命の鎖と叛逆者
急いで続きを書いたので文量は少なめです……。どうかお許しを……(-_-;)
「『手料理』が、概念ごと?」
全くをもって理解に苦しむ言葉だったが、考えうる最悪のシナリオが着々と私の脳裏で組み上がっていくのが分かる。2人がテロリストを名乗る理由も段々と読めてきた。
「……ねぇソルト君?」
「はい。貴方は、母さんは知るべきだ。人類の愚行とあのディストピアを―――」
◇
20XX年、世界は核の炎に包まれて――――――こそいなかったが、社会の影ではとある結社の計画が実行に移されようとしていた。
その計画の名は『SHOCKモッツ補完計画
「ちょっと待って」
「どうかしましたか?」
「色々言いたいことはあるけど一言にまとめて言うね? シリアス君が仕事してないの」
「お気持ちは解ります。でも、例えネーミングセンスがゼロであっても敵が強大であることに変わりはありません。何せ日本の全家庭から『台所』を無くし、挙句食料を配給制にしてしまう程の権力ですから」
「まさか、誰も料理をしなくなったってこと!?」
「その通り……! タダで日々の糧が得られる以上飲食店はもれなく閉業。衣食住のバランスも崩壊し余計に経済が回らない暗黒の時代です」
何ということだろう。方向性こそ違うが大方私の予想は的中してしまっていた。
「どうしてそんなことが……」
「『彼を掴むなら胃袋を掴め』ってゆーこと、なの」
赤い目のまま会話に復帰したショウコちゃん。今の私ならその意は介せる。
「ショウコの言う通り、『食』は命に繋がっている。連中は国民を依存という形で掌握したんです」
成程、合点がいった。要するに敵は『社会』、当たり前となってしまった『縛られた食』をこの幼い二人は解き放とうとしているのだ。国家にすら反目する故に『テロリスト』なのだろう。
だとしたら、それは何という酷な話か。強大な敵を叫する為にこの兄妹は幼少期を犠牲にしている。それも汚い大人達の為に。
許せない。自分勝手な社会が。そして、何もしてやれなかった母親が。
「お母さん……」
「母さん……ハンカチを」
そうか。もし私が死んでしまったら。ソルト君も、ショウコちゃんも、二人が積み上げてきた何もかもが潰えてしまう。
それなのに、私は。私って奴は、バカなんだ。自分ですら守れていなかったじゃないか。
「……ごめん。ごめんね……こんなダメなお母さんで……」
無性に情けなくて、悔しくて。こんなに泣いたのはいつぶりだったか。
気付く頃には我が子を抱きしめてしまっていた。
「泣いちゃやだよ、お母さん……」
「そうだね……。ふたりとも、えらいなぁ……」
出来ることならば、あと何十回、何百回だって褒めてあげたい。この小さくも勇ましい、そんな叛逆者達を。
めちゃくちゃ投稿遅れてましたね……。評価してくださった方々、本当に申し訳ないです!!<(__)>