小さな世界
ユアンの元に入って来る続報が、彼女にとって望ましい結果になっているようで
終始、ご満悦のご様子の彼女が浮かべる表情も、ごく一般的な人間の笑顔に似ていた。
「そのご様子ですと、計画は順調のようですな」
ユアンの浮かべる「人」のような表情に油断して
つい、そんな事を言ってしまったサンダルは、その後、後悔する。
「順調?
計画??
この世界にそんなものは存在しません。
水は高い所から、低い所に流れます。
最後に辿り着く所は、既に決まっているのですよ。
ただ、違いと言えばどんな流れを辿ったか、と言う事だけ。
苦しみ抜いて辿り着く者もいれば、特に意識することなく到達する者もいるし
そうかと思えば、楽しんで目指す者も・・・・・・。
かつての人間世界は、親に兄妹、近しく限られた小さな世界に縛られていました。
それがあの日、神の目によって生まれ変わったのです。
少なからず、私の言葉に思い当たる事がある者は
既にその選択肢を手に入れているはず。
あとはただ、決断するだけ。
あなたも
そう、あなたも早く決断した方が良いでしょう」
この後、ユアンの笑みの質が変わるのを目の当りにしたサンダルは
無言のまま一礼し、部屋を出ていく。
一人残されたユアンはその表情のまま、新たな報告が入るまでの時間を
楽しんでいた。




