招集
どこに向かっていくのでしょう?
思いつきとは、後悔の種なのかもしれません。
ノウリの報告によれば、コエウゾ山脈の奥深くに
魔獣らしき存在が確認されたという。
「またいつもの見間違いなんじゃないの?」
あまり興味無さそうなカイルの反応は
明らかに、苛立ちを覚えるノウリを見て面白がっている
としか思えなかった。
しかもそうと解っていてなお、立場的に礼を尽くさなければならない。
この日、ノウリのゲージはMAXに達し
カイルに対する憎しみのレベルは、また一つヒートアップしてしまうのだった。
そんな二人の関係をため息交じりに眺めつつ
やんわりと事態の収拾を図ろうとするデイルが
「魔獣ですか、そうなれば当然我々も・・・・・・」
彼のこの言葉で、さっきまでなんとなくな雰囲気を醸し出していたカイルの表情が変わる。
「招集、ですか」
ポツリとこぼれた言葉に対して、最も反応したのは招集という事実を告げに来たノウリだった。
自分にとって最も大切な存在を死地へと送り込むためにここにいる。
しかも、その大事な存在の安全を守る事が出来るのは、自分にとって
絶対に認められない者。
自分の力の無さを悔やみながら、それでもなお
最愛の人の為にノウリがとった行動、それは二人に跪きつつ
「お二人には、魔獣討伐に対して力を尽くすよう
中央より指示が出ています。
カイル様、デイル様は早急に対応をお願いいたします」
こう言って深々と頭を避けるノウリに対して、何か一言ふざけて見せるのが今までのカイルだったが
今回に関しては無言で部屋を後にする。
その後に続くデイルもまた、無言だった。
冗談交じりのふざけた言動をしなかったカイルの様子が事態の危険の大きさを表す指標に思えた。
ただ去り際に、跪いていたノウリの肩方に優しく触れていたカイルの手の温かさを
僅かな希望として、二人が去った部屋で一人
自分の力の無さを嘆くのだった。
種をまいて大きく育ったら
大収穫祭!
でも、後悔の豊作って喜んでいいのかな?




