良い報せと悪い報せ
アルフレド王と銃兵部隊の皆さんは、ぼくらが無事に戻ってきたことを喜んでくれたし、SKSの威力と貢献に多大な感謝もしてくれた。
……くれた、のだが。
「陛下?」
「あ、ああ、うん」
彼らの視線があまりにもハンヴィーに食い付いているために、気もそぞろで非常に嘘臭い。
逆に、嘘のつけないひとたちともいえる。
「陛下!」
「あ痛だだだ、すまん、わかった悪かった!」
最後は業を煮やしたサシャさんに耳を捻り上げられるという王にあるまじき扱いを受けて、ようやく本題に入った。
ちなみにサシャさんはドワーフの血が薄く、コルニケアには割と多い人間とエルフとドワーフの混血だそうな。
「良い報せと悪い報せがある」
ぼくらを見て、王は真面目な顔で告げる。いまさら過ぎて、取って付けたような印象は否めないが。
クラファ殿下は苦笑して小さく首を振った。
「出来れば、どちらも聞きたくないです」
「わかるな。王族は常にそうだ」
とはいえ、耳を塞いでいて事態が好転するはずもなく。ぼくと姫様は“良い報せ”を先に聞くことにした。
「ケウニアの指揮官が、無条件降伏を受け入れた」
「他に選択肢もないのでしょう」
「ああ。もう奴らの戦力は首都に残った衛兵と近衛くらいしかないからな。条件面は軍使との交渉になるが、少なくともケウニアからの干渉はなくなる。コルニケアにも……お前にもだ、クラファ」
「吉報と呼ぶには不確か過ぎます。ヒューミニアからの干渉は続く可能性が残っていますからね」
「それだ」
それ、というのが何を指すかなんとなくわかった。ぼくも、姫様もだ。
「なるほど。それが、“悪い報せ”に繋がるわけですね?」
「それ以上だがな。エルロティアが、お前の保護と入国を拒絶してきた」
「「は?」」