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日録ログダイアリー  作者: 鏡 もち
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1月15日 空き巣に「入られた」話

空き巣に入られた。

帰宅時、ドアに鍵を差し込んでひねるとカギがかかった。瞬間、嫌な予感が脳裏をよぎった。

玄関に入ると、こちらに向かう足跡が廊下に続いているのが見えた。足跡はなぜか甘い果汁のようなもので濡れていた。

私は犯人の足取りを遡っていくことにした。


玄関から堂々と出ていく直前、犯人は玄関横の私の私室にいたらしい。調べてみると私服が一着なくなっていた。

さらにたどると廊下を通って、キッチンにたどり着いた。とても不思議なことだが、足跡は徐々に小さくなっていった。

キッチンでは食料をあさった形跡があり、状況証拠だけを拾うと、子供が食事をして急速に成長していったように見える。

またキッチンには料理をした痕跡もあった。どうやら団子のようなものを作っていたらしい。


さらに小さな足跡を追うと、先日購入しリビングに放置しておいた大きな桃へとたどり着いた。

桃は食べられたのだろうか、皮付近の果肉と汁だけになっていた。まるで中から破裂でもしたかのように部屋中に汁が飛び散っている。

足跡はそこでぷっつりと途切れてしまった。濡れていたのは桃の果汁だったらしく、ここを通過して以降、床に付着していったと推測された。


それ以前の犯人の侵入経路は不明である。玄関以外のすべての窓は閉じており、破られた様子もない。

無くなったものも桃、食料、服だけで、現金などは無事だった。不思議な物盗りもあったものである。


ベルが鳴ったので玄関から顔を出てみると、同じフロアの住人だった。飼っていた犬が行方不明だという。

犬の首輪が外されて残っていたと差し出してきた。受け取った首輪からは桃の香りがした。


私は少し考えて、桃には全く心当たりがないと言った。住人は犬の名前は「モモ」ではなく「ハナ」だと憤慨して帰っていった。


面倒事にならず、ほっと胸をなでおろした。

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