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異世界 花嫁修業  作者: あべ鈴峰
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召喚された理由は

外国人がいる!!


想定外の事に、沙弥は 無意識に身構える。


腰までの長い金髪に 薄水色の瞳 。すらりとした体 。佇まいからして上品だ 。


同じ日本人だと決めてかかっていた。だから 相手が外国人だと知って 、困惑する。


こんなに間近で、先生以外の 外国人を見るのは初めて 。なんとかコミュニケーションを取ろうと 頭の中で挨拶の言葉を思い出そうとする。

(こういう時は …)

「How do you do.My name is …」

握手しようと差し出したが、止まる。


彼女が 顎に手をやって 私の周りを回る。 じろじろと見られて、 変な汗が出る。


沙弥は、ジッとしながら 自分も目だけ動かして、彼女のことを観察した。

と、ブレスレットに目が留まる この子も私と同じだ 。


「あなたは 日本人でしょ ?」

流暢な日本語に 目を丸くしたが 、はたと気づいた 。言葉は通じるんだった 。


「そうです。日本人です 。名前は沙弥と言います。 色々と教えてください 」

べコリと、頭を下げる。

「良いわよ。 私はキャシー。 イギリス人よ 。でも 私は、ここに来て まだ三日目だから、リン の方が詳しいよ」

「 りん?」

「 ルームメイトよ 。リンはアメリカ人で、 半月も前から 、ここにいるからベテランね 」

「その…リンさんは、どこですか ?」

あたりに人影が無い。


「さあ知らないわ 。そのうち帰ってくるでしょ」

キャシーが肩を竦める。


こうして近くで見ると 透き通る白い肌の中に、 薄くそばかすが見える 。正真正銘のイギリス人。 そんな人とこんなふうに 、お喋りできるなんて 、夢のようだ。


「サヤのスペースは、こっちよ」

キャシーに案内されながら、部屋を見回す。

第一印象はホテル。

生活感が無い。ベッドメイクされた ベッドの横には 、サイドテーブルに読書用のランプ。

白い壁に は 風景画の絵が一枚だけ 。何とも殺風景な部屋だ 。

「ありがとう 」

壁側の一番端のベッドにカバン置く。


スマホを取り出そうとしたが 、お約束のように見つからない。仕方がないと、 教科書をベッドに並べ始めた。


すると キャシーが、それを見て驚く。

「凄い。日本の高校生は、こんなに沢山、持ち歩いているの?重そう」

「テスト勉強しようと思って、詰め込んだだけだよ」

ポリポリと頬をかいた 。私は、そんな真面目な生徒じゃない。


パラパラと ページをめくりながら、 キャシーが

聞いてくる。

「これ日本語でしょ ?初めて見る。… この写真見たことあるけど何の教科書?」

「 世界史の教科書だよ」


キャシーが首をひねった。

「 日本人のサヤと普通に喋れるけど、文字は読めないみたいね 」

「……キャシーは、この国の言葉を読めるの?」


読めると読めないでは、全然違う 。

「う〜ん。カレンダーとかは見たことあるけど…。本とかは 、まだ見たことがないわね」


もし、その通りなら生活していく上で何かと不便だ 。


「ビックニュース!ピックニュース !」

廊下からの声にドアを見ると背の高い女の人が乱暴にドアを開けて 中に入ってくる 。

(この人が、リン?)


今度は赤毛の人だ。圧倒的な存在感に気圧されながら 、沙弥の目が一点に向けられる。

身体も大きいが、胸も大きい。

セレブ姉妹の胸を思い出す。


豊かな赤毛に緑色の瞳 。

こうして二人を見ると、黒い髪に黒い瞳の自分が、つまらなく思える 。

みんなが髪を染めたがる理由が わかった気がする 。


「明日、王都に行くメンバーを決めるんですって 」

「とうとう、その日が来たのね 」

「そうよ。やっと外に出れるわ」

リンは私に目もくれず、キャシーと話している。


はしゃいでるリンと違ってキャシーは 深刻そうな顔をしている。

「あの……」

何が気になるのかと、声をかけると リンがくるりと振り向く 。

「あなた、誰?」

「 私は …」

見おろされるように言われると迫力がある 。

「サヤよ。日本人で、さっき来たばかりなの」

「よろしくお願いします」


頭を下げると、リンが手をひらひらさせる。

「堅苦しい挨拶はいいわよ。 私たちは同じ立場なんだから」

「それで、どんな方法で選ぶか聞いたの ?」

「もちろん。何でも血を取るんですって」


「血っ!!」

思わず出た大声に二人が、こっちを見た。 慌てて両手で口をふさぐ 。

恥ずかしさに頬を染めながら 気にしなくていいと手を振ってごまかした 。

「大丈夫よ 。針でチクッと、するだけだから、注射器は使わないわ」

リン が安心させようと肩に手を置く 。

注射器で採血されるかと思っていた のて、ほっと胸をなでおろした。 針を刺すくらいなら我慢できる。


「それで何を調べるの ?」

「さあ、そこまでは知らないみたい」

リンが両方の手のひらを挙げる。


「気になるわね ……」

キャシーが、ぶつぶつと言いながら 部屋をいったりきたりしだした 。

どうしたのかと、リンを見ると 首を振る。

どうやら、キャシーは心配性らしい。


「あの…そもそも私たちは、どうして異世界に連れてこられたんですか?」

ずっと気になっていた事を聞いて見た。

人身売買だと、思っていたが二人とも落ち着いている。

さっきまで行ったり来たりしていたキャシーが、足を止める。

「?」

真顔のキャッシーと目が合った。

「皇太子の花嫁を選ぶ為よ」

「えっ?…………えー!!」

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