1話
広い森の中に俺は今立っている。何があったんだっけ。記憶を整理する。
思い出した、俺は死んだんだった。じゃあ何故此処にいる。
俺は親に殺された。些細な親子喧嘩だった。まあ細かい事はどうでもいい。
殺した親を恨んだ。そして殺された自分を恨んだ。
恨みと言うのはすぐ消えるものらしい。俺はそうだった。
だが死んだばかりの時の恨みは強かったようで、
この世界に魔王として転生した。
魔王のスキルとして自分や他人のステータスを見ることができる。
自分のステータスを見てみた。ステータスが云々は置いといて、
ジョブという項目を見てみたが確かに魔王と書いてあった。
次に持ち物だ。腰に袋があった。中には魔王の証だけが入っていた。
魔王の証とは真の魔王が触れると光るらしい。確かに光っていた。
スキルは魔法、槍術等があった。スキルと言うのは人に
教わったりして覚えるらしい。試しに初級魔法の[光弾]を使ってみた。
簡単に言うと浮かせたり、飛ばせる灯りだ。周囲が照らされる。
明るくなったからか人影があるのに気付いた。怪我をしているようだ。
接触してみようか迷った。人族は魔族を見ると問答無用で襲ってくるのだと言う。
悩んでいてはしょうがないので声をかけてみた。
「そこに居るのは人間か」
相手は怯えながらこっちを向いてしゃべった。
「そうだ
そういうお前は魔族か」
「あぁそうだ」
「魔族がなんのようだ」
「その前に貴様の名前を訊こう」
「俺はラピュセルだ」
「随分と素直に答えるのだな」
「お前の名は?」
「おれか
ルイン ブルグだ」
こっちの世界に来た時に名前は与えられていた。
「場合によっては助けてやらんでもないぞ」
「条件はなんだ?」
もっと渋るかと思っていたからびっくりした。
「地図をくれ」
「いいぞ」
そういうと地図を投げてきた。
そして地図を仕舞って男にヒールをかけてやった。
「これで歩けるだろ」
「ああすまない」
「俺達は会わなかった」
「ああ」
その男は静かに笑って去っていった。
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