卒業します
そこから先は主に旅に必要な知識をひたすら覚えさせられた。そして相変わらず洞窟に潜る日々。そんな毎日にテレンシオが飽きて逃げ出そうと思ってもググルグが凄い形相で追い掛けてくる。
そして頭に物凄い拳骨。
なんだよ馬鹿になったらどうしてくれるんだ。
「もともと馬鹿だろう」
「ひっでー。なぁヒールこんな奴の部下で辛くないのか?」
唯一の回復系魔法使いのヒールに頭のタンコブを治して貰いながらそう訊ねれば、あんなんでも優しいところはあるんですよと庇われた。
そうしてそんな生活が一月続き、一通りの必要な訓練を終えた頃。
「フォーさーん。次の任務が来てます」
ニロが虎梟を抱えてやって来た。
【虎梟】
伝書鳩の役割をこなす大型の猛禽類。
よほどの嵐の中ではない限りは飛び、他の肉食鳥類に襲われにくい為によく使われる。体力があるので長距離飛行が可能で、頭が良くて人の言葉を理解する。それゆえ虎梟に向かって悪口を言うと怒って攻撃してきたり拗ねて飛ばなくなったりするので注意。
「ああ」
ググルグが虎梟の脚筒から手紙を取り出して読む。
「分かった。そろそろだとは思っていた。おい!テレンシオ!」
「なにー?」
ググルグから貰った剣を使って木に描いた目玉模様を攻撃していたテレンシオが手を止め振り返る。
「お前は今日で卒業だ。明日から私達は次の任務へ向かう!」
「え!?マジ!?」
解放だ~!!と喜ぶテレンシオの後ろでゴイダ、ミケランジェロ、ヒールが「ええー!!!」ととても残念そうな声を上げていた。
「せっかく後輩が出来たのに!!」
「弟みたいな感じになってたのに!!」
「色々教えたい事あったのにぃ!!」
「そっち方面教える気だっただろ糞[ピー]玉」
「ゴイダひでえ!!」
それにググルグは盛大に溜め息を吐いた。
「お前ら忘れていると思うがな」
ググルグはテレンシオの頭を鷲掴み、仲間の方に無理矢理振り向かせた。
「こんなんでもこいつは勇者だ。それに13で冒険者やっている奴も珍しくない!大丈夫だ!教えることは教えただろう!!それですぐにくたばるようなら弱くて馬鹿なコイツが悪い!!」
「ぐっさんほんといつか覚えてろよ」
「それに元々基本任務は勇者の補佐役だ。世界を回っていればいずれ会える!良い年した大人がメソメソするな!!泣くなうざい!!」
「フォーさんの鬼ー」
テレンシオがボソッと言ったらググルグの拳が落ちてきた。痛い。
その夜、テレンシオの卒業パーティを開き、盛大に飲みまくった。
さぁ、明日から一人旅だ。




