飛び入り
ジョージは、魔人をそのまま蹴り砕く光景を幻視していたが、足は、どっからから来た手に掴まれていた。見ると、痩せた男がそのまま浮いていた。
「この駒は、まだ潰されるわけにはいかないのですよ。」
「ハハハ。お前は、誰だ?」
「私ですか?」
「そこをどけ。」
なんだこの男は?今も、蹴りを2,3発入れているがまるでこたえた様子はなく逆に的確に反撃を受けていた。
「さすがですね。今の、普通の冒険者でしたらもう死んでますよ。」
「くそ。皮肉か。それで、あああ腹が立つ。」
「そこまで、私に対して感情をむき出しにされるのもあなただけなんですよ。」
「は。ほんとに何者だよ?」
「わからないですか?まー昔のことですからね。」
「そこをどけよ。」
「それはできません。せいぜい、盛り上がる形にはしなくてはなりませんから。」
「は?盛り上がる?まるで、ゲームか何かのように。あーこの感覚、何か覚えが。まーいい。そこをどけ。」
「はー。できない相談ですね。」
「そうか。じゃあ決着をつけようか。」
ジョージは、闘気を込めて、男に、渾身の一撃を与えた。
王国の上空
魔人が、
「あら。久しぶりの世界じゃない。契約だとこの街を瓦礫に変えれば好きにしていいと言われているしさっさとやりますか。」
そう言った魔人の手から、古代の魔法が放たれる。500年前に人々を苦しめた伝記でしか伝えられていない魔法である。
「震爆」
それは、破壊だった。王国は、一瞬、音を置き去りにしたかのような状況に陥った。そして、その日、王国のすべての民、建物が吹っ飛んだ。否、王宮だけは例外だったが。
「にしても、今日はいい天気ですこと。」
「この景色を前にそんなにほうけれてるならいつも通りですね。」
王宮から、その景色を眺めていたのは、王代理のルルと第一席のマリンである。
「いやいや、ただ戦いの前に天気を愛でようかなと。」
と言いつつ目は、眼下の王国の建物が煙をあげ始めている風景をとらえていた。
「なんかあそこに、魔人が?」
マリンは、嫌な予感にとらわれた。そして、王宮を中心にして、
「原子崩壊防御」
最凶の防御を展開した。瞬間、回りの地域が吹っ飛んだ。
「なにこれ?」
マリアもルルも目を疑った。しかし、ここでマリアが次の行動に移れたのは経験からくるものであったのだろう。
「ルル様。とりあえずあなたはお逃げください。」
「なんで?私は、王女よ。ここに残って。」
「何をされるのですか?今のあなたに何が?今は、王さまもなくなられて日も浅く王国は窮地です。唯一の生き残りのあなたに死なれては王国は希望を失います。どうか聞き分けてください。」
「、、、。分かったわ。マリンはどうするの?」
「私は、ここで戦います。」
「それがあなたの覚悟なのね。これ以上はなにも言わない。けど言わせて。死なないでよ。」
「もちろんですよ。」
そういって、ルルは、魔道具を使って退避した。
「ゲホゲホ。」
「一体何が?」
とっさの防御でリンドバーグたちは辛くも無事だった。しかし、回りは相当な被害を受けさっきまで無事だった人たちは誰もいなくなっていた。上空には、魔人がいた。
「あいつが起こしたのか?」
「えげつねーことしやがるな。」
「ほんとかしら。アハメドが無事で安心したわ。」
「え?」
「僕もだよ。アリシア。」
「とりあえず二人の世界観は今は作らないで目の前に集中よ。」
「「わかった。」」
「にしてもジョージの師匠の治療はすごいな。」
「そうね。あのタイミングで受けれてよかったわ。行きましょうか。」
「よっしゃ。」
「何が起きている?」
「どうやら、魔人が暴れているようです。」
この時代において、魔人は伝説的な存在である。最近は、暴れるようになっていたがまだまだおとぎ話の範囲であった。その存在が平然と暴れているだけでももはや異常事態であったが皇帝は。
「なんだと?」
「ですから、どうかお逃げください。」
「いや、ここで退くわけにはいかんな。ふふふ。血が騒ぐよ。」
「では?」
「行ってくるぞ。皇帝であるものはその姿勢で民を導くことも大切であるからな。」
「そうですか。分かりました。では、冒険者にも声を?」
「そうだな。奴を呼んでくれ。」
「はい。」
こうして、帝国でも魔人に対する体制がようやく整い始めていた。




