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伝説の剣附近 28(惨劇、その心に潜む闇)
ユアンの爪が体に入り込んでくる。
モーパイにとって、それ自体の痛みはとるに足らないものだったが
彼にとっての不幸は、その肉体を侵食する爪が肉を穿ち、骨を砕き、神経を切断しながら
侵食する時に発する音が原因だった。
肉体を蹂躙する度に発せられる音。
それは控えめに言って「黒板を爪で引っ掻く音」と言ったら
わかってもらえるのだろうか?
本能的に感じる危険なサインを全身に感じ
これ以上ない恐怖に、自らの最後を覚悟する。
もう、これ以上は・・・・・・。
項垂れたまま、ただ、終わりの時を待つだけのモーパイに
ようやく訪れる最後の時。
ユアンの爪が彼の脳に到達する。
ただ唯一、ユアンが天使の従属だと証明されたのは
ヒトならざる存在、魔獣であるモーパイにさえ、死の瞬間は
脳内に溢れんばかりの快楽物質を生成させていた。
喜びの表情と共に最後を迎える彼に対して
ユアンが
「ゆっくりお休みなさい」
と呟いた。




