神からの強制クエスト
「何の用ですか神さま」
しぶしぶ手を目線の近くまで上げた。つーかこれ周りが見たら完全変な人じゃないか。それなのに神は何かの焼き菓子を食べている。
『まーやる気ないわねー。まぁいいわ。貴方に良いお知らせっつーか、強制クエストあるんだけど良いかしら?』
「良いも悪いも“強制”の時点で選ぶ権利無いように聞こえるんですけどー」
『なによ、物分かり良いじゃない。じゃあ遠慮なく言うけどーー』
本当に遠慮無いなとテレンシオは思った。
『王都テレジアに行って、ギルドでこのクエストを受けてきなさい』
ピコンという音と共に半透明な板が手の甲から飛び出すように現れ、その表面に文字が浮かぶ。
わけわからん現象にテレンシオは考えるのを放棄した。魔法の一種だろう。よくわからない現象は全て魔法のせいだ。
テレンシオは板に書いてある文字に目を通した。どうせ読めないだろうと思っていたのだが、何故か理解できた。
テレンシオはあまり学がある方ではない。簡単な読み書きは出来るが難しい言い回しになると途端分からなくなるのだが、これは一体どういう事だろうか。
『どーせ読めないだろうから、あんたのステータスにちょっと細工したわ』
ステータスが何なのかは知らないが、神の仕業なのは理解した。
神から送られてきた文字の内容はこうだ。
ーーー
【強制クエスト】
王都テレジアの本ギルドにて、山の奥にある青桜の枝を取ってくる依頼を受けよ。その時に入る洞窟でマオ・トルゴという人物を救助せよ!
ーーー
との事だ。
「誰?」
『めっちゃ強いから仲間にして損は無いはずよ』
「強いのに救助せよ?」
『強くてもどうしようもない時ってあるでしょ』
「そすか」
強くてもどうしようもない時って、一体どういう状況なんだ。
『詳しい内容は追って説明するわ。まずは王都に行きなさい。とろとろしないでよね、その子余り待たせると死ぬから』
「そんな切羽詰まった状況かい!」
神が画面から消え、普通の手の甲に戻った。
仕方がない。
やる気は起こらないが死なれても困るのでテレンシオは駿馬を調達するためにまず近くの村に向かったのだった。




