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マークスとマークスマン

「まさか、ここまでとはな」


 コルニケア領内にハンヴィーを進めながら、クラファ殿下は呆れ半分で笑う。

 ケウニア・ヒューミニア兵たちの死体はどれも胴体に一発か二発ずつ喰らっている。あれだけの火力を持ちながら、銃兵部隊は驚くほど無駄ダマを撒いてない。

 アルフレド王の増援がよほどの精鋭だったか、あるいはコルニケアの兵が少数精鋭で平均的に資質が高いかだ。


「すごいですね。ここ城壁からだとしたら六百メートル(三ファロン)近くありますよ」


 練兵場の城壁上に銃兵部隊の姿はない。掃討戦に入っているか、将校の尋問でもしているのだろうか。


「あんな連射武器が七十もあれば、ふつうはバンバン撃ちまくって“当たれば幸い”と考えるもんじゃないですかね」

「彼らの習い性なのだろう。とかく無駄や浪費を嫌う。好きなものや必要なものに出費は惜しまないようだがな。人間主体の国からは、“ドワーフの国は吝嗇(ケチ)が国是”と揶揄される」


 それは、なんとなくわかる。事実でもあるんだろう。カネも時間も労力も、好きなものにしか注ぎ込みたくないという、前いた世界のオタ気質に近いか。


「ちなみに、その後に“エルフの国は理想論(ねごと)が国是”と続く」


 いまいちリアクションに困る話をしながら、姫様は助手席から敵の生き残りを探す。どうせ歩兵には傷ひとつ付けられない乗り物なのだ。目立つ囮になっておこう。


「“じゅう”が好きというのもあるのだろうな。あれだけの精度を引き出すのには、機械への理解と愛情込めた個別調整が必要だ。それをするには訓練の時間が足りなかったが、彼らは自主的に行ったのだと思う」


 どっかの古い海兵隊映画みたいだな。

 緩い起伏を越えると練兵場前の様子が見えてきた。姫様が壁の(おく)側を指差す。


「いたぞ、アルフレド王だ」

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