一方その頃【神】
勇者が決まりひと安心して神は紅茶を飲んだ。
さて、これで私の仕事はほぼ終わったようなもんだ。
「神様、良かったのですか?」
「えー?なにがー?」
「願い事の件ですよ」
「いいのよ、言われてみればなんの報酬も無しに働かせるなんてブラックだもの」
私はホワイトを目指しているのよと神が言う。
「どうせなら管理人に推薦すれば良かったのでは?そうすれば実質不老長寿で、努力次第では世界をまるまる管理できる様になったのではないかと」
「………」
神が無言で頭を押さえていた。
ついでにしまったその手があったかと小さな声が聞こえる。
しかし、神はすぐに復活した。
「目的を達成した暁に選択肢の一つとして提示するわ。大丈夫、まだ間に合う。うん、余裕余裕」
「忘れないで下さいよ」
「私は神様よ?忘れるわけないじゃない。完全記憶持っているのよ?スーったら心配性なんだからー!」
いくら優れた能力を持っていたとしてもアホ属性で全然安心できないのですがと秘書は思ったが、黙っていることにした。神は拗ねるとめんどくさい。
「ところで、勇者にするための必要な手続きはもう終わったのかしら?」
「今フォーの仲間が村や教会で手続きを済ませております。こちらも観測者に連絡済みなので順調です」
「ふっ、これぞ完璧な仕事!あとは勇者の、えーと名前が思い出せない。テレ…テレサだっけ?」
「テレンシオです」
「呼びにくいわね。もうテレサでいいわ。で、テレサどうしてるの?旅立った?」
「いえ、今フォーと共に山中にいますね。熊と戦わせて実力を計るみたいです」
ほら、と秘書がモニターを点ける。
相手は黒に背中が赤色の筋が入った熊。なんだか凄く暴れている。
「なんかあの熊怖いわね。なにあれ」
「セアカグマです。殺人熊として有名な熊です。村を壊滅させる程の強さなので、勇者が少し心配です」
「ふーん。ま、危なかったら止めれば良いし。どんな試合にあるか見てみよーっと!」
神はモニターの前に紅茶とお菓子を持ってくるとワクワクしながら試合を見守った。




