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【完結】国賊王女のサーバントに転生したら、特殊スキル「武器庫(アーモリー)」が覚醒しました!  作者: 石和¥
3:邂逅コルニケア編

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諍いの番

 ソファに座り込んだアルフレド王に、サシャさんがお茶を淹れて差し出す。ぼくらもいただくことになったが、そこで王がふと顔を上げた。


「悪かったな、すっかり夢中になってた。お前ら、昼飯はどうした?」

「……え、あの……あまり、お腹が空いていなかったので」


 そらそうだ。スィーっと目を逸らした女性陣に、王は怪訝そうな顔になる。


「ん?」


 アルフレド王は、いきなりクンカクンカとサシャさんの胸元を嗅ぐ。元いた世界では完全にセクハラである。

 こちらでもアウトだったらしく、思い切りヒゲを引っ張られていた。


「あ痛だだだ」

「何をするんですか!」

「いや、なんかお前ら美味そうな匂いさせてたから、痛だだだ!」


 そうだよね。お菓子は平らげて片付けたけど、隣に座ってる姫様とか、チョコとクリームの甘い香りが全身から漂ってる感じだもの。


「ま、マークス様から、異界のお菓子をいただきました」

「え、俺の分は?」

「ありません」

「ひでえ! お前、俺の護衛だろ⁉︎ 俺の胃袋も守れよ⁉︎」

「いや、意味わかりません。いまからお菓子なんて食べたら夕食に響きますし」

「何それ、お前は母親か⁉︎」


 なんか、楽しそうなひとたちばっかりだな、コルニケアって。

 姫様もクスクスと笑いながら、じゃれ合うふたりを眺める。


「そうだ、まだ女将には話してないんだけどな、明日から“金床亭(ここ)”借り切ろうと思ってる。増援が着くんでな」


 ぼくが出した新しい“お菓子セット”を抱えたアルフレド王は、キャンディコートされたカラフルな粒チョコを口に放り込みながら、いった。

 サシャさんから、“食事前なのでひとつだけ”といわれて真剣に抗議する姿は、仮にも一国の王とは思えない大人げなさだったが。


「……で、だ。お前ら、隣に移らねえか?」

「隣?」

「ここと似たような、寝室ふたつの続き部屋だ。まとまってくれた方が監視も護衛もしやすい。カネは王宮持ちだ」

「陛下」

「んだよサシャ、お前だって駆け回らなくて済むだろ?」

「ご本人を前にして、わざわざ“監視”といいますか?」

「あ……うん。いや、あれだ。言葉の綾、というか俺はほら、嘘をつけない性格でな」

「誠意や正直さを、無神経の言い訳に使わないでください」


 ああ、ぼくここん()の子になりたくなっちゃいそう。その気持ちを察したのか姫様が視線を向けてきたので、困った感じで微笑んでおく。


「わたしも同感だ」

「へ」

「顔に出ている。コルニケア(ここ)にいたいとな。構わんぞ、わたしがエルロティアに入れたら、貴様を」

「姫様」


 ドクンと大きく胸が鳴って、いきなり周囲の音が消えた。自分と姫様だけしか感じられなくなって、ぼくは彼女に向き合う。


「ぼくは、クラファ殿下から離れません。もう不要と思われたのであれば、不死者の命を絶ってください。……あなたが、その手で」

「できるわけが、ないだろうが」

「であれば、どこへでもお伴しますよ。置いて行こうとしても無駄です。()()()()は、離れられないようですからね。姫様のいるところなら、敵地でも魔物の巣でも、戦火のなかでも」

「………好きにしろ、阿呆が」


 微笑みながら我に返ると、ソファの向かい側でニマニマしているアルフレド王と目が合った。その隣でサシャさんが気を使って顔を逸らしてくれてるのが、却って辛い。


「ああ、ふたりとも。惚気(のろけ)るのは、部屋でやってくれんかな。見ていてこちらが恥ずかしくなる」

「陛下、そういうところですよ⁉︎」

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