能力極振りタイプ【勇】
ググルグは目を疑った。
熊の放った爪をテレンシオは流れるようにして回避をすると、その勢いを利用して熊の顔面に剣を振るった。
剣は無防備な熊の顔面を一薙ぎし、目元から血が吹き出した。
「!?」
「お?やるなアイツ」
驚くググルグの後ろでゴイダが感心した声を上げた。
熊は突然の攻撃に戸惑いを隠せないようでヨロヨロと後退している。
「よし!追撃だ!」
「うぇーい!!」
ゴイダの応援にテレンシオは変な返事を寄越すと意気揚々と熊に攻撃を仕掛けに行く。
大きく剣を振りかぶり、降り下ろした。
スカッ!
「はい?」
しかし剣は空振りした。それはもう見事な空振りだった。
何故そんな至近距離で外すんだと、ググルグはまたしても驚いた。
「あ」
熊が体勢を建て直し、驚きから徐々に怒りに変わる。
『グオオオウ!!!』
熊が怒りに任せて体当たりをしてきたが、それをテレンシオはまたしてもスルリと避け、剣を胴に滑らせた。
そして追撃をしようとテレンシオは熊を追い掛けて剣を振る。
スカッ!
しかし剣は素晴らしい程に空振り。
どこに振っているんだとググルグは心の中で突っ込みを入れた。
『ガアアアア!!!』
「ぐっふう!!」
ついに激怒した熊が急ブレーキを掛け、その巨体でテレンシオを吹っ飛ばした。
今回は空振りしてすぐだったからかテレンシオは体当たりをもろに喰らい、ゴロゴロ転がって止まる。
「いったぁ、ビックリしたわもー」
大の字でそんな感想を述べるテレンシオは吹っ飛ばされた割りには元気だった。そして普通に起き上がると「何すんだコラー!」と熊に突進していき、盛大に空振り。
熊はチョロチョロしている存在を煩わしそうに爪を振り回すが、テレンシオはまたしてもそれを軽くかわして腕を切り裂く。
そして追撃は空振り。
「…フォーさん、あいつだいぶ変な戦い方しますね」
「………」
そんな感じで、通常の攻撃は一撃も当たらず、全てカウンター攻撃のみで熊の体力を削っていき。
「いえーい!勝ったぜー!!」
なんとテレンシオは勝ったのだった。
熊を踏みつけ剣を掲げてドヤ顔のテレンシオを見てググルグは思った。
(こんな勇者で大丈夫なのか…?)
と。




