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 玉座の前に四天王が一列になって並んだ。

 魔王様が求めていた答えをしっかり得た私達は、ほんの少しだが誇らしげに胸を逸らす。ハト胸のように。


「魔王様!」

「勇者が怖れる」

「悪の権化が」

「分かりました!」


「「分かりましたー」」

 息ピッタリだ。


「……なぜ小学生の送辞のように言うのじゃ」

 皆が武勲を公平に貰うためなのだが……喋りにくいから一歩前に出て代表で喋る。

「魔王様、勇者が心底怖がる物は……なんと! お金で御座います」

 勇者本人に聞いたのだから間違いありません。拍手喝采して欲しいぐらいです。

「お金……? なんで」

 魔王様が目をぱちくりして説明を求めていらっしゃる。

「はっ! お金は人間どもの心を食い荒らす真の魔物。その恐怖の誘惑により、一度手に入れれば手放せぬ最強最悪の心をむさぼる魔物なのでございます!」

「私の禁呪文、『脳みそ垂れ流し!』で発覚しました!」

「!」

「お前らも垂れ流してたけどな」

「垂れ流してなどないわい!」

「そうとも、ちょっと呪文がかかったフリをしていただけだ」

「敵を騙すにはまず味方からって言うでしょ」

 本当なんだか嘘なんだか分からないことをゴチャゴチャ申すな――!

「魔王様、本当はわたしの妖惑のキッスで聞き出したのです!」

「――!」

「いいや俺の……、俺の? くっさい縄で締め上げて聞き出したのです!」

 ……あれはたしかに効いていた……。

 勇者が涙目になって嫌がっていた。少し気の毒だった。


 ――次に綱引きをする日が楽しみだ――。


「そうか、ご苦労であった! つまりピンチになれば、予はお金に変身すればいいのだな?」

「さようでございます」

 頭を深々と下げる。

「一万四千八百円でいいのか?」

 ……微妙な額! ……初代のファミコンが買える額だ。

 ――いや、税込みなら買えない。それに、たとえ買えたとしても、本体だけだは砂嵐しか見れないじゃないか!

 砂嵐……ジャミジャミと呼ぶらしいが……どうでもいい話だ。


「――いえいえ! もっと大金じゃないと誰も驚きません! 怖がりません!」

「その程度のお金、一日でなくなります」

 サイクロプトロールは一日で一万四千八百円も使うのか――! なにに使うのだろうか?

 魔王様は顎髭を触りながら渋い顔を見せる。

「じゃあ一万五千円」


 ……せめて二万円は超えて欲しいぞ。二百円しか増額していない魔王様、ケチがバレてしまいますぞ。


「パーッと三億円くらいに変身してはどうでしょう」

 夢があります! ドリームがありますぞ!

「そうか、なるほど……ってえ、――おい!」

 ――?

「そ・れ・で・は・予が倒され勇者が大金を手に入れるのと同じではないか!」

「「おお――!」」


 勇者は魔王を倒した! 勇者は三億円を手に入れた~! ――まさにその通りだ!


 もしかして魔王様、ここまでノリツッコミ?


「やれやれ、四天王が集まってもその程度か……。まあよい。卿らが遊んでいる間に予も考えたのじゃ」

「予も?」

 我ら四天王が遊んでいたと思われている――。

「考えたというより、食堂のメイドに聞いたのじゃ」

 メイドに聞いた?

 このやろう……遊んでいたのはあんたじゃないか……とは言えない。


「この世で全ての物を恐怖に陥れる絶大なる力。存在感。それはすなわち……、


 ――宇宙!」


「宇宙?」

「『宇宙』と書いて――『そら』と読む」

 読めんわ! どうでもいいわ!


 ――それも魔王様が倒されたのと同じだろう!



読んでいただきありがとうございます!

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