第一訓練所へようこそ⑥【勇】
次の相手はカカシだった。
その頭と胸には先程の木と同様な目玉模様が掛かれている。とても悪趣味なカカシとしか言えない。
《次はそのカカシを倒してください。倒しかたは先程と同じですが、今回はそのカカシ、逃げます》
逃げますの言葉でカカシの棒の部分が突然浮かび上がりクルクル回って動き出した。
テレンシオはそれを冷めた目で見ていた。
今まで村でよくお世話になった畑の相棒とも呼べるカカシが、まさか敵だとはな。
しかも動くとか。
《あと、攻撃もしてきます》
「おーまいがっしゅ。ふざけてるぜ」
つい他国の知り合いが言う口癖がつるりと口から飛び出てくるくらいにはテレンシオは呆れていた。
いや、確かにさっきので当たる確率は増えましたけども、茶色い甘い物も欲しいですけども、さすがに飽きてきた。
あと、少しだけテレンシオは気になっていることがあった。
それは機械的な音声の奥の方からチラチラ聞こえる声。聞き覚えがあるような。
「質問があるんですけど」
《なんですか?》
「後ろにいるの、神ですよね」
《…………》
声が止まった。
コトンと何かを置く音がしてしばらく間が空く。
そのうち何かの曲が流れてきた。なんだかしばらくお待ちくださいと言われているような、指を腕の上でトントンしながら待ちたくなる曲だった。
永遠ループする曲がようやく途切れ、声が戻ってきた。
《あはははは!!よーく分かったわね!!そうよ!私が麗しの神様です!!》
それと同時に空間に映像が浮かび上がった。その向こう側に先程とは違う服装の神がいた。どうした、神々しさと一緒に衣装さえも殴り捨てたのか。
「……はぁ」
《ちょっと、神様の前で何ため息ついてるのよ》
「いーえー、なんでもー」
くっそむかつくわねと画面の向こうで神が言うが、テレンシオは無視をした。
やる気がなくなった。
もうねっころがって動きたいくらいにはやる気がなくなった。
「よっこいしょ」
《寝るんじゃないわよ!!》
なんか神の手のひらでコロコロ転がされるのも急に嫌になって横になっていたら、目の前にカカシの棒が近付いてきた。
「?」
カカシの目玉模様と目が合う。
《やれ、カカシ》
フワッとカカシが高く飛び上がって、テレンシオ目掛けて突っ込んできた。
「ぎゃあああ!!って、何すんだ!!?」
間一髪で回避したテレンシオが神に向かって怒鳴ったが、神はスーンとした顔でこういった。
《あんた勇者としての私の後輩だから仲良くしたいなとか思ってたけど、やめたわ。これから泣こうが喚こうが関係なく、私があんたを試練にガンガンぶちこんで強くしてやるわ!!!いけ!!カカシティーレックス!!!》




