エスプレッソっておいしい
異世界に来ての初めてのコーヒー回です。
よろしくお願いします
眩い光に晒された後、橘と蕾の2人は目を覚ました2人の行動は早かった。まずは自分達
の置かれている状況を確かめようと外へと出た。するとそこに広がる青い空に青い海が広がる清らかな風光明媚な風景が眼前に広がっていた。「うわー綺麗!」「なんたこの風景は!」 あまりの目を奪われる風景を前に圧倒される。「いや、綺麗なのは分かるけどここはどこだ?周りを見た感じだと海外の街並みを
歩いてるみたいな感覚になるな。」
「いったい、ここはどこなんだろう。せっかく念願だった万代の街で働けると思ったのに」
今までの異なった街並み蕾実は、困惑する。
「もう引き返そうよ。」と来た道を引き返そうとしたとき蕾実何かを見つけて立ち止まる。「あっ、あれは...」
「どうかしたか」橘はいぶかしげに突然立ち止まった蕾実を覗き込む。すると突然蕾実は走り出す。「BAR《 バール》だー」蕾実は一気に気持ちを高揚させて不安な気持ちなんてなかったかのようににテンションを上げて。
「ねえ、橘さん入っていこうよ」
「えっ、言葉も通じるか分からないのによくそんなこと言えるな。」それに帰るって言ってたのに……と橘は小言を言う。そこで黙って睨み「大丈夫だからいいから入るの」と蕾実は一方的に無理矢理主張してくる。
「わ、わかったってまったく、こっちの考えを聞かない奴なんだから。」
「なにか言った?」
「いや、なんでもない。」蕾実にはどうも頭が上がらずにBARへと足を踏み入れる。
店内に入るとカウンターにマスターが立ち出迎えられる。「いらっしゃいカウンター席ですか。テーブル席にしますか」マスターから訊かれる。
「カウンターですか?」
「あー、えっと......」まずい言葉が分からな
「イエス、」
「分かりました。」
「ご注文はコーヒーでいいですか?」
「イエス。」
「お連れの方も同じもので?」
「イエス!」
「かしこまりました。」
マスターはそう言い残してカウンターの奥へ入っていった。
「おっ、全部イエスで応えたけどなんとかいけそうだな。」
「ほんとにそれでよかったの?」
蕾実は何も言わずに橘の対応を見守っていたが再度、確認をする。
「えっ?どういう意味だよ。」
「いや、なんでもない、コーヒーが出てきたら分かるよ。」
「出てきたらって普通のコーヒーだろ。」
どういうことだろう。
「はい、コーヒー、どうぞ。」マスターは
小さいカップに入った少量のコーヒーを出してきた。
「これって!?」
「なにって、エスプレッソだよ。」
蕾実は分かってましたとばかりに言う。
「なんでエスプレッソが出てくるんだよ」
「えー、知らないんですか、BARでコーヒーと注文したら出てくるのはエスプレッソなんですよ。知らなかったんですか?」と自慢気に言ってくる。
「いや、知ってたし。ブレンドコーヒーが出てくるだろうなんて思ってないし。」
「まぁ、橘さんがBARについて無知なのが分かったとこで冷めないうちに飲みましょう」
マスターはそっとエスプレッソにチョコレートみたいなものを添えてくれた。
蕾実はチョコレートを食べてからエスプレッソをクイッと一気に飲む。勿論砂糖を入れるのを忘れずに。
「うーん、美味しい。」
チョコの甘さがエスプレッソに溶けた砂糖の甘さと合わさり相乗効果で絶妙な味わいが堪らない。
「おい、浸ってるところに水を差すようだけどここの支払いは大丈夫なのかオレ、日本のお金しかないけど。」
会計を指摘する。「ハウワ!どうどうしよう......ない。」
「ほら、いわんこっちゃない!」
2人して慌てふためき、初来店でツケなんて使えるはずがなく、皿洗いや給仕といった仕事を代金の肩代わりとして働いて返すのだった。
なんと、異世界でカフェで働けるようになるなんて一生懸命に頑張るぞ!