伝説未満 7
襲いかかる数十本の矢に対して魔法を放つ魔王の
「風塵障壁」
という言葉に反応し、彼を中心に半径二メートルほどの魔方陣が出現した。
魔方陣の完成した合図だろうか、それはほのかに白く輝くと
薄暗い洞窟の内部を照らし出し、その外周から激しく風が巻き上がった。
この風によって、魔王へと向かっていた矢は次々と弾かれていく。
その様子を見て、少し焦りの色を浮かべるライズだったが
槍の力の発動を最優先にするしかない。
対する魔王は、身動きもせず集中する勇者に止めを刺そう
そう考えて新たな呪文を唱えようとしていた。
そんな彼の視線が一瞬、矢が弾かれた壁面に目を向ける。
目に映るのは弾かれた水で壁が濡れているだけ
の光景。
だと思っていた。
だが、実際には無数の針が壁面に刺さっている。
微かな疑問によって魔王の集中力が乱れた。
同時に鉄壁だったはずの風壁に乱れが生じる。
その乱れによって生まれたのは、ほんの小さな隙だった。
矢では通過できない塵ほどの隙を縫って魔王に襲いかかるのは
水の矢として魔王に襲いかかろうとしていた無数の針。
魔王の危険を察知する力が裏目に出た結果
思わぬ攻撃を受ける魔王。
大多数の矢が弾かれたとはいえ、壁を抜けた針は幾百という本数。
ダメージとしてはそれほど大きくなかったかもしれない。
しかし、魔王の集中力を欠く、という時間稼ぎには効力を発揮した。
はずだったのだが




