから会議があるしね。
「さて。スズムラさん、ここまでの夢物語はいかがでしたか?楽しかったですか?」
「誰?」
よく見ると、協力してくれた査察官だった。
「これは、あのときは、ご協力ありがとうございました。」
「いえいえ、あなたの幻想ごっこにお付き合いできて私としても楽しかったですよ。」
「?幻想?何が?」
そうして、すべてが動き出す。




