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日録ログダイアリー  作者: 鏡 もち
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1月13日 忘れ物市には夢がつまってる

近所で忘れ物市をやっていたので覗いてみた。忘れ物市は鉄道会社が電車やホームで忘れられ一定期間持ち主が現れなかったものを売りに出す催しである。


腕時計や傘などが大量に陳列されているほか、こんなもの忘れるんですかというものもあった。木彫りの熊の彫り物とか、刀とか、市松人形。落した人はあえて探しに戻らなかったのか。

私はどこかで見たような大きな桃に魅せられ、それを購入した後、ぶらぶらと端までテーブルを眺めて歩いた。


アイドルのグッズ、大量のハンドバック、CDやDVDの山、段ボールに入ったガチャガチャ。そこで足が止まった。

ガチャガチャの入った箱には大きく夢と書かれている。カプセルのひとつひとつには紙切れが入っているようだ。

「この夢と言うのはなんでしょう」

店主が面倒臭そうにやってきて、カプセルを手にして言った。

「起きてみる方の夢です、これは野球選手かな」

なんでも、年末とか、季節の変わり目とか、月曜の朝とかにたくさん忘れられるのだという。


面白かったので三つほど無作為に買ってみた。ひとつ50円だった。夢がこんなに安くていいのかと聞くと、店主は夢を見るだけは本来無料ではないかと笑った。

店主はそれらを袋に詰めながら、持っているだけで良いと言った。忘れず、持ち続けることが夢をかなえるコツらしい。


マンションに帰り着き、部屋に入る直前カプセルの一つが転がり落ちた。袋に穴が開いていたらしい。カプセルを追いかけると、女性の靴が目に留まった。隣の部屋の小池さんだった。

小池さんはカプセルを拾って中を見ると、無言で私に手渡して階段を下りて行った。

カプセル内の紙には「エッチな姉がほしい」と書いてあった。

男子中学生が落したものだろうかと落とし主に思いをはせた。

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