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日録ログダイアリー  作者: 鏡 もち
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1月30日 残り3分

本日は会合に参加した。世界終末時計の結果を受けて、例年開かれる会合だ。

円卓には議長と各支部の幹部が座り、その周りには一般構成員が見学に来ている。私は見学席に腰かけた。


世界終末時計とは実際の時計ではなく、世界破滅の時を午前0時と想定して、終末までのカウントダウンを表すものである。

例えば戦争、大量破壊兵器等の所持や開発など総合的な世界情勢を反映し、毎年時間の見直しがなされる。


「今年の発表は午前11時57分」

議長が沈痛な面持ちで述べた。

「つまり昨年と変わらず、だ」


議会のメンバーは既知であったはずだが、一様に顔を曇らせた。

終末まで残り3分というのは、1980年代アメリカとソ連の冷戦時以来のことらしい。

日本で生活していると気づきにくいが、世界は危ういバランスで滅亡を免れている。


「我々はこの状況に奮起し、各支部単位で活動を続けてきた。しかし結果は、停滞止まり」

この事実を重く受け止めねば、と議長は幹部をぐるりと見渡した。


「それでは支部ごとの活動報告を」

議長は幹部たちに促した。私は日本支部所属。去年の活動成果は芳しくなかった。


報告が終了するまでは、2時間を要した。

素晴らしい成果には称賛、目立った成果がなければ容赦なく叱責が飛んだ。

ちなみに、日本支部の幹部は首が飛んだ。


「では、時計の時刻を決める」


一応報告は聞かれるが、時計の針は毎年事前に決まっている。

「午前11時57分」

予想通り。終末時計と同様の時刻だ。

隣の席の構成員が原始時計11時57分、残り3分と、メモにペンを走らせていた。


「では、2016年こそは、人類滅亡を成し、我々の世界を開始できるよう、益々の努力を期待する」

議長の言葉で、会は幕を閉じた。

私は、飛んで行った日本支部幹部の首を見つけ、頭に装着し直した。


幹部は何度か首をひねり、日本平和だし、警察優秀だし、難しいよーと愚痴をこぼした。

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