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白羽の矢が立ちました

ノウスラーン大陸西部のリオンスシャーレ王国。その遥か南に位置するど田舎もど田舎。

コウントゥリー方面のメディオクレ村近くの山に白い光が墜ちた。



「流れ星かの?」



農具を担ぎ空を見上げる男にはそれが流れ星に見えた。



「いってえええええええ!!!?」


「?」



突如、山にこだまする声。

次いで物凄い音をさせて駆け降りてくる音がした。



「おっとおおおおおおおおお!!!!」


「んー?」



男は目を凝らす。薄闇の中、駆けてくる小さな人影に見覚えがあった。鋼色の癖毛にレモン色の瞳を何故か涙目にし、左手を右手で押さえながらこちらへと走ってくる。息子だ。あのバカ面は間違いなく息子だ。


また仕事を放って山に遊びに行ってたのか。それで虫かなんかに刺されたのだろうと(おっとう)と呼ばれた男は思った。



「なんか知らんけど空から突然左手射たれて白い火が点きよった!!ちょっ、見て!!鎮火してるけどスゲー熱いし見るの怖いから代わりに見て!!」


「バカたれが、どーせ蜂の巣つついて遊んでたんだろうが」


「ちっげぇし!俺ふつーに薪広いしてただけだし!!手ぇ燃えて全部放り投げてきちゃったけど!!」


「どーでもいいが。ほれ、見せてみろ」


「ん!」



息子の手を見る。


燃えた様子は無い。やはり虫刺されかと男が思い始めたところで異変が起きた。白色のものがジワジワと浮き上がり始め、手の甲いっぱいに四角と矢の模様が完成したのだ。



「な…、なんじ「なんじゃこれええええ!!!?」



男が言い切る前に息子が叫んだ。


そこで男は先ほど見た光が何か関係しているのではと思い付く。



「はっ!そうだ!!近くの街の神官に聞いてみりゃ何か分かるかもしれん!!明日、急いで行くぞ!!」



翌日、馬を借りて街の神官に見てもらったところ、光の白矢に当たり模様が出た者が勇者候補であるとお告げがあったので、それかも知らないと言われた。


男、息子共に唖然である。


なんの間違いでこんなど田舎の村の頭の悪い暴れん坊が勇者候補とか、笑えもしない。



「きっと何かの間違いだ。神官さま見てくだせぇ、このチンチクリンのどこが勇者に見えますか」


「うーーん、失礼ですが同意しかありません」


「ねぇそれ本人のいる前で失礼じゃない?」


「うん、間違いだ。きっと何か新種の虫に刺されたんだろう。薬草貼っとけばその内治るだろう」


「では痣に効く軟膏を塗って包帯を巻いてあげましょう」


「おお、そりゃありがたい」


「新種の虫こえー、手が燃えるとかマジこえー」



こうして、勇者候補選別の白羽の矢は華麗に無視されたのだった。

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