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ふこしあ  作者: 山口かずなり
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いたずら好きな子ども・ステルス



十三人目の子ども



「いたずら好きな子ども・ステルス」



ステルスは、いたずら好きな子どもです。



いつも、頭部がヒビ割れたアイスホッケーのヘルメットをかぶっていて、ヘルメットの網の隙間から、いたずらを仕掛けるターゲットを確認してニヤリとしています。



ステルスは、こんなにも目立つ格好をしているのに、周りの人たちは、この見た目を気味悪がっているのか、誰もステルスには話し掛けません。



もしかすると、ゴーストのように怖がられているのかもしれません。



ステルスは、手作りのパチンコを手に、町中の窓ガラス目掛けて、ビー玉を飛ばしていきます。



窓ガラスには、ピキッとヒビが入ります。



ステルスは、yesと、ガッツポーズです。



いたずらがバレないように、直ぐに物陰へ隠れます。



町中の人たちは、窓ガラスに張られたクモの巣を見て、うんざりしておりました。



さぁ、次はどんないたずらをしてやろうか。



ステルスの頭の中は、次のいたずらの計画でいっぱいです。



秘密基地の廃屋に帰れば、階段をかけあがり、屋根裏部屋の窓を開けて、望遠鏡で次にいたずらを仕掛けるターゲットを探し始めます。



すると、望遠鏡の中で、1台のトラックが、ゆるいスピードで走っておりました。



トラックの運転席の窓からは、毛むくじゃらの腕が、えらそうに生えています。



望遠鏡で、トラックのヘッドライトの先を見てみますと、子どもがひとりぽっちで歩いていました。



子どもの手には、手作りのパチンコが握られていて、その髪型は、ヘルメットを脱いでから片手でぐしゃぐしゃと掻いたように乱れています。



トラックが、ゆるいスピードのまま、子どもの隣に並びます。



しばらくして、トラックが道の端に停車して、子どもが乗り込みました。



新しいパチンコを買ってあげるよ、とでも言われたのでしょうか?



子どもを乗せたトラックは、そのままどこかへ行ってしまいました。



この先は、望遠鏡ではのぞけません。



ステルスは、また別の日も、廃屋から、そのトラックの運転手がする事を見ておりました。



また、子どもがトラックに乗り込みます。



時々、トラックの運転席から降りてくる男の姿が見えます。



その時、トラックの運転手は、ステルスのように、ニヤリとします。



あのトラックの運転手も、ステルスのように、何かいたずらを考えているのでしょうか?



ステルスは、それを見ながらニヤリとします。



トラックが子どもを乗り込ませる為に、道の端に停車します。



ステルスは、その隙を見計り、トラックの荷台に乗り込みました。



トラックは、平らな道を外れると、凸凹道を早いスピード走っていきます。



トラックが、運転手の家のガレージで停車しました。



トラックの運転手の表情が急に冷たくなり、子どもが乱暴に腕を捕まれて、家の中へ連れて行かれます。



ステルスは、その一部始終を窓ガラスの外側から見ておりました。



トラックの運転手だけが楽しそうです。



ステルスは、その子どもが可哀想になりました。



手作りのパチンコを握りしめて、窓ガラス目掛けて、ビー玉を飛ばします。



窓ガラスには、ヒビが入ります。



トラックの運転手は、物音に気付いて、窓ガラスのある方を見ました。



ヒビ割れた窓ガラスを見て、眉間にシワを寄せます。



これは誰のしわざだと、家の外へと出てきました。



その手には、先ほどまで使われていたと思われる鈍器が握られていました。



ステルスは、それを見て、家の裏側の物置小屋の中へ隠れます。



ここで見つかれば、あの子どもたちのように、トラックの運転手にいたずらをされてしまいます。



ステルスは、物置小屋の扉をしめて、小屋の奥で膝を抱えて息を潜めます。



静かにしていると、足音が聞こえます。



足音は家の裏を行ったり来たりしながら、物置小屋の方へと近付いてきます。



扉が、ギーと開かれました。



おねがい、おいらを透明人間にして。



トラックの運転手が、激しい足音を鳴らしながら、ステルスの方へ迫ります。



ステルスは、それを見上げて絶叫をあげました。



ですが、不思議です。



トラックの運転手は、ステルスが目の前で絶叫をあげているのに、手を出してきません。



まるで、ステルスの姿が見えていないかのように、物置小屋から出ていきます。



ステルスは、命拾いします。



忍び足で、物置小屋から出て、家の窓ガラスから中の様子をうかがいました。



床に子どもが倒れています。



ステルスは、窓ガラスの外側から、その子どもへ自分の存在を知らせようと、窓ガラスを叩きます。



ですが、反応がありません。



倒れてステルスの方を見ているだけです。



ステルスは、その子どもの反応がない事と、トラックの運転手の先ほどの行動を思い出して、ようやく気付きます。



あの時、自分が透明人間になった事に。



この力があればあいつに勝てるかもしれません。



ステルスは、ニヤリとします。



さぁ、反撃開始です。



自分の姿が見えない事をいいことに、トラックの運転手へ、いたずらを次々と仕掛けます。



家の窓ガラスにヒビを入れて、ガレージのシャッターを下ろして、カーテンにもテーブルに置いてあったライターで火をつけて、勢いよく燃え上がらせました。



トラックの運転手は、ポルターガイスト現象を見て、目を見開きました。



だんだんとパニックになっていきます。



手に握りしめていた鈍器も床へ落としてしまいました。



ステルスは、家のドアノブの形を、床から拾い上げた鈍器で歪な形にすると、 窓から、外へと出ていきました。



町へ帰ると、親子連れが歩いていました。



ステルスは、親子連れとすれ違う時に、こんな事があったんだよ、と話し掛けますが、誰も聞いてくれません。



やっぱり、姿が見えていないようです。



ですが、ステルスはこれで大好きないたずらがし放題ですから、



別に良いや、とニヤリとするのです。



ステルスは、透明人間になれた



しあわせな子どもでした。



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