張り込み
「はっくしょん。あー鼻水が出る。」
「先輩、どうぞお茶です。」
「ありがとう。」
「にしても全然尻尾出しませんね。」
「ああ。そうだな。」
G3は、もともとが犯罪者であったり、能力が表に出せないほど強力か暗闘に向いたものたちで構成されている。言うなれば、陰から王国を支える組織である。
「班に分けたのはいいですがそれでも見つからなかったらなんか策とかあるんですか?」
「そうだな。まー、私費で裏の住人から情報を仕入れたりとかかな?」
「裏の住人?なんかヤバそうな匂いがプンプンしますね。」
「そうだな。にしても、ここの子供達身なりがひどいな。」
「そうっすね。先輩がお金を払えば大丈夫じゃないですか?」
「一考の余地ありだな。」
「マジっすか。」
今彼らは、被害者に共通している貧困層の子供達がおおいスラムの近くの建物を借りきって誘拐が起きる瞬間を押さえようとしていた。
「うーん。今日は、現れそうにないな。」
「そうっすね。」
辺りは、夕方になっていた。
「そろそろ晩飯にするか。」
「そうっすね。」
そんなことを言いつつ、この二人組トーマスとジェフが準備していると、
おもむろに通信用の道具に連絡が入った。
「うん?」
「なんか連絡っすか?」
「すまん。ちょっとはずしていいか?」
「はい。」
そういって、トーマスは、ジェフに声が届かないところまできた。
「はい。もしもし。」
「ちょっとなんで帰ってこないの?」
「すいません。ちょっと仕事で長引きそうで今日は帰れそうになくてですね。」
「えー。なんで連絡しないの。もうご飯作っちゃったんだけど。」
「すいません。」
「もう、どうしてくれるのよ。」
「そうですね。週末にでも埋め合わせというかバッグをプレゼントするので。」
「しょうがないわね。それで勘弁してあげる。」
「はい。ありがとうございます。」
そういって、妻との電話を終えて戻ってきた。
「どうしたんすか?」
「え?なにが?」
「なんかいまにも死にそうな目をしてますよ。」
「実は、奥さんから電話があって。」
「先輩結婚してたんすね。」
「ああ。それで無茶苦茶絞られた。」
「うわー。きついっすね。やっぱ今日の仕事が長引くからですか。」
「さっさと犯人現れてくれねーかな。」
トーマスの悲鳴もむなしく事態は、まだまだ動かないのである。
一方、
「隊長。今日は、動くと思いますか。」
「そうだな。犯人の行動時間帯は、おそらく深夜だ。今日は、寝ずに警戒しておかなくてはならない。」
「そうですか。」
「なんだ。ケイン。なんかあるのか?」
「いえ、もしかすると犯人たちはこれ以上に手を広げてくる可能性もあるので用心しておかないとと思いまして。」
「確かに。だが、手掛かりがない以上今はどうしようもない。」
「わかりました。ちょっといいですか?」
「ああ。」
そういうとケインも、通信を取り出す。
「はい。もしもし。」
「ああ。もしもし、おれだ。ケインだ。」
「オレオレ詐欺なら間に合ってますよ。」
「ちょっと切らないで。」
「ふふふ。冗談ですよ。ケイン。」
「焦らせるなよ。」
「どうしたんですか。きょうのデートはどうしようかと思いましたが。」
「それなんだけど、ちょっと今日は行けそうにないんだ。」
「ええ。久しぶりだから楽しみにしてたのに。」
「ごめん。今週末にちゃんとデートしよ。」
「分かりました。それで勘弁しときます。仕事頑張ってね。」
「ああ。ありがと。じゃあまた。」
「どうした?デートか。」
「ええ、聞いてたの?」
「いや、なんとなくだが、そうかそれで焦ってたのか。」
「はい。」
「そうか。おまえにも彼女か。」
「そういえば、隊長は、母さんとはいつ結婚したんだ?」
「そうだな。おまえらよりはちょっと早かったくらいかな。」
「ええ。意外だな。」
「そうか。当時から母さんは才色兼備でもう宮廷魔術師だったんだ。」
「へえー。」
「それで、私が母さんに告白しようと思ってたら先に親友が告白してな。めちゃくちゃもめたんだよ。」
「へえー。で、その人はどうなったんだ。」
「母さんは、その人を振って逆におれに告白してきたんだ。もう最高。」
「へえー。隊長のほうからいったかと思ってたのにそれは意外だな。」
そんなことを話しつつ、時間は過ぎていった。
帝国の犯罪組織
「今日の、計画を配る。」
「はい。」
「今日は、とりあえずトリンセチア地区の子供10人だ。」
「了解です。」
「そろそろ、王国側に勘づかれるかもしれないからくれぐれも目立たないように慎重に行動してくれ。」
「はい。」
「それとだ。この薬を各自持って行ってくれ。」
「ボス。これはなんですか。」
「これは、魔法力を一時的に引き上げるものだ。おまえらに、なにかあればおれも悲しい。もし、つかまりそうになれば、この薬を使って追手を倒すなりまくなりしてなんとしてでも戻ってこい。」
「ボス・・・。」
「よし。おまえらなんとしてでもボスのために力を尽くすぞ。」
「「おおお。」」
「「ワンチームダ。」」
そういって、構成員たちは、出ていった。
「ハハハ。大した道化だね。ペロリ」
「なにがだ?」
「いや。構成員たちにあの演技で10年も忠誠心を尽くさせているんだからさ。ペロ。」
「別に、嘘ではないさ。あいつらが、何の意味もなく犠牲になるのはおれにとっても悲しいさ。」
「、、、。まーそれはそうと、実験でひとつ進展があった。」
「おおなんだ。」
「魔人の肉と適合性の高い子供の割合が、判明した。10人に一人だ。少なくとも、王国の子供の10人に一人は魔人の魔法や果ては肉体との融合率が90%以上の成功率がある。」
「なんと素晴らしい。やはり魔法技術の高い国は一味違うな。まー今日の狩りの成果次第でその結果がより確実なものになるだろう。」
「ふふふ。わたしにとってもとても楽しみですよ。ペロリ。」
組織の研究員ペロリーナは、そういうと研究室に戻っていった。頭領のシュバイツァーは、一人になって休もうとしていた。そこに、
ーシュバイツァー。私の声が聞こえるか。-
「これは、ディスコ様。このようなお早い時間にどうされましたか。」
ーうむ。実はな。そちらの実験に一つアドバイスをしようと思ってな。ー
「は。ありがたき幸せ。」
ーうむ。その研究に役立つのは若い魔術師だ。ー
「なんと。それは誠ですか、すぐに行動に移ります。」
ーうむ。よき心がけだ。フハハハハハは。ー
そういって、声は、消えていった。
シュヴァイツァーは、そのまま一人自分の執務室に入った。中はとても整理されていた。
この組織は、名前をイメルの角といい非合法な組織でありながら帝国で10年も活動を続けれていた。それは、この男が帝国にパイプを持つのも一つあるが帝国にとっても有益な研究をしていたからである。
(いよいよ。最終段階手前まできた。フフフ。あとは、あの方の進言によると若い魔術師ということだから魔術学院なんかはねらい目だと思うがなかなか難しい。そういえば、武闘祭がもうすぐだったはずだ。さて、そこで一気に仕掛けるのもありだな。)
頭領がそんなことを考える中、組織の構成員たちは計画に従い、それぞれの持ち場に散っていくのだった。
そして、王国を舞台に帝国対王国の暗闘劇が始まろうとしていた。
「イヤー、やられた。」
「どうしたのかしら?」
「ジョージたちが授業をすっぽかしたんだ。」
「あらま。なんかやってるのかしら。」
「まさか、あいつのことだから仮病を使って休んだんだろうよ。ハハハ。次の授業が楽しみだ。」
「それはそうと、武闘祭は、どうなのかしら?」
「それは、私よりリンシアの方がくわしいんじゃないか?」
「それはそうね。」
「Sクラスの子達は問題ないと思いますよ。」
「チョビ先生。」
Sクラスで魔力制御を担当している先生である。
「今日は、ヒゲがお似合いですね。」
「イヤー。そういわれると嬉しいね。」
「で、問題ないとは?」
「あの子達は、特殊か能力が高すぎる集団だよ。おそらくそこらへんの学院なら相手にならないとおもいますよ。」
「そう見下してばかりいると足下を掬われることをわたしくは学んでいますので。」
「そうだな。あまり慢心はな?」
「確かにそうですが少なくともFクラスの代表よりはましだと。」
「あ?」
「オオー怖い怖い。では、私はこれで。」
そういうと、チョビ先生は出ていった。
「相変わらず感じの悪やつだな。」
「そうね。あの性格がなければ優秀な先生なのにね。そういえばクロエ学園長が呼んでましたわよ。」
「そうか。わかった。」
学園長室
「失礼するぞ。クロエ。」
「マイカ君か。どうぞ。最近は、どうだね。」
「どう?とは。」
「いや。武闘祭の準備は進んどるかと思ってな。」
「ああ。最近は、あまりわからないな。うちのアルドは、ジョージとなにかやってるみたいだ。」
「ほう。ジョージ君か。」
「ああ。どうもおまえは、ジョージが気になるようだな。何かあるのか?」
「いや。やはり貴重な魔術師の一人だ。今すぐわたしの弟子にしたいところではあるんだが。」
「まー無理だろうな。でだ、なぜジョージに帝国からあの仕事依頼が来たんだ?」
「ここ最近帝国は、魔術師の育成を急いでいる節がある。そして各国の魔術師のスカウトにも乗り出しているみたいなんだ。あれは皇帝からの直接の依頼だ。なにか、裏があるか相当ジョージをスカウトしたいらしい。」
「ほう。かなりご執心なんだな。」
「そうなんだよ。理由が分からないんだがね。」
「ふーん。」
「あと、10英で定例の会合があると先ほど通知が来たよ。」
「げ。もうか。あいつら癖が強いから嫌いなんだよ。」
「そうだよな。」
「おまえのような変態でもまだましなくらいだ。」
「はう。今日は、求めてないんだが不意打ちも悪くない。」
「じゃあな。」
「うん。リンシアさんにもよろしく。」
「ああ。」
「完全なる立方体」
「加速時間」
アルドは、時間の流れを早くして、その空間の中だけ半日で1年が流れるようにした。
「ほいよ。」
「はー。すごいな。」
「そうか。」
「さすがだな。ソウマ。5000年ぶりくらいだが相変わらずこの魔法はほかでは見ないな。」
「今は、ジョージだ。じゃあ、師匠とアルドは、この中で武術の修行をしてくれ。」
「わかった。」
「了解だ。で、ジョージはその女の子とデートか?」
「え?いや、そんなわけないじゃないですか。」
「よし。じゃあ始めようか。」
ジョージの師匠であるが先に入っていった。つぎに、アルドも入っていった。残されたリンネとジョージもまた、別の修行に移ることにした。
「ねえ。ジョージは魔法をどうやって修行したの?」
「そうだな。師匠に魔力の使い方を教わってあとは自分で試行錯誤したかな。」
「そうなんだ。じゃあつかえる魔法の数で言えば結構あるの?」
「いや。あくまで自分の属性だけだからそんなに多くはないぞ。」
「そうよね。」
「逆に聞くが、魔術はなんだと思っている?」
「そうね。・・・。なんか現象を起こすもの。」
「あまり考えたことがなさそうだな。」
「そりゃそうでしょ。」
「この部分については、難しい問題だしおれも答えはいまだに持っていないがある程度その人が扱える魔術は癖があるんだ。言い方を変えると同じ属性の魔術でも性質が異なるんだ。」
「そうなの。?」
「たとえば、そうだな。ケインとライザは、風属性なんだがマイカのほうは、より大きな威力、広範囲に風を起こして影響を与えるんだよ。一方で、ケインは、かまいたちとか自分の周りに風を起こすことが得意なんだ。つまり、ライザは1対集団で、ケインは1対1が得意という感じだな。たとえると、台風とそよ風かな。」
「・・・。なんかわかったりわからなかったり。」
「リンネは、どっちかというと1対1だな。」
「そうなの?」
「それにこれは象徴武器がどんな形になるのかにもつながってくるな。」
「へえー。おもしろいね。」
「早速やってみよう。」
「そうね。でも修行っていってもどうするの?」
「そうだな。リンネは、自分の魔力を操作できるところまで行ってるし、魔力を限界まで引き出せるようにしようか。」
「うん。」
アルドとミズハ
「小僧名前は?」
「アルドです。」
「いい名だ。」
「なんで聞くんですか?」
「うん?いや、お前が自分の名前を忘れたときに私が教えてあげようと思ってな。」
「え?どういうことですか?」
「うん?いや、ジョージの注文だと小僧の武術レベルを上げるには、最低10回は、死にかけなければならんからな。」
「え?」
アルドは、倒れた。あまりの想像を絶するレベルに気絶を起こした。しかし、
「治癒」
ミズハは、治癒魔術をかけて、アルドを覚ました。
「ここは、桃源郷ですか?」
「死にかけんな。お前のレベルだと、100回は死ぬな。」
「嫌だ。おらに現実見せるな。」
「訛ってるぞ。」
「では、」
アルドは、気絶しようとした。もはや、特技になりつつあった。しかし、
「永久治癒」
アルドの回りに、緑の光がつき、常にけがが治るようにミズハが治癒魔術をかけ直した。
「あれ?」
「おまえは、やる気ないな。」
「そんなことは、ない。」
挑発されたアルドは、やる気をみなぎらせた。
「じゃあ、まずは、実力をみるからかかってきな。」




