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【完結】国賊王女のサーバントに転生したら、特殊スキル「武器庫(アーモリー)」が覚醒しました!  作者: 石和¥
3:邂逅コルニケア編

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裏も表も

「あぅ……」

「なにを悶えているのだマークス」


 ドヤ顔でキメ台詞っぽい感じに勝算アピールしたはいいけど、その場を離れて自分の噛みかけスベり気味演技を振り返って急に恥ずかしくなったのだ。

 たぶん夜寝る前とかにフラッシュバックするヤツだこれ。


「王は機転を褒めていたではないか。サシャ殿も、兵への気遣いに礼をいっていた」

「それが逆に辛いんですよ」


 ボソリと吐いた声に、姫様はぼくを見て笑う。


「我が身を(かんが)みて恥ずかしくなったか?」

「ええ、ああいうのは向いてないです」

「慣れることだ。政治の世界では誰もが、何らかの役割を演じる必要がある」


 いえ、ぼくは姫様の従僕(サーバント)なので、政治の世界に入る気はないです。はい。


 王からの依頼で偵察に出ることになったが、法的な扱いは“入国済み外国人の一時出国”となる。

 ぼくは関所の受付に向かい、サシャさんから預かった出入国許可証みたいな書類を見せる。

 門番は、入国時に担当してくれたエラい融通の利くドワーフの男性だった。


「おお、いつぞやの商人殿。昨日の今日で王の紹介状とは、瞬く間に出世されたのう」

「どうも。出世したわけじゃないんですけどね」

「ふむ、ここに至って謙虚な御仁だ。これも姫君(・・)薫陶(くんとう)ですかな」


 ぼくは少しだけ驚いたが、姫様は何の反応も見せない。最初から、わかっていたのだろう。戻された書類を受け取ると、小さく溜め息を吐いた。


「……やはり、情報機関の所属か」

「ええ、クラファ殿下。サシャの元同僚で、モーグルと申します」


 穏やかな笑顔の門番に、姫様は苦々しい顔を向ける。


「わたしはドワーフが嫌いではないが、ときに苦手に思うのは、そこだ。誰彼構わず距離を詰めてくる。作為や底意(そこい)を隠そうともしない。そういう生き方を否定まではしないが、それで正直さを装われるのは、いささか苛立つ。友誼(よしみ)を結ぶならばまだしも、政治が絡むと非常に不快だ」


 サシャさんも、王に似たようなこといってたな。

 “誠意や正直さを、無神経の言い訳に使わないでください”、だったか。


「まあ、そうでしょうな。エルフと仲が悪い理由は、大半が感情のすれ違いですからな。しかし、ドワーフの多くは本音駄々漏れの(こういう)生き方しかできんのです。他の道を選べるならば責められても仕方がないですが、わしらはそこまで器用ではありませんよ」

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