神、不安になる【神】
「………えっと、スー?」
先程の熊との戦いを三回ほど巻き戻して見直した神は最後のクッキーに手をつけずに秘書を呼んだ。
「なんですか?」
「ちょっとあの子のステータス見せて、一応数値化してるのもあるわよね?」
「ありますよ」
秘書は本棚のファイルを取り出し、中から紙を取り出すと神に手渡した。
「どうぞ」
「ありがと」
紙に記してあるステータスを見詰め、神は唖然とした。
平凡なステータスの中で《カウンター》《投擲》が高数値。勇者として一番必要な《剣術》が全ステータスの中で一番低かった。
「まって、剣術ひっく!!?ほぼ無いに等しいじゃない!!」
「ああ、だからあんなに空振りを…」
これなら《鍬》や《鎌》に《斧》の方がマシだ。
「あの子今まで何で害獣駆除してたの!?剣じゃないの!?」
「記録を見ると主に石を投げたり、鎌で切ったり、木の棒で殴って倒していたみたいですね」
「《カウンター》で!?」
「《カウンター》で。ちなみに父親の方も《カウンター》がステータス振り切ってるので遺伝もありそうです」
「そんな遺伝聞いたことないわよ!!」
となるとこの親子は常に条件反射で反撃して駆除していたことになる。よく今まで生きてこられたなと感心した。運が良かったのかと思って見てみたが、運は五割しかなかった。
「ねぇ、スー」
「なんですか?」
「勇者、本当にあの子で大丈夫かしら」
先程の憎らしさも忘れて心配なる神であった。




