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ふこしあ  作者: 山口かずなり
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仮面に選ばれた子ども・レイド

四十三人目の子ども


「仮面に選ばれた子ども・レイド」


レイドは、蛇の皮で腰を覆った、半裸の子どもです。


熱帯雨林に住む民族で、果物や木に潜む虫を貪ります。


川に網を張り、魚を引き上げ、ヤリの切っ先を光らせ、蛇の頭を狙います。


どの狩りも一人では行いません。


団体で行い、支え合います。


子どもだからという甘えはきかず、大地に立てば、皆、狩人になるのです。


しかし、レイドは役立たず。


魚は上手く掴めず、蛇も丸焼きを見るだけ。


大きな堅い葉に乗せられた、果物や焦げた肉を貪ります。


心ない大人は、何も言ってくれません。


ただ、長だけは違います。


レイドが、無駄飯を貪った日。


長の家に招かれ「仮面」を手渡されます。


仮面は、目立つ赤紫色で緑と対峙します。


眼には二つの穴が開き、口は裂けたように笑っています。


息が出来るようにか、所々欠けていて不気味です。


長は、狩りの場で役立てるように、仮面に「まじない」をかけます。


村の灯りであるトーチの火が妖しく揺らめきます。


「レイド、よく聞きなさい、この世に生まれて役立たずの命は一つも無い、


自分にしか出来ない役目に気付きなさい、


仮面を付けて、民の力に」


レイドは、仮面の力を信じます。


狩りの日。


言われた通りに仮面を付けます。


すると、カッと眼が見開きます。


顔が覆われているからか、いつもより大胆になれます。


威勢よく川に網を張り、かかった魚を川辺に引き上げます。


ピチピチと跳ねる魚は、手強く、いつもなら掴むとヌルリと抜けていきますが、その日はガシッと咥えて逃がしません。


かごの中に次々と入れていきます。


上手くなったと、大人はレイドの頭を撫でます。


同い年の子どもは魚を掴み損ね、燃え立ちます。


かごの中の6匹の魚を見て、仮面の下、思わず笑みが零れます。


この調子でいけば、蛇狩りでも役に立てると、大人たちに続いてヤリを手にします。


切っ先を光らせ、大胆に熱帯雨林を駆けます。


狙うのは、蛇の頭。


木に絡みついた蛇を見つけます。


すると、取り巻く緑がざわつきます。


巨大な二つの眼が高く昇り、夜を呼びます。


縦に亀裂のある眼で睨み、網目模様が浮かび上がります。


レイドは、彼女を見つけて眼を見開きます。


その正体は蛇たちの頭


「大蛇」


大蛇にとって、子どもは鼠と同じ。


とくに蛇狩りの子どもは、格別においしいのです。


しかし、レイドは動じません。


ヤリを握りしめ、長の言葉を思い出します。


ついに役立てる時が来たのです。


咆哮を上げます。


大蛇は、容赦なく襲い掛かってきます。


すると、ヤリの雨が飛んできます。


大蛇が叫び、怯みます。


大人たちが加勢に来たのです


「黙って逃げろ」と声がします。


大蛇は、大人たちを狙って噛みつこうとします。


このままでは、役立つ大人たちが食べられてしまいます。


レイドは咆哮を上げ、注意を引きます。


こざかしいと、大蛇が追いかけてきます。


熱帯雨林を駆け、命の切っ先が光ります。


標的は巨大ですが、1匹しかいません。


民の勇敢なヤリが10本あれば、1本欠けても足ります。


大きな隙をつくれば、あの大蛇は狩れるのです。


覚悟を決めます。


仮面を囮に「なげます」


大蛇は、ぶつかってきた仮面に噛みつき、あっという間にグルリと巻き付き、締め上げます。

その隙をついて、大人たちが降り囲み、ヤリを一斉に突き刺します。


民は咆哮をあげました。


その夜は、村に大きな火が焚かれ、大蛇の肉を貪ります。


蛇の皮は腰巻きに、歯は長の首を飾ります。


民はレイドの欠けた仮面を祀り、果実を捧げます。


仮面は、満足げに口が裂かれたように笑い、両親は花冠をつけたレイドの頭を撫でてくれます。


両親に褒めてもらえた・・・。


レイドは、皆の役に立てた、しあわせな子どもでした。



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