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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ユキと白戸先輩。

5月23日はキスの日ということでこれを上げてみました(笑)

キスがメインではないのですが珍しく年齢制限に引っ掛からない描写の小説が書けたので全体年齢対象で楽しみ頂ければと思います。

人にはよく怖そうな人と言われる。

顔からそう判断されるらしい。

それは遺伝的なのか、両親、兄弟揃ってそう言われることがザラだった。

元からのものは変えようが無いので(整形など切羽詰まった状況ではない)諦めている。

怖そう、性格がキツそうな顔でも友人は多いし、いじめられていたり、疎外されていたりはしないので問題は無かった。

ただ、人と信頼関係を築くまでに時間がかかることがあるだけだけど―――

例えば、中学を卒業して新たに高校生になった時、クラスで友人を作る時。

大概、私の怖い顔はネックになる。

怖そうだし、声を掛けづらいな・・・ということが発生するのだ。

ただ、それも数か月くらい一緒の教室で勉強すれば皆も私という人間を分かってくれてやっと親しくなれるのである。

クラス以外だともう少しかかるのだけれど、仕方がないか。


「ユキと一緒に帰っていると助かるわ」


「はい?」


私、工藤ユキは白戸先輩の隣について下校途中。

先輩とは高校の読書倶楽部の先輩後輩の仲だ。

帰る方向が大体一緒なので、倶楽部のある日はいつも一緒に帰っていた。


「私一人だとよく声を掛けられるから」


「いいじゃないですか、羨ましい」


私は言う。

身長が180㎝もあり、強面の女子高生の私に男子生徒から声などかかることは稀だ。

たとえあっても因縁をつけて来られるくらい(苦笑)

そういうやつらは相手にしないのが一番なのだけれど、時々言っても聞かない人間は少なからず居る。

なので兄弟から、護身術や体術を習っていた。

いざという時のために。


「羨ましい? 好きでもない男どもにへらへらにやにやされならが声を掛けられる身にもなって」


ああ、それは確かに―――・・・


白戸先輩は橋本環奈みたいな1000年に一人の超美少女というわけではないけれど、顔が整っていて男性から見たら美少女の部類に入ると思う。

この私ですら、美人だと思うし可愛いとも思っているのだから。

「美人」と「可愛い」という形容詞は同居しないことが多いのに、先輩にはそれが当てはまる。


「だから、ユキと一緒だと安心して帰れる」


「私は番犬ですか?」


まあ、人に必要とされるのは嫌いじゃない。

それに、先輩の隣りは何となく居心地が良かった。

いい香りがするし(笑)


「――番犬、ドーベルマン」


「そんなに怖い顔付きですか? 私」


酷い例えに顔をしかめる。


「ドーベルマンも慣れると可愛いわよ、昔祖父の家で飼っていたわ」


「もうちょっと、可愛い気がある動物にしてください、先輩」


ふふふと先輩は笑ってスルー、訂正する気は無いようだ。


「私、ドーベルマン好きよ。 ユキのこともね」


「えっ」


・・・なにか重要なことをさらりと言われた。

いや、深い意味はないのかもしれない。

そんな私の思考が顔に現れていたのか、白戸先輩は笑って言葉を繋ぐ。


「私の言った好きの意味はそのままの言葉よ」


「?」


分かるような、分からないような・・・首をかしげてしまう。


「ほんとに、ドーベルマンみたい――ユキって」


クスクスと笑われる。

私は意味が分からずに笑われて恥ずかしくなった。


「難しく取らなくていいのよ、そのままの意味だから」


「好き、ですか?」


「そう、好きよ。ユキのこと」


好き、といっても色々な好きがある。


「パイナップルが好き、とかいう好きですか?」


先輩は吹き出した。


「――――・・・ユキってば、最高――」


「何なんですか、もう―――」


恥ずかしい、恥ずかしくて赤面してしまう。

バンバンと背中を叩かれ、笑われる。

しばらく、笑っていた先輩はやっと落ち着いて私の背中を撫で始めた。


「―――うん、そう。その好きよ」


「はあ」


その好きか。

なんだろう・・・少しがっかりした気分になる。


「ユキはまだ染まっていないね」


「はい?」


また訳が分からないことを言われる。


「高校に入学してまだ数ヶ月ですから」


高校生として見えないということだろうか。

まだ、中学生に見えるとか?


「ユキはこのままの方がいいよ、何ものにも干渉されないでずっと真っ白なままで」


「アドバイスですか?」


「うーん、私の願望かな」


「願望・・・・」


「分からなかったら、忘れて。別にどうでもいいことだから」


よく分からない。

読書倶楽部に入っているから言葉については先輩の言う事は良く分かるはずなのに、今の会話については分からないことばかりだった。





読書倶楽部は毎日ある、放課後に図書館に集まって皆で思い思いの本を借りて読むのだ。

部員は全部で30名近く居るらしいけれど全員集まったところはまだ見たことが無い。

強制ではないので、気が向いたらいつも5人~10人程度読書をしている。

私は基本的に群れるのが嫌いなので、独り自分のお気に入りの席に座っていた。

読書は一人でするものだし、隣に人が居ると気が散ってしまう。

難しい本は読まない、読書は好きだけど読みたいと思った本を読むのが好きだった。

カタっ。

本を読んでいると前に人が座った。

私の近くに寄って来る生徒は稀なので読んでいる文面から視線を上げる。

白戸先輩――――――

目が合い、先輩は笑って挨拶した。

15分遅れ、何かの用事だったのだろう。

先輩はよく私の近くに座る。

初めて図書倶楽部の活動する図書館に足を踏み入れた時に声を掛けてくれたのも白戸先輩だった。

この顔だし、年上の先輩でもなかなか打ち解けるまで時間がかかるのに白戸先輩は初めからフレンドリーに接してくれた。

尊敬する先輩でもある。

「・・・・・・」

今日はいつも読書に集中出来るのに先輩が前に座ってから集中出来ない。

昨日、一緒に帰った時に言われた言葉がずっと頭から離れないのだ。

本人を目の前にしたら。

いつもなら文を目で追えば書かれている情景も、登場人物の考えも伝わって来るというのに文字が頭に入って来ない。

ただの文字を見るだけで、これでは読書とはいえなかった。

心の中でため息を付くと私は本を閉じる、読書倶楽部と図書館の禁止事項に寝てはいけないという規則は無い。

大きないびきをかいたらNGだろうけれど。

倶楽部の一団と、司書の人が居る場所から離れているので問題ないだろうと思って私は机に突っ伏した。

席を立ったら先輩に悪いと思い、先輩の反応はあえて見ないようにして。

でも、突っ伏して寝ようとしたけれど、すぐ近くに先輩の気配を感じてしまうと寝ることもできなかった。

 これでは・・・針のムシロ、参ったな―――

意識してしまう。

本当に何でもなく、ただ単に好きだと言っただけだろうに。

『好き』『嫌い』の好きだ、きっと。

私が意識するようなことでもないだろうに、と言い聞かせる。

寝ることに集中しようとして私は目を瞑った。




ふっ


「ひゃっ!!」


寝ようと努力して机に突っ伏した私はいつの間にか寝てしまったらしい。

そして突然、耳に息を吹きかけられて起こされた。

いきなりの事に大きな声を出し、飛び起きる。


「な・・・っ、何っ!?」


寝起きだったのですぐには状況把握が出来ない。

狼狽えて周りを見渡した。

しーんとしている。


「あ・・・・」


「起きた? もう閉館時間よ、ユキ」


すぐ隣に白戸先輩が居た。

遠くには司書の人が、出口で待っている。


「あ、す、すみません―――」


ようやく、頭が回って来て自分が寝ていたことを思い出す。


「よく寝れた?」


からかうように笑い、私の顔を覗き込む。


「やめて下さいよ・・・もう」


「ほら、鍵閉めの人が待っているから準備して」


「あ、はい。すみません!」


図書館の施錠が私待ちだったのか、申し訳ない。

寝られないと思っていたのに、いつの間にか意識が無くなっていた。

慌てて準備をするとカバンに読んでいた本を入れて先輩と一緒に出口に向かった。




廊下はしんとしている。

生徒の気配も無い。

鍵閉めの人と別れて、私と先輩は玄関に向かう。


「すみません、閉館まで」


ひとしきり謝ったけれど、起してくれてもいいのに―――とも内心思う。


「よく寝ていたから起こさなかったのよ」


いつもの私の心を読んだかのように先輩が歩きながら言った。


「いびき、かきませんでした?」


そこが心配だった、迷惑をかけていなかったかどうか。


「大丈夫、スースー静かだったわ」


そう言われてホッと胸を撫で下ろす。

寝ている間は無意識だから自分では分からない、なら寝るなっていうところだけど今日は先輩と向かい合って本を読める雰囲気ではなかった。


「でも、なんで寝てしまったの? それまではちゃんと本を読んでいたのに」


・・・などと理由を聞いてきた。

そんなことをきかれても困る、理由なんて言えるわけがない。

勘違いだったとしても恥ずかしくて。


「何でもないです、急に眠くなったんです」

前を向いたまま言う。


「―――ユキ、今日は変」


「変ですか?」


誰のせいなのか。

いや、先輩のせいじゃない。

私が変に意識してしまっているからだ。


「私を見て話してくれないのね」


「・・・・・・・」


そうえば、面と向かったのは図書館の椅子に座った時だけの気がする。

先輩に言われて向こうとしない顔を無理やり動かした。

でも、表情は自分でも思うくらい硬かったと思う。


「なに、その顔――――――」


白戸先輩は苦笑しながら言った。


「変ですかね・・・」


「変というか、硬いし、強張っている。私たち、初対面でもないでしょうにどうしたらそんな表情になるの?」


そう言われても・・・困る。

先輩のことを意識したらこういう反応になってしまっているのだ。

自分は先輩に好きと言われて嬉しいのか、戸惑っているのか。


「ちょっと・・・まあ・・・色々と」


顔は向けてはいるけれどしどろもどろになってしまう。


「もしかして昨日の件、気にしてる?」


ドキリ。


ふふふと、先輩が笑う。


「―――なんですか」


「改めて思うけど、ユキは顔に出るタイプね」


「―――――」


自分では上手く隠しているようでも、先輩には分かってしまうらしい。

顔が硬いまま私は顔を赤くした。

私の考えていることを言い当てられて恥ずかしい、自意識過剰だと思っているかもしれない。


「はっきり言ってあげた方が良かったのかも、変に意識させてしまってごめんなさい」


「えっ、あっ・・・いや・・・」


もやもやしていたことが明確になりそうになった。

それなのに、今度は明確にならない方がいいと思ってしまう自分が居る。

でも、先輩は考えていた事と違うことを言った。


「ユキに昨日パイナップルが好きと同類って頷いたけどアレ、嘘なの」


「はい?」


嘘ですと?

あんなに爽やかに、そうだよって言っていたのに?


「嘘?」


「うん」


にっこりと笑う。

この人はこういう時の笑顔はとびきり魅力的で、好きだと思う。

理屈抜きに。


――――好き? 好きだと思う?


はた、と思い、歩く足を止めた。

先輩の足も一緒に止まる。


「私の好きはね、男女間における好きと同義語なの」


「・・・分かりづらいです、それ」


先輩が言っていることはなんとなく分かった。

自分の気持ちも、今自覚した。

だから、モヤモヤしていたのだ。


「ふうむ、ではこれでどう?」


「えっ」


隣に居た先輩が急に私の前に立ち、私の制服を引き寄せた。

身長差が5㎝ほどあるからだと思われ――――

無理やり私は先輩に制服ごと上体を引き寄せられた。

呆然としている間に互いの顔が近づき、先輩の柔らかな唇が重る。

顔だけではなく、私はその場で全身で固まってしまった。

驚き過ぎて目を瞑る、という事さえ忘れている。


「せ・・・んぱい?!」


触れていた唇が離れた瞬間、私は上体を反り返して声を上げた。


「嫌だった?」


相変わらずの笑顔で先輩は私に聞く。

道の往来で大胆にも、制服姿でキスをしてきたのにも関わらず。

それに照れても居ない様子。

慣れている? と、一瞬つまらないことを考えてしまった。


「な・・っ、なっ、な・・っ」


いきなりの展開にパニックになる。

男子とだってしたことがないのに、いきなり女子とか――――!!

顔が熱いから真っ赤になっていることだろう。


「これが、私の“好き”」


「・・・・ですか」


実力行使で私に知らしめるとか先輩、予想外すぎ。

こんなことをするような感じじゃないのに、人は見かけによらない。


「ユキは私のこと、嫌い?」


まだ、制服を掴まれたまま言われる。

これじゃあ、私が先輩に答えを迫られているような構図。


「嫌いじゃ・・・ないです」


むしろ好き、だ。

多分、自覚無しだったのだと思う。

そう考える今日の図書館での態度が理解できた。


「じゃあ、付き合う?」


「―――早いですね」


呆れるくらい、話が進む。

好きなの、好きです、じゃあ付き合う?・・・って、人が付き合い出す始めはこんなにあっという間に決まってしまうのだろうか。


「ユキ」


先輩が掴んでいた手を離して抱きついて来た。

嬉しそうに。

身長差5センチ、私は先輩の頭のてっぺんを見ることが出来る。

とりあえず・・・まだ、少し今の情況を飲み込めていない私は抱きつかれたままでいた。

手を宙に浮かせたまま。

周りに帰宅中の生徒が居なくて良かったと思う、こんなところを見られたら・・・


「ふふふ、ユキはね私のタイプなの」


先輩は顔を上げて言う。


「狙っていたわけですか」


「そう、ユキも私のことは嫌いじゃないことは分かっていたから」


私はまんまと―――別に、いいか(苦笑)


「でも、私が好きだと言っても先輩の言うような恋愛感情の方の好きではないかもしれなかったのに?」


「ううん、それは間違えない」


断言する。

自分自身ですら分かっていなかったのに。


「ユキの好きは私の好きと同じだと確信していたの、ただ―・・・ユキの方に自覚がないだけ」


苦笑して先輩は私の手を取って、自分の身体に巻き付けた。


「・・・まあ、普通は女子のことは好きになりませんからね」


自分で感じていた“ほのかな好き”は私自身、憧れだと思っていたのか。


「そう? 人を好きになるのに男女も無いと思わない?」


その言い方に、白戸先輩は同性間にもあるであろう恋愛を否定しないタイプなのかと思う。

それとも、自分が同じ女性である私を好きだからそう思うのか。


「聞いてもいいですか、先輩」


「なあに」


抱きついたまま先輩は返事をする、離してくれる気は無さそうで私はしっかりホールドされている。

抱きつかれるのは慣れていないのでドキドキした、それに先輩からはいい匂いがするのでくらくらする。


困った―――


「先輩って女性が好きなんですか?」


「私、女の子と付き合ったことは無いかな」


「それ、答えになってないですけど・・・」


「ユキはどう? 女の子が好き?」


「分かりません」


好きという感情が曖昧過ぎて良く分からないのだ。

はっきりと決めかねる。

それこそ昨日言った私の大好物のパイナップルが好き、と同列に並ぶのかというくらいに。


「それでいいと思うよ、人を好きになるのは刹那的なものだもの。まあ、中には遺伝子の関係で子孫を残すために男性は女性を、女性は男性を求めるとか言う人もいるけど」


「後半、生々しくありませんか・・・先輩」


今まさに付き合いそうなカップルに、その話はちょっと―――

交際に夢を持っているわけじゃないけども現実実があり過ぎる。


「男性とか女性とか、それが常識だとか決めつけるのは、要はナンセンスってこと」


はっきりとそう言ってしまう先輩は先進的な人のようだ。


「そういえばユキから返事を聞いてない」


ふと顔を上げる白戸先輩。


「言い・・・ませんでしたっけ?」


「聞いてません」


即答。

そう言えばまだ返事をしていないような、したような―――

先輩がそう言うのならそうなのだろうと思う。

彼女なら間違っていないという信頼の前提で。


「私と付き合ってくれる? ユキ」


自分も先輩のことを好きだと自覚した以上、断ることなど考えられないか。


「私でいいんですか?」


「私はユキがいいの、他の誰でもない」


腰回りに回されていた両手が離れて私の両頬に触れた。

ドキリ。

心臓に悪い。

触れられるのには慣れていないので、やっと落ち着いた心臓がまたドキドキし出す。


「ユキ」


促される。

私は観念した。

目を瞑ると、ひと息吐いてから言葉を吐き出した。






高校入学後、数ヶ月で先輩と付き合う事になった。

誰かと付き合うことを高校に上がる時に考えなかったわけじゃないけど、まさか女性と付き合うとは思ってもいなかった私はまだ少し実感がない。

付き合ったら一緒の登下校なのかと思いきや、朝は先輩の方が早く学校に行くので無理。

倶楽部後の下校時に一緒に帰ることが多かった。


「そろそろ期末テストね、勉強している?」


一緒に歩いている時、隣に居る先輩が聞いて来た。

さすがに手は握らない。

でも、肩と腕が触れ合うか触れ合わないか微妙な距離で私たちは並んで歩いていた。

「してますよ、うちの学校がテストに厳しいのは知っているじゃないですか」

進学校ではないけれど、テストで及第点を取らないと補修や学習が待っている。

それでも点数が取れない場合は最悪、退学もありうる。

「一応、聞いてみたの。話の導入として」

「導入? 前振りですか?」

話の導入として―――というのが先輩らしい、こういうちょっと変わっている先輩の事が私は好きらしい。

「ユキと一緒に勉強したいの、どう? 漫画みたいに」

漫画みたいにとは、先輩はそういうものに憧れているのか(笑)

「もしかしてユキは勉強で困ってないの?」

私に教えたいのだろうか。

「分からないところは兄に聞くのであまり―――でも、先輩が一緒に勉強したいと思っているなら時間を作ります」

「ああ、東大出のお兄さん」

納得、と先輩は頷く。

私には兄と弟が居る、兄は先輩が言うように東大を出ているのだけれど、実家の家業を継いでいた。

弟は私と違い、進学校に進んでいて大学は外国に行くと言っている。

そういう兄と弟に挟まれているので、自然と勉強はできるようになって入試の点数もそれなりに高かったと思う。

「ユキには私が教えることなんてないのね・・・残念」

「いえ、一緒に勉強しましょう」

残念、っていかにも残念そうに言われてしまったので即返答した。

「ほんと?」

しょぼんとしていた先輩の表情が明るくなる。

感情がすぐ顔に出るって先輩は言うけれど、先輩も大概だと思う。

「どこでしましょう? 図書館にしますか?」

「週末の土曜日、市内の図書館はどう?」

少し考えて先輩は言う。

「週末ですか?」

「そ。学校は学校で勉強をするでしょ? 放課後は本を読みたい」

「勉強するのを、学校と分けるわけですか」

「うん、テストも大事だけど授業してから放課後に勉強するのはつらくない? ユキの成績もほどほどなんだからそんなにキツキツに勉強することも無いでしょ」

勉強しなくてもいい、という感じに言われる。

「最初の趣旨からズレてます、先輩」

「分かってないのねえ・・・ユキ」

横で先輩は溜息をついた。

「えっ」

「勉強は建前ってこと」

「どういう―――」

「ユキと一緒に居たいの。付き合っているのにそれっぽいことを私たち、全然していないのよ?」

あ。

先輩に言われてああ、と心の中で頷く。

「・・・でしたね」

時間が無いとかではなく、ただ単にどちらも言い出さなかっただけ。

なにせ初めて、ということもある。

よく考えたらデートをしたことも無い。

まず、付き合ってすぐするべきなのに!

「先輩、土曜日の午前中は図書館で勉強して、午後からはデートしましょう」

私は進言してみる。

「ユキ、良き提案であるぞ」

ポン、と笑って肩を叩かれた。

「ははー」

「今から楽しみ、楽しみ」

予定なしの週末がいきなり決まった。

先輩と一緒に居られるとは考えていなかったので正直、嬉しい。

こんなに嬉しいと思えるなら、もっと早く色々と提案した方が良かった。





「ユキは私服でもすぐに分かった」


あっという間に土曜日は来た。

勉強より、先輩と一緒に居られるという事の方がメインっぽい。

毎日、制服の白戸先輩を見ているのでロングスカートにブラウスの私服姿の先輩は新鮮だった。

高校での先輩ゆえに、中学から上がって半年しか経っていない私などまだ服装が子供っぽく思える。

「どう?」

私の視線が先輩の全身を見ているのに気づいてクルリと回ってくれる。

派手さはなく、落ち着きがある。

私は、スカートは何となく落ち着かないので制服以外は履かないのでGパンになる。

「すごくいいんですけど、形容できません」

「なにそれ」

先輩が笑う。

「感動して、言葉が出て来ないってことでOK?」

「そう、可愛いとはちょっと違うし―――と思って」

「ふうむ、ユキはもっと私を褒める言葉を勉強しないとね」

「はい、精進します」

「ふふふ、ユキって面白いわね」

「先輩もです」

意外に同じような感覚を持っていたのかもしれない。

先輩と会話をするのは、普段友達と話す時より面白くて楽しい。

私たちは挨拶もそこそこに図書館に入って行った。

市内の図書館は平成に入ってからふるさと基金で建てられた、近代的で蔵書もたくさん増えたらしい。

私はあまり来ないのだけれど先輩はよく来るらしく、私に案内をしてくれる。

「閲覧室はこっちで、私たちはこっちの読書室を使うの」

閲覧室は持ち出し禁止の本を見る場所らしく、別になっていた。

読書室は広々としていて天井も高い、机や椅子は現代のプラスチック製だけれど本の並びはいかにも図書館という感じ。

「何年振りかです、ここの図書館に来るのは」

まだ早いので人はまばらだったので、私たちは好きなテーブルに座った。

「学校のいかにもという雰囲気の図書館もいいけど、こういう近代的なものも好きだから私はよく来るの。空調もきいているから寝やすいかもね」

「先輩・・・」

先輩のことが気になって本の内容が頭に入らなくて寝てしまった件のことだろう。

「寝ませんから、今日は。勉強に来たんですから」

リュックから勉強道具一式を取り出しながら、私はムキになって言う。

「怒ったの? ごめん、ごめん」

図書館は声が響くので小さめな声でやりとりをしている。

「でも、本当に気持ちいいのよ」

「先輩も寝たことがあるんですか?」

「ええ、どうしても眠気に抗えなかった時にね」

そういうことはまま、ある。

学校でお昼を食べてからの午後の授業、夏にプールに入ってその後の授業など。

寝ないようにしようとするのだけれど、恐ろしいくらい眠気が襲ってくるのである。

図書館も静かで本を読むという行為で眠くなる場合もあるのは私も体験済みだった。

「先輩、こんなところで寝るのは無防備すぎますよ」

学校(女子高)ならともかく、不特定多数人間が来る図書館で。

「心配してくれるの?」

「当たり前です」

先輩は私の彼女ですから。

心の中で言う(恥ずかしいので本人には言えない)。

「じゃあ、眠くなったらユキを呼ぶわね」

「そこは、“寝ない”じゃないですか? 先輩」

「私が起きるまで番犬のように守って」

にっこり。

先輩の必殺、笑顔。

笑顔にも5段活用的なものがあるのを私は知った、それを私に先輩は使い分ける。

その笑顔を見せられると先輩を好きな私は必然的に従ってしまい、拒否できない。

恋は盲目的な?

「・・・急いで馳せ参じます」

「ねえ、何で時代劇風なの?」

先輩は勉強道具を出したけれど、それを開く素振りをみせず両肘をついて頬杖をつくと私を見て笑う。

これは普通の笑顔。

「何となくです、先輩だとつい・・・こんな風になってしまうみたいで」

「私が時々、使うから?」

「それもあるかと―――女子高生らしくないですか?」

「私はユキと、そういう喋り方で会話するのは好きよ。友達は合わせてくれないのよね」

「普通の女子高生はそういう喋り方はしませんね、時代劇私は好きですけど」

教科書を開きながら返す。

「時代劇うんぬんより、感覚の問題なのかも。その人の感性とか」

感覚と感性、なんとなく分かるような気もする。

自分と相性が合う感じ的な。

「はい、準備出来ました。勉強しましょう」

目の前には教科書とノート、筆記用具が並べられている。

「真面目ねえ、ユキ」

「勉強に来たんですよね?」

「・・・ユキがこんなに真面目だなんて予想していなかったわ」

はあ、と息を付くと先輩も準備をし始める。

先輩は勉強以外の何をしにきたのだろうか。




勉強ははかどった。

最初は目の前に先輩が居て緊張したけど段々、それも無くなってノってきた。

だけど、一生懸命勉強をしていたらいつの間にか先輩の気配が消えていてふと前を向くと先輩は机の上に両腕を枕に寝ているのを発見した。

集中していたから先輩がいつ寝始めていたのかは分からない。

「先輩」

小声で起こそうとするけれど、反応がなし。

少し揺すってみたけどそれでも起きない。

「・・・もう」

まさか先輩が寝てしまうとは―――

手が止まり、じっとその寝顔を見た。

学校の図書館では先輩は寝たことはない。

ほとんど放課後という時間帯でもあるだろうけれど基本、キッチリしている人でどこでも寝る人ではないと思う。


ここはそんなに寝心地がいいのだろうか、無防備に寝るくらいに。


そう言えば、私に番犬として見守っていてと言っていたのを思い出す。

私が側に居るから寝られるのかな? 少し誇らしく感じた。

番犬、というのには引っかかるけれど(苦笑)。

時計を見る。

もうそろそろお昼になるので、このまま決めた時間まで起こさないであげようと決めた。

折角、気持ちよく寝ているのに起こされるのは嫌だろうから。

いつかは耳に息を吹きかけられたけど私は先輩にそんなことは出来ない、さすがに。

静かに勉強道具を片付けて、私は寝ている先輩を眺めることにした。



「先輩」

耳には息を吹きかけないけど、名前を呼びかけることはした。

でないとお昼にならないから、勉強したらお腹空いたし。

「先輩―――」

耳元で少し大きめの声で先輩の名前を呼んだ。

これくらいなら、周りに迷惑がかからないと思う程度の。

びくっ

寝ていた先輩の身体が反応する。


なんだったっけ、これ? 名前があった気がする。

何とかの反応?


「―――・・・む」


少しの間があってからゆっくりと先輩が机から顔を上げた。

乱れてはいない髪の毛をかき上げる、顔に寝ていた服の痕も付いていない。

綺麗に寝ていたようで、実に羨ましい。

こんな風に寝たら絶対、何かしらの痕が顔に付くもの。


「よく寝られました? 先輩」


「この間の仕返し?」

白戸先輩は私を見上げて言う。

「違いますよ、私は息を吹きかけて起こすことはしませんから」

にっこり。

「根に持っているわね、ユキ」

「持っていません。早く片付けて、お昼を食べましょう」

「もうそんな時間?」

よく寝ていたようで顔を両手で覆って先輩は私に聞いてきた。

「はい、片づけを手伝いますね」

机の上にある先輩の勉強道具一式を片付け始めるけれど、先輩はぼうっとしたまま。

仕方が無いので寝起きは覚醒するのに時間がかかるからと私はひとりで片付けてしまった。

「はい、先輩」

「ありがとう、ユキ」

「ちゃんと立てます?」

手を差し出す。

ここまですることでもないけど、一応。

「大丈夫よ、ありがとう」

素直に先輩は私の手を取って立ち上がる。

あまり触れることはないから柔らかい手の感触にドキリとしてしまった。


お昼はデートだったので目的のショッピングモールまで移動して、イートインエリアで食べることに。

お腹が空いたけれどその後のことを考えると懸命な判断だろう。

それに、私たちは高校生でそんなに懐は裕福ではないのだ(苦笑)


「ユキはよく食べるね、見ていて感心する」


私がチキンカレー大盛を食べていると先輩が面白そうに言った。

「・・・それって褒め言葉ですか?」

「もちろん、褒めているわ。私なんてそんなに食べられないから羨ましいわ」

先輩はジュースとサンドウィッチという組み合わせで、私より優雅に食べている。

そのサンドウィッチも多分、全部は食べないだろう。

半分くらいは私に渡されると思っている、本当に先輩はあまり食べないのだ。

「それで身体は大丈夫なんですか?」

凄く痩せているというわけでもない。

見た目、平均的な女子高生の体型だと思う。

「大丈夫よ」

先輩はにっこり笑って、ジュースを飲む。

「ユキは背が高いから、そっちにカロリーが消費されるのかもね」

「どうでしょうね、私もこれ以上背は伸びたくないんですけど・・・」

背が高いのはコンプレックスだ、大体初めての人に対面すると必ずと言っていいほど、見上げられる。

「そう? 私は、背が高くていいなと思うけど」

「背が高くても悩みはあるのです」

カレーがなくなりそうだった。

余程、お腹が空いていたのかあっという間である(笑)

「成長期だから仕方がないわ、それに背が高いユキのことは好きよ?」

「・・・・・・」

「なに? あ、良かったらこれもあげる」

やはり食べていない方のサンドウィッチを私に渡してくる。

「―――先輩、照れもためらいも無く私のことを好きって言いますよね」

人が居てもあまり気にしないのか、スキンシップも多い。

「そう? 好きなものは好きなのだし、私は言うわ。でも、ユキが嫌なら言わないようにするけど・・・」

私が人前で言われるのが嫌だと思ったのか声が小さくなる先輩。

「――いえ、全然嫌じゃありません。嬉しいです」

「良かった。嫌だって言う人もいるから」

嫌だって言う人・・・

「ユキ?」

先輩の言葉に少し引っかかったので言葉を繰り返した。

焼きもちではない、と思う。

でも、その言葉にやはり引っかかる。

「前にも聞きましたけど、先輩って・・・女性が好きなんですか?」

私の前に好きな人が居て、付き合っていたのかも。

「ユキのことが好きよ」

「答えになっていないんですけど・・・」

「そんなことが気になるの?」

「はい」

「・・・明確には女性が好きとは言えないかな、男性でも好きだと思う人は居るから」

先輩はナプキンで指を拭きながら言った。

その指先に目線がつい行ってしまう。

 綺麗な指――――――

今そんなことは全然、関係ないのに。

「付き合った人は―――」

「そんなことが知りたいの?」

先輩が私を見る。

口調は咎めているわけでも、呆れているわけでもない。

「もしかして、焼きもち?」

「違います」

当たっている。

でも、認めたくない気持ちがあるので否定した。

「過去の人なんて気にしても仕方がないと思うんだけどなあ、でも、ユキが気になるなら」

「やっぱり・・・いいです」

子どもっぽいことをしてしまった。

確かに今更、私が気にしても仕方がないだろうに。

「ユキは私の好みの傾向が知りたいの? それとも私が付き合った人の数?」

「すみません、もういいです」

逆に先輩の方が突っこんで聞いて来たので私の方が焦る。

「聞きたいなら答えるわ、内緒にする事は何も無いし」

きっぱり言われる。

「先輩」

「なに?」

「私も好きです」

そう言ってしまうほどある意味、先輩のことを男らしいと思ってしまった。

「変なユキ」

突然の私の好き発言に先輩が苦笑する。

訳が分からないと言った様子だろう。

私もつまらないことを聞いてしまったと反省した、今先輩と付き合っているのは私だ。

過去の人に焼きもちを焼いても仕方がないのに――――

貰ったサンドウィッチを食べる、これを食べたら移動して映画を見る予定。

私は先輩に笑顔で食べ終わるまでずっと見られたままでいた。



先輩と見る映画はアクション映画。

恋愛映画は恥ずかしくて一緒に見づらい、一応先輩にアクション映画が好きか聞いてからだけれど。

「ハリウッドのアクション映画はお金がかかっているから面白いわよね」

売店でパンフレットとジュースを買った先輩がホクホク顔で言う。

「でも、意外でした。先輩がアクション映画を見るって」

聞いた私も一緒に見てくれるか不安だったのだけれど。

「そう? まあ、ユキが私をどういう風に見ていたか分かるわね」

「見た目通りではないと分かりました」

「付き合ってみると改めてその人の表からでは見えなかった部分が分かるから面白いのよ」

私は先輩が初めてだけど。

先輩を見ながら思う。

「ユキにも私のことを知って貰いたいかな」

ふと先輩の手が私の手に触れる。

「先輩」

「私に触れられるのは嫌?」

嫌・・・というより、ドキドキしすぎて映画の内容が頭に入らないです。

顔が熱くて、暗がりだから分からないだろうけれど顔が赤くなっていると思う。

「・・・触られていたら映画に集中出来ません」

何とか言えた。

先輩は小さく笑うと触れている手を離す。

自分で言ったのに、触れ合っている手が離れると何となく残念な気がしてしまう。

「じゃあ、これはいい?」

「えっ」

先輩は私の腕に頭をもたれさせてくる。

「どう? これも集中できない?」

頭をもたれさせたまま、私を見上げる先輩。

暗がりで周りから見られないからこういう機会に甘えたいのだろうか。

「・・・大丈夫です、これなら」

うん、手を触れられているよりはいい。

でも、腕越しに先輩の体温をじんわりと感じる。

「途中で、驚いたら離れるかもしれないけど」

「いいですよ、私も映画に集中してしまうかもしれませんから」

私はそう言ったものの、映画に集中出来るかどうかは分からなかった。



激しいアクション、爆発、時々のギャグがあって映画は面白かった。

ある場面でちょっと気まずい雰囲気になったけれど、なんとか平常心を保ってやり過ごす。

洋画はああいうシーンがあるからちょっと困る(苦笑)。

先輩も私もエンドロールまでじっくりと見るタイプで、そこかしこで動き始めた人たちの気配を感じながら椅子に座っている。

結局、先輩は終始私の腕に頭をもたれさせたままでいた。

長いエンドロールが終わって、館内が明るくなるとやっと先輩はゆっくりと身を起こす。

「ン―――面白かった」

背伸びをする。

「時々、こういうアクション映画を観てストレスを発散するのがいいのよね」

「そうですね、見ていて爽快な気分になります」

先輩がもたれていた腕が痺れていたので、ストレッチがてら動かす。

「ごめん、痛かった?」

それに気づいた先輩が私を見て聞いてきた。

「大丈夫ですよ、2時間くらい」

触れられるよりこっちの方が私はいい。

肌に触れられていると、どうしても意識をしてしまってぎこちなくなってしまう。

「いつもしないからこの暗がりにちょっと乗じてみたの」

やっぱり(笑)。

「だと思いました、みんなスクリーンに集中しているからこちらを見られませんし」

そうこうしているうちに人がまばらになったので、席を立つ。

「明るくなりましたけど足元気を付けて下さい、先輩」

座席と座席の間が狭いところなので私が先に歩いて、先輩に手を差し伸べる。

「ありがとう」

ふいに触れられるのは気になるけど、こういう時はあまり気にならない。

先輩に手を貸すという意味がある所作だからろうか。

「ねえ、ユキ。時間を空けてもう1本見ない?」

座席から階段に出ると先輩が言った。

「もう1本ですか?」

日に2本はさすがに見たことが無い。

映画は好きだけど、日に1本が限度だと自分では思っていた。

「もう少しユキと一緒に居たいな」

「・・・嬉しいですけど、映画じゃなくても一緒に居ますよ」

お昼の私のことを好きと言ってくれるのといい、今の言葉といい、頬が緩んでしまうくらい嬉しい。

時間はまだあるし、映画じゃなくて喫茶店でもカラオケでもウインドウショッピングでも私は先輩に付き合うつもりだった。

「映画がいい」

「まあ―――先輩がいいというんでしたら映画にしますけど、何が見たいですか?」

館内を出て、ロビーにある各映画のスケジュールパネルを見た。

「あの、18時30分からのやつ」

「どれですか?」

先輩が言った時間の作品を見ると、私が避けた恋愛映画だった。

「うーん」

つい、声が出てしまう。

「ユキは恋愛映画って苦手?」

「苦手じゃないですけど・・・先輩と見るのはちょっと」

「どうして?」

「どうして・・・って」

映画だから第三者的な目で映画を観るし、自分と重ねることもないのになんとなく恋愛映画は一緒に見るのを避けてしまっていた。

無意識に男女の恋愛と、私たちのしている恋愛を分けてしまっているのだろうか。

「何も考えずに見たらいいのに、面白いと思うけどな」

「先輩は気にしないんですか?」

「なにを?」

「・・・色々と」

最後の方、私の言葉ははっきりせず濁すような感じになってしまう。

そんな私のことを先輩は笑って言った。

「私たちのこと、気にしているの?」

ぴくり。

「気にはしていませんけど」

「嘘、気にしてる」

先輩は断言する、私より私のことが分かるみたい。

「仕方がないね、じゃあ―――恋愛映画はやめてアニメを見ようか」

急な方向転換。

「アニメですよ? いいんですか?」

「いいよ、私にとって重要なのは映画の内容じゃなくてユキと一緒に居る時間を作ることだから」

「先輩」

初めてそんなことを言われた気がする。

「その代わり、またひっついてもいい?」

先輩が身を寄せて来て、私の服の袖を引く。

その様子が可愛く見えて、また頬が緩んでしまう。

「今度は―――反対側に座ってくれればいいですよ」

ダメなわけがない(笑)

さっきは右側だったので今度は反対側の左に座って貰おう。

「ユキ」

「またチケット、買ってきますのでここで待っていて下さい」

私は先輩をその場に置いて、アニメ作品のチケットを買いに行く。

アニメなんて何年ぶりだろう、これなら何の心配もなく楽しめそうだった。


映画が終わるころはもう暗くなってしまっていた。

高校生が中学生と違うのは少しばかり、夜が遅くても許される点だ。

ただし、23時以降は出歩くのはあまり良しとされない。

ファストフード店で夜ご飯を食べると、結構いい時間になってしまった。

「ユキ、今日は楽しかったわ」

二人でバスに乗り、そろそろ降りるという地点で先輩が言った。

「はい、私も楽しかったです」

2本目に見たアニメはお腹を抱えて笑ったし、不覚にも泣いてしまうシーンもあった。

先輩も私の反対側の腕にもたれながらずっと見ていたけれど、笑う度に身体が動くので1本目よりはリラックスできたと思う。

それでも先輩の体温を感じるとドキドキした。

「今日で一気に今までで濃い1日になったような気がする」

「・・・先輩が一気に距離を詰めてきましたからね」

暗い映画館で手に触れて、私の肩にもたれてきて。

ドキドキのし通しだった。

「付き合っているんだもの、それくらいはするでしょ」

「あまり進展が早いと戸惑います」

先輩にされて嬉しいけど慣れないことを急激に受け入れるとパンクしてしまう不安を感じていた。

「ユキってば―――」

先輩が私の肩を叩いて笑う。

「なんですか、そんなに笑わなくてもいいじゃないですか」

「ユキ相手だと牛の歩みのような付き合いをするしかないわね」

「牛の歩み―――」

あまりいい言い方のようには感じなかった。

「まあ、そのひとのペースってあるからね。私たちはゆっくりでいいかな」

「はあ」

なんだか納得がいかないけど答えておく。

車内アナウンスが先輩の降りるバス停を告げ、減速した。

「あ、じゃあ私はここで降りるわね」

「はい、お疲れさまでした」

バスがゆっくり停車すると先輩は私の横の席から立ち、出口に向かう。

降りる間際、私を振り返って手を振ってくれる。

嬉しかった私は笑顔でそれに応えると、バスが発車しても窓から外の先輩の姿に手を振り続けた。




家には連絡はしておいたので家族は心配していなかった。

「遅かったな、姉ちゃんデート?」

弟がそう言ったくらいで両親は何も言わない。

「違うよ、映画2本見て来たの」

居間で、食後の団らん中。

うちは食事が終わったら、自分の部屋にすぐには戻らない。

1時間~2時間くらいだらだらして家族のコミュニケーションをしてから自室に戻る。

現代の家族の形態としては珍しいと思う。

「まあ、そんな服でデートって感じじゃないもんな」

「悪かったね」

ボカり。

「痛いなあ、姉ちゃん―――」

スキンシップ、スキンシップ。

これでも姉弟間の仲は良い。

「午前中は図書館に行ったのでしょう?」

母。

「うん、静かだったから勉強はかどったよ」

煎れてくれたお茶の飲みながら答える。

「大変なんだから休日まで勉強しなくてもいいのよ、ユキ」

「う、うん」

うちはそんなことを親から言われる家庭だった。

普通は勉強しろしろと言われるものなのに、両親は強く言わない。

でも、その言葉を真に受けて私を含め兄弟は勉強を怠けることはしなかった。

「何の映画を見たんだ、ユキ」

東大出の兄が聞いて来る。

「今、話題のアクション映画とアニメの二本立てかな」

「なんだそれ」

私もその反応には同意する(苦笑)

恋愛映画を観ても同じだし、どうせ見るなら楽しいものって言ったらアニメしかなかった。

「でも、面白かったよ」

映画の1本目を見終わった時に先輩に言われたことは私も感じていた。

 まだ、少し一緒に居たい―――

先輩も同じように感じていたのだと知って嬉しかった。

「はい、パンフ。アクション映画の方だけど」

「ふうん」

今夜の話題はアクション映画についてになりそうだった。




テストが1週間行われ、結果が張り出された。

私の順位は中の上くらいで、変動なし。

まあ、これくらいなら―――というところ。

別に兄のように、東大を目指すわけでもなし。

白戸先輩はというと学年5位以内に入っていて、前回より順位を上げたそうだ(先輩の報告によると)。

1年生は2年、3年生の教室には近寄れず発表表が見られないのだ。

学年5位は凄い。

いつもはのほほんとしているのに、と感心してしまう。


「ハリーポッターを借りたの?」


私が抱えている本を見て先輩が聞いて来た。

「はい、今更ながらに。原作は読んでいないので」

今日は2冊借りた、そのうちの1冊を読書倶楽部の時間で読んでいる。

「面白いわよね、どんどん引き込まれる」

「映画も面白かったんですけど、原作本ならではもありそうで楽しみです」

倶楽部が終わって、廊下を歩き中。

テスト中は倶楽部活動も出来なかったので、結果が張り出されてから即図書館に来たのである。

先輩も本は読みたかったようで、分厚い本を1冊借りていた。

背表紙は英語で読めなかったので興味本位で聞いてみた。

「先輩のそれは何の本ですか?」

随分と古めかしい装丁。

「シェークスピアのリア王」

「見るからに古そうですね」

「うん、原文のママの本だから。この学校が建てられた時に地域の名士が学校に寄贈したのですって」

「原文のまま?」

思わず声がうわずる。

「先輩って原文のまま読める人なんですか?」

初めて知った。

確かに英語はこの学校では必須科目だし、力を入れているけど。

とりあえず私は、授業に落ちこぼれない程度には身に付けている。

「ユキは読めないの?」

逆にあっさりと聞かれる。

こういうときの先輩の言い方は意地悪なのか、本気なのか分かりにくかった。

「読めません、英語は苦手で」

良くある、英語アレルギー。

嫌々やらされているからか、興味が薄い。

「私の場合は進学と今後の為で勉強しただけ、英語は勉強しておけば役に立つし」

「それは人それぞれですけどね、英語が出来れば人とのコミュニケーション範囲が広がるとは思いますが」

「苦手だと今後も勉強はしないの?」

「必要無いですもの」

海外旅行にも興味ないし、道を聞かれることもあまり無いし。

「グローバル化に付いて行っていないね」

先輩は私の顔を覗き込む。

「私は古い日本人なので、置いて行かれても全然気にしません」

「ユキが進学するか就職するか分からないけど、英語を勉強して海外旅行に行こうよ」

「えっ」

いきなり海外旅行のお誘い。

「ダメですって、話せませんもん」

飛行機も乗り慣れないのに、それに英語も全然。

授業で習っても嫌々だから身に付かないし。

「一緒の英会話教室は?」

「いやいや、無理、絶対に無理」

行きたい気持はちょこっとあるけど、不安の方が大きすぎる。

無理。

「・・・・ホントに英語が嫌なんだ、ユキ」

「英語はホントつらいんです」

一応、全教科頑張って勉強しているけれど英語が一番点数が悪かった。

「誘い甲斐が無いなあ」

「日本国内なら喜んでお付き合いしますけど」

「まあ、それもいいけど―――」

残念そうに言う。

原文のママ読めるくらい英語が出来るのだから海外旅行など朝飯前だろう。

先輩のことだからTOEICも受けているのだろうな。

あれは英語力を試す試験だし、高得点なら大学も進学も有利に働くだろうし。

何にしても先輩が高スペックなのは間違いない、私は改めて尊敬の目で先輩を見てしまった。

「なに? そんな熱っぽい目で見て、キスでもして欲しいの?」

「―――思っていませんよ、なんでそうなるんですか」

手に触れられただけでもドキドキするのに。

「誰も居ないから、キスしてもいいよ」

「しませんよ」

「どうして? ユキは私とキスしたくないの?」

歩きながら聞いてくる。

「ここ、学校ですよ。不謹慎です」

「真面目だなあ―――」

先輩は冷やかすように言う。

「じゃあ、学校じゃなかったらキスする?」

「・・・まあ・・・学校じゃなかったら―――考えます」

先輩とのキスは私も嫌ではなかった。

以前、校内で強引にキスされた時は驚いてびっくりしたけどその後にキスの実感がじわじわ来たのを覚えている。

「私からでもいいけど、今度はユキからして欲しいな」

キスをねだられる。

「タイミングが無いですよ」

「それはちゃんと計ってよ、私はいつキスされても怒らないから、ね?」

腕を組まれ、身体を押し付けられた。

・・・先輩、胸が結構あるから感触が。

そんな不埒なことを考えながら、身を少し引く。

スキンシップはいまだ慣れなくて、少しずつ慣れてゆくしかないだろうなあと思う私だった。




さすがに毎日、毎週、会ってデートするほど時間が合うわけじゃないので先輩とは付き合っているけれどほどほどに会う。

うちにはまだ来たことがないけれど、私は先輩のマンションにお呼ばれした。

父子家庭だと聞いて驚く。

うちが両親とも揃っていて、兄弟も居てなんの問題もないから更に驚いた。


「母は私を生んですぐ亡くなったの、だから母親のことも覚えてもいないから別にさびしくないかな」


先輩はあっさりと言う。

家事もやりながら、父親の世話をして勉強もしているなんて凄いと思う。

「でも、兄弟が居るユキは羨ましいな。楽しそう」

うちは父ひとり、子ひとりだから―――と言う。

「でも、うるさいですよ。よくケンカするし」

ふふふ、と先輩が笑う。

「喧嘩する相手が居るんだからいいわ、私なんて独り言よ? 父はいつ帰って来たのか、いつ出て行ったのかも分からないのに」

「そんなにすれ違いなんですか?」

「仕事人間だから。でも、優しい人でまだ母のことを愛しているの」

そう語る先輩の表情は柔らかい、お父さんのことは嫌いではないようだった。

「でも、もう十年以上も経つんだから再婚してもいいんじゃないかと思うんだけど」

「先輩はお父さんの再婚OKなんですか?」

「母のことは知らないもの、話を聞いても実感は湧かないし。私も大学に進学したら家を出るつもりだから誰か好きな人と一緒の方がいいんじゃないかなって」

「大学、遠いんですか?」

「ん―――東京の大学だから遠いね」

私は先輩のお父さんの事しか考えていなかった。

「ですよね、先輩の学力なら東大とかも」

「まさか、そんなところは狙わないわ。語学に特化している大学に行くの」

英語といい、語学に特化している大学に行くということは翻訳家にでもなるのだろうか。

部屋の中央にあるテーブルの上に乗っている飲み掛けの紅茶のカップを見る。

先輩の部屋は想像よりシンプルで立派な本棚が印象的、背表紙はほどんと英語だった。

ぬいぐるみなどというファンシーなものは一つもない、あるものといえば古い洋画のポスターと私のあげたブラキオサウルスのフィギュアくらい。

先輩も私同様、恐竜が好きらしいので私の好きな恐竜をプレゼントにあげた。

貰って嬉しいかどうかは分からないけれど(笑)。

「まだ、1年半もあるから大丈夫」

「えっ」

私は顔を上げる。

「えっ、って―――私が東京の大学に行くから寂しいのかと思ったんだけど違うの?」

「あ、ああ―――そうか」

「そうかって・・・」

先輩が苦笑する。

「ユキは別に私が東京の大学に行ってもあまり気にならないのね、離れたら忘れられてしまいそう」

私は紅茶をもらったけれど先輩はコーヒーを飲んでいた。

コーヒーの香りと紅茶の香りが混じり合っている。

「―――ちゃんと毎日、先輩に連絡しますよ」

そうなんだ、先輩は大学に進学すると東京に出てしまうのだ。

先輩に言われるまでそのことをすっかり失念していた。

「どうかなあ、ユキって結構、大事なことを後回しにするから」

・・・確かにそれは、否定できない。

メールもLINEもその場で確認するけどあとで返信するからいいやと思ってすっかり忘れているということはまあまあある。

まだ数か月しか付き合っていないけど先輩はその間に随分私のことを知ったと思う。

私も先輩に対しては自分をなるべくさらけ出すようにしていた。

「ちゃんとします」

しょうと思う、うん。

今から直す。

連絡は面倒くさがらず即、返信。

「本当~?」

「本当ですよ、直します。今から」

先輩が焼いたというクッキーを手に取る。

勉強も出来て料理も出来るとか。

以前にも思ったけど白戸先輩、高スペック過ぎ。

「それ、美味しい?」

私がクッキーをすぐ食べずに持っているのを見て先輩が聞いて来た。

「美味しいですよ、市販されたものだって言って出されても分かりません」

美味い、マズい、は分かるけどそれが手作りか市販ものかは分からない。

「良かった、ユキの口に合って」

「私の方が合わせます」

嘘ではない言葉。

「ユキ」

「本当ですよ」

先輩が作るものには外れが無かった、少しダメなものでも私は合わせると思う。

100が80になったくらいじゃマズいとか、食べないとかは言わない。

「ユキってほんとに変わってる」

先輩はテーブルに肘を付き、カップを持って私を見る。

「変わっていますか?」

「うん、言葉の選び方が私を刺激する、話していて面白い」

前にも言われた。

私は普通に話しているのに。

でも、悪く言われているわけではないようなのでその言葉を素直に受け止める。

その――変わっている私を好きになってくれる人は今のところ先輩くらい。

先輩に声を掛けられなかったら、別の人が私に声を掛けてくれただろうか?

私は他の人に興味を持っただろうか?と時々考える。

「ねえ、ユキ」

「―――あ、はい」

いかん・・・また一瞬、考え事をしてしまった。

時々やらかす。

話していてどこかに心が飛んでしまい、相手に迷惑をかける。


「キスしようか?」


「はい?」


さり気なく、いつもの調子で先輩が言う。

照れも無くにこにこと微笑みながら。


「・・・いきなりですね」


私は何ともないように話しているけれど、内心では心臓が急にばくばくし始めていた。

キスはまだ、1度しかしていない。

いつでもいいよ、とは先輩から言われたけどタイミングが計れずに今に至っている。


「だって、ユキってば全然してくれないんだもの」


「はあ」


キスがしたいという気持ちと、タイミングが合わないのは仕方がないと思う。

気持ちが無いのにキスはしたくなかった、先輩はどうなのだろう?

気持ちが入っていなくてもいいのだろうか?

テーブルで向かい合っていた先輩がカップを置き、私の隣に移動して来た。

今日は図書館には寄らず、家にも帰らずに先輩のマンションに来たから制服のまま。


「―――いつも先輩からですね」


どちらから、ということは問題ではないと思う。

私はどちらからでもいい。

はっきり言うと私が先輩とキスをしたいと思うことは稀で、先輩がキスをしたい&先輩にキスをされると気分が上がって来る方だった。

私は受け身なのかもしれない(笑)


「嫌?」


「・・・嫌じゃないです、むしろその方が私はいいです」


先輩の手が私の顎を掴み、自分の方を向かせる。

ドキドキして照れはするものの、逃げるという気持ちは起きない。

相変わらず先輩からはいい香りがした。

目を瞑ると唇に柔らかなものが押し当てられ、何度も唇が重ねられる。

感触を実感しようとしていたら舌が滑り込んで来た。

「・・・・っ」

私は顎に添えられている手を掴む。

引離そうとしたわけではなく、何かに掴まっていないと流されそうになる。

湧き上がって来た感情は私の身体を熱くさせていた。

数秒ではなく数分間、私たちはキスをしていたと思う。

唇が離れた瞬間、随分と長かったと感じるくらい。


「・・・もう一回してもいい?」


私はキスをしていた間に動き、先輩に身体ごと向き合っていた。

あんなに長くキスしたのに先輩はお代わりを要求する。


「いいですよ、気の済むまでしても」


「ユキは?」


「私も先輩と同じ気持ちです」


 一回じゃ、満足できない―――――――


いつの間にか私の手が先輩の腰を引き寄せている。


「ユキもその気?」


先輩が笑う、相変わらず笑顔が素敵だ。


「はい」


「ユキ―――――」


先輩の伸ばされた両腕が私の首に回され、私も掴んでいる先輩の腰を更に引き寄せると私たちの身体は制服越しに密着した。

求める気持ちが昂って来たのか、先輩のキスが先ほどより大胆になる。

私も本能のまま、したいように先輩にキスに応えた。



「あ」

私は玄関で声を上げる。

「なに?」

玄関の扉を開けて外を見れば雨が降っていた。

「雨です、予報じゃ雨は降らないって言っていたのに・・・」

天気予報を信じていた私は傘を持って来ていない。

ザーザー降りではないけれど、しとしとと濡れれば風邪をひいてしまうような雨。

「―――傘くらい貸すから、そんな情けない声上げないの」

玄関にちょうどあった大き目の傘を貸してくれる。

「いいんですか?」

「いいの、余っている傘だから。それよりユキが雨に濡れて風邪をひかれると困るわ」

「ありがとうございます、先輩」

ずぶ濡れで帰らなくていいのはかなり嬉しい。

「また、明日ね」

「はい」

そう、やりとりをしたけど今日はいつもとは違った。

何となく去りにくい気持ちがある。

「どうしたの?」

「・・・・・」

傘を開きかけたままでいる私に先輩が声を掛けてきた。

「先輩」

「うん?」

「・・・クッキー、美味しかったです」

何とか言葉を絞り出し、自分を抑え込む。

自分がこんな風な思いを抱くとは思ってもみなかったので驚いていた。

ふと力を抜くと先輩を抱きしめてしまいそうな自分が居る。

「ユキが食べてくれるならまた作るわ」

「お願いします、じゃあ―――」

私はぎこちない笑顔を作った。

こういう時はさっさとこの場を去るに限る、先輩に何かをしてしまう前に。

「気を付けてね、ユキ」

にっこり、邪気の無い笑顔で見送ってくれる先輩。

労して笑顔を保っている私の心のうちは分からないだろう。

その方がいい―――

キスひとつで自分の気持ちがこんなにも変わってしまうなんて思わなかった。

まずいな、と感じる。

これまではいい感じに先輩と距離を取って来たのに、何気ないキスから一転して一気に踏み込んでしまった気がする。

これが“好き”という感情なのか。

今まで自分が感じていた“好き”の感情は何だったのだろうか。

好きと言われたら、軽い気持ちで好きと答えられる程度の好きだったのか。

家への帰り道、私はいつもより頭を使いつつ悶々としながら帰ったのだった。


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