クズと鈍感と成長
「うん?」
ジョージはなぜか気持ちよく眼が覚めた。起きると、
「ウーウー。」
しゃべれなかった。なぜなら、見知らぬ建物のなかでロープグルグル巻きで口をテープで閉じられた状態だったからだ。
なにこれ?昨日の夜、何かあった?
記憶によると、夜バイトで王国から帝国までの用心棒だったのを思い出した。そっから、
「お。眼が覚めたみたいだな。」
入ってきたのは、黒装束の男であった。
「ボスからなぜか、お前をつれてこいと言われてたんだがな。」
「ウーウー。」
「ハハハ。まーもう少し大人しくしとけ。」
そういうと、男は、出ていった。
出ていった男は、そのまま帝国の城の中に入っていく。城のなかは、非常に入り組んでおり敵が入ってきたときに容易に王の基にまでたどり着かないようになっている。男は、そんな城の中をどんどん奥に入っていく。そして、ある一室にまでたどり着く。
「もしもし。」
「どうぞ。」
扉を開けると中には、目のあたりにくまが刻まれた男がいた。
「一応。お目当ての男は連れてきました。」
「そうか。でかした。褒美はなにがいい?」
「いえ。それは、いいです。これも仕事なので。」
「なんだ。つれないな。遠慮しなくていいぞ。」
「いえ。私は、復讐相手の情報をもらえた時点で十分でしたので。」
「そうか。じゃあまたにしようか。」
「では、これで失礼します。」
「うん。」
そういって、依頼主と思われる男だけが部屋に残った。男の部屋は、つねに誰かの写真だらけになっている。
「さあ。このステータスの男とついに対面か。ワクワクするな。」
男は、そういうと白のコートを着て城を出た。
「思いだした。」
ジョージは、昨日の出来事をようやく思いだした。
「まさに油断大敵だな。あんなおじさんに眠らされるとはね。」
とこれから出た後、ライザにどう言い訳しようか考えていた時、扉があいた。
「こんにちは。ジョージ君。」
白のコートを着た男は、しょっぱなこういったのだった。
「なんだおまえ?」
「おまえとは、ずいぶん物騒だね。君は、今つかまっているんだよ。」
「まーな。で俺に何の用だ?」
「うん?いやいやまずは、自己紹介と行こうか。私の名前は、マルティンだ。よろしく。」
「はー。おれは、もう自己紹介しなくてもよさそうだな。」
「ええ。察しが良くて、話が早い。」
「なんの用だ?」
「いやね。実は、ちょっとお願いがありましてね。あなたの仲間になりたいと思いまして。」
「は?いや、おまえ帝国人じゃないのか?」
「いえ。私は、どこにも属さないんですよ。」
「なんでまた?おれなんだ?」
「あなたの戦い非常に興味深いと思いまして。ええ。」
「おれの?」
「魔人との。」
「へー。」
「驚かないんですか?」
「別に今は興味ないからな。仲間なんて。それにお前みたいなやつ何度か見たことあるし。」
「ほう。それはまた。興味深い。」
「しかしだ。こんなことをされておれがうなずくと思ってんのか?」
「確かに。ええ。では、あなたにいくつか情報を上げたいと思いますのでそれとの交換ということでよろしいですか?」
「情報?」
「たとえば、今帝国は、王国に何をしようとしてるかとか。黒幕は、だれかとか。学院の今の状況とか。」
「!」
「ほしそうな顔してますね。ええ。いいですね。ええ。」
「仲間なんだな。」
「ええ。ずいぶん安いと思いますよ。」
正直怪しさしかない男だし条件がこちらに有利すぎだ。しかし、靄がかかったようなこの状況では、うなずくほかなかった。
「マルティンは、なにを知っているんだ?」
「帝国の宰相が動いているっていうことと暗部の組織が動いていることだよ。」
「なんの目的で?」
「王国の魔術師の力を削ぐんだよ。」
「なるほどね。」
辻褄は、合っている。さて、どうしたもんか。
「そういえば、さっき学院の状況がどうとか言ってなかったか?」
「ああ。もう昨日のことだけどね。」
学院
「なんてこった。」
理事長のクロエは、頭を抱えていた。
「まさか、生徒が襲われるとは。」
「まさかな。俺もびっくりしたよ。」
「でだ。怪我人は?」
「オリビアとリンドバーグは重傷だ。それから、アハメドも程度は二人より軽いが重傷。あとは、複数人の生徒が意識不明だ。」
「甚大だな。ライザは、駆けつけたのか?」
「ああ。だが、そのときには犯人は逃げていたよ。」
「ホウ。一体誰が?」
「アルドだよ。」
「アルド?」
「うちのクラスの代表だ。」
「それは、まさかだな。」
「俺もびっくりしたよ。だが現にやつを追い出したのはアルドだ。」
「これはすごいな。」
「ああ。」
「だが、この後は大変だぞ。」
「そうだろうな。貴族や王様が黙ってねえか。」
「ああ。もうどう事情説明をしようか。」
クロエは頭を抱えストレスで髪が抜けていた。
「こりゃすごいな。」
被害者たちは、治療室に運ばれていた。特に、ひどかった最初に襲われた意識不明の生徒たちは、ベッドで寝かされていた。また、全身をやられ内臓も損傷していたオリビアは集中的に治療されリンドバーグも、全身の骨折で寝かされていた。
「ええ。」
アルドとリンネは見舞いに来ていた。オリビアの傍らでうつむくスザクを横目にそんな会話をしていた。
「アルドは、よく頑張ったわね。」
「皮肉だよ。こんなことして犯人は何がしたいのか。くそったれだ。」
「そうね。・・・。ライザ先生はそれでもほめていたわよ。じゃあ私は、少し向こうに行くから。」
「アハハハハ。オラオラ。」
男は、暴力に酔っていた。そこに鎖が飛んできた。
「うお。なんだこれ。」
鎖は、直ぐに持ち主のところへ。
「それ以上すると、うちの会長が死んでしまうので辞めてくれると助かります。」
「今度は、お前が遊び相手か。くくく。」
「呪」
「ギャー。なんだこれ。」
「ギャー。」
見ると、20人全員が倒れていた。
「きさま、何者だ?」
「えっと学生です。」
「学生にこんなことできるか。」
「えっと。学生です。」
「マジか。」
そういうとなにもなかったところから男が出てきた。
「いやー参ったね。ここらで撤退だね。」
「呪鎖。」
鎖が男を貫く。が既に男はいなかった。
「そんなことになっていたのか。」
「そそ。」
「犯人は。」
「すごいね。もうわかってるんだ。アーノルド家は違うね。」
「まあね。あとは、もうひとつだけ聞いていいか?」
「なんですか?」
「おれの何を知ってる?」
「うん?ハハハ。わかるのか。これはまいったね。きみは、神に対抗した人だね。」
「!なぜ知っている?」
「ステータスだよ。」
「なんだそれ?」
「まあぼくの魔法なんだけどね。視界に魔力を込めると他人の強さや何をしてきたのかが見えるんだよ。」
「へー。それはすごいな。」
「あとは、その人が知らず知らずについているジョブとかかな。」
「ほえ。よく分からんな。」
「まーこれは冒険者にならないと意味をなさないからね。それはそうとこれからどうするの?」
「とりあえず帰ろうかな。」
「じゃあこれを渡そう。」
渡してきたのは、通信用と魔道具だった。
「また、あとで。」
ジョージは、解放されたので建物から出てきた。魔力をそのまま思念で空に向けて打ち上げるとポチが降りてきた。
「ワウ。」
「ちゃんとついてきてたんだな。えらいぞ。」
「ワウ。」
「いこう。」
ジョージはそのまま、王国に向けて帰らず、なぜか東の山脈に舵をとるのだった。
「いやーつかれたー。」
男は、拠点として使っている屋敷に戻っていた。
「どうだった?」
「いやー正直あそこまで学生が強いとは思いませんでしたよ。」
「ほー。楽しそうだな。」
「やっぱりあの幸せそうなやつらの心をへし折るのは楽しいですよ。」
「そうか。相変わらずだな。それでどこまで減らしたんだ?」
「まー死なない程度には、20人ほど。」
「仕事としては十分だ。報酬は、冷蔵庫に入っているがあれでいいのか?」
「あれが最高なんですよ。お金は、なんの価値にもならない。やっぱりアイスが一番。」
「ふ。面白いやつだな。」
「そうですか。俺は真剣なんですがね。」
「じゃあ、また仕事は、命じる。それまで待機しといてくれ。」
「了解です。」
リンドバーグ
あの瞬間だった。決着は着いたと思い油断していた。まさか、あの襲撃犯が無事だったとは。
「くそ!」
腕を、ベッドに打ち付けたいが怪我人であるためそれも憚られた。
「リンドバーグ。ありがとな。」
「なにがだ?」
「お前があそこで犯人に向かっていってくれなかったらみんなは、無事じゃなかった。」
「いや、それは僕の実力不足だよ。あそこで、やられなければ。
」
「いや、それをいうならアルドも一緒だと思うぜ。」
「あいつは、アルド君は追い払って見せたじゃないか。」
「まー確かにな。実力は、桁違いだった。でもこれだけは言える。リンドバーグはみんなを守ったんだ。まーあとは、怪我を治してからまた話そうぜ。」
「アハメド。ありがと。でも悔しいんだ。」
「なら糧にすればいい。それにまだ死んでる訳じゃないんだ。まだ成長できる。だから、気に病む必要はないよ。とりあえず怪我をな。じゃあ。」
そう言って、アハメドは、去っていった。
「成長か。そうだな。」
ベッドの上で次に向けてどうしようか考えるリンドバーグだった。
「どうだったの?アハメド。」
「アリシアさん。うんと、まー良くなってそうだったよ。」
「そう。」
「うん。、、、。」
「じゃあとりあえず行こっか。」
「そうね。」
「アリシアさんは、怪我は大丈夫?」
「うん。あなたの。アハメドのおかげかしらね。」
「ならよかった。そうだ今度は、アリシアさんも一緒に見舞いに行こうよ。」
「ええ。いいわよ。でもその前にアハメドと話がしたいなー。」
「何を?」
「それは、ナ、イ、ショ。また、明日ね。」
「え?なにそれ。気になるよー。」




