邂逅
今回の話と、最終話。
これだけ思いついて書き始めました。
人里離れた森の中にひっそりと佇む小さな家。
その中にいるのは病床に伏した老人と、彼の孫
なのだろうか?
青年が傍らで看病している。
どうやら老人は、自身も最後の時が近いことを悟っているようだ。
そんな彼が、ふと目を開けた。
「ああ、居たのか」
青年の姿を視界に捕らえ、そう言った。
この言葉に対して青年は無言で頷き
両手で老人の左手を優しく包み込む。
老人の意識は、恐らく夢と現実の間で揺れ動いていたのだろう。
「昔の夢を見ていた」
そう言いながら青年の手を握り返す。
最後の時を迎えようとする老人の手は皮が厚く、ゴツゴツとしていたが
出会った頃と同じように暖かく、青年に対する愛情を感じた。
「どんな夢だったのか、聞かせてください」
青年にとっては、既に何度も聞いた自分と出会うまでの話。
恐らく、この話を聞くのは最後になるだろう。
そして、その話を終えた後の老人の満面の笑みを見るのも
最後になるのだろう。
青年は、そんな思いと葛藤しながら最後の物語に耳を傾ける。
そんな青年の返事を聞いて、老人の手は少しだけ左手に力が戻ったように思えた。
それから、ほんの少しの沈黙の後。
老人はゆっくりと口を開いた。
なんだか暗い話になってしまった。




