伝説の剣付近 十三(勇者の墓場、エナンデ)
こんな物語じゃなかった!
はずなんです。
勇者に丸投げ。
そんな過酷な時代がようやく終わり、本来なら「最後の魔王を倒した者」
としてこの世界に広く名を知られるはずだったトア=ライズ。
だが、実際には魔物の統率者である魔王を討ったことで
世間に新たな混乱を招いた存在、自分勝手なライズという悪名の方が
広まっていた。
頼まれてもいないのに、魔王討伐に立候補
(大切な家族と愛する人を守るために自分を犠牲にしてでも、という思いからだったのだが)
しかも、これと言った成果もあげずにだらだらと各国を放浪して
その間にも世界は魔物に蹂躙され続けていた。
(彼の標的は、一般人に襲いかかる雑魚モンスターではなく
それらを生み出し、操る存在である魔王と戦うために奥深い迷宮を彷徨っていたからだ)
ところが世間一般には、彼の努力や苦悩など一欠けらも評価されることは無かった。
一般人にとって重要なことは、魔王討伐などという根本的な対策ではなく
今日、旅の途中で魔物に襲われた時に
その魔物を倒してくれる者こそが勇者だった。
この温度差に何度もくじけそうになりながら、ようやく辿り着いた魔王の居城で
遂に魔王を倒すことが出来た。
ところが、結果として残ったのは、魔王を倒す事が出来た彼のせいで
統率を失った魔物の暴走が始ってしまう。
大衆にとって、重要なのは目の前での成果で
誰が何処でどのくらい苦労したか?
は目の前で起きている事実にはかなわない。
民衆にとって、魔王を倒した勇者は「悪」
であり、魔物の進行を食い止めた冒険者こそが「救世主」と言う事になり
この日を境に「勇者」という一つの時代が終わり
新たに冒険者の世界が始まったのだった。
そして勇者時代を終わらせたトアが村に辿り着いてから
話の最後に必ず口にしたのは
「結局みんなは、自分たちを救ってくれる存在なら
誰でも良かったんだよ」
だった。
いちおう、コメディーのつもりで書いているんです。
伝わってますか?




