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ふこしあ  作者: 山口かずなり
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文字の中にいる子ども・コール



十人目の子ども



【文字の中にいる子ども・コール】



コールは、文字を書くのが大好きな子どもです。



カッターで削った黒鉛筆を片手に持ち、自分の頭の中に浮かんだ文字たちを、もう片方の手でおさえている紙の上に書いて、自分はジーニアスなのさ、と、しあわせな気分に浸るのです。



コールの書く文字は蛇文字のようで、とてもお上手なんて言えませんが、コールの頭の中に浮かぶ文字は、いつも意味が遠回しでおもしろく、アーティストな彼等には、その黒い文字がカラフルに伝わるのです。



そのようなコールの遊びは、やはり、大好きな文字から始まります。



コールは、その遊びを「てがみかくし」と呼びます。



コールは、ある場所へと誘導する、意味が遠回しの不思議な手紙を何通か書いて、それを町中の色々なところに隠して、それを見つけて興味を持った人に、自分の事を捜させました。



お手紙を使ったかくれんぼは、夢中になってしまいます。



さぁ、今日も、てがみかくしのはじまりです。



コールは、1通目の手紙を町中の壁に貼り付けました。



その手紙には、こう書いたのです。



「お父さんがお母さんへプロポーズをした場所、そこはしおれた花もつぼみも満開の花たちに囲まれている丸いお皿の上、あまり上にのびすぎると、カチカチと時を刻む針に首をちょんぎられそう、



12時の下に隠れたよ」と。



そこに隠した2通目の手紙には、



「星空が見えるくるくる山の山小屋、赤い岩がチャームポイントで、僕が生まれた場所、



誰かのいやしい目がのぞいてたけど、間に合ったみたい」と書きました。



コールは、その場所にも手紙を貼り付けて、次の隠れ場所へと向かいます。



しばらくして、山小屋に強い風が吹きます。



手紙が、風にさらわれて飛んでいきました。



その事にも気付かずに、コールはかくれんぼを続けました。



かくれんぼは、見つかると終わるのです。



風にさらわれた手紙が、町中の冷たい床へと落ちます。



その手紙には、こう書かれていました。



「ここは、しあわせな場所」



両親が手紙を読んでも、探偵が読み解こうとしても、その意味は分かりません。



ただ、コールの友だちだけは言います。



コールは、その中だよ、と。



そこでクスクスと笑っているのです。



コールは、大好きな文字の中にいる、



しあわせな子どもでした。



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