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物語の背景 その2・・・および 登場人物一覧

その1に引き続き・・・


この物語を書くにあたって得たインカについての知識を紹介したいと思います。

あくまで一説であって、研究者によって、また新しい発見によって

見方や考え方も違ってくることをご了承ください。


もちろん、物語の流れとは直接関係ないので、こちらは無視していただいてかまいません。


物語の中のエピソードは、こんな背景から生まれたという解説です。





1、インカの文字について・・・


『インカには文字が無かった』というのは有名な説です。

しかし、『文字』=『シンボル』とするなら、

その説は間違いでしょう。

インカには言葉を現すシンボルがたくさんありました。

たとえば服に織り込まれた模様から、その人の出身地や地位が分かったと言います。

もっとも典型的なシンボルは、紐の結び目で数や言葉を表すキープと呼ばれる縄文字です。

はじめ、キープは簡単な言葉と数しか表せないといわれていましたが、

今では、祭典で使われた詩歌など、複雑な言葉も記されていたということが分かってきています。

物語の中には歴史を記した黄金の部屋というのが出てきますが、

宮殿の中には黄金に記された記録などが多くあったのではないかと言われています。

スペインの征服後、それらはほとんど没収され、熔かされてしまったため

その記録が無くなってしまったのです。

また石に何かのシンボルが刻まれていることも多く、

現代の人がそれを読み解く方法を持たないことがインカの歴史を謎にしているのです。

言葉を伝える手段は、現代よりもずっと多様で複雑だったと言えます。





2、水を操る民・・・


インカの石を加工する技術の高さは有名ですが、もうひとつ、

水を支配する技術の素晴らしさがあります。

クスコはインカの時代から下水道施設が整っていました。

マチュピチュのような高い山にある遺跡には、

どこからか引かれてきた水が現在でも枯れることなく流れ続けています。

ほとんど山の頂上のような場所にある遺跡にも、水路が引かれている。

その水脈がどこなのかは不明だそうです。





3、アクリャの少女たち・・・


アクリャというのは聖なる処女。

国中から、未婚で容姿の整った少女が集められ、クスコをはじめ、各地の太陽神殿に置かれました。

各地の役人がアクリャに相応しい少女を見つけてくるのです。

アクリャたち=アクヤクーナは、ママクーナと呼ばれる指導役の女性のもとで、

織物の技術を学んだり、宮殿での所作を学んだり、厳しい躾を受けます。

彼女たちは皇帝以外の男性と会ってはいけないことになっていました。

その禁を破れば相手の男性とともに非常にむごい刑罰を受けなくてはいけませんでした。

彼女たちは太陽神に仕える巫女として神格化されていたのです。






4、南と西の国の伝統・・・


インカは多くの民族を征服し、統一したため、国の中にさまざまな文化の人々がいました。

さらに移民を盛んに行ったので、それらの文化が混在する国になったのです。

その中で、ある地方には頭の形を変形させる習慣がありました。

南の地方では、まだ赤ん坊のうちから頭頂部の周りを縄できつく縛り、頭を上に尖らせる慣習がありました。頭が上に伸びていればいるほど美形とされていました。

一方、西の地方では逆に頭頂部に棒などを当てて縄で固定し、頭頂部が潰れて頭が左右にせり出した形が良いとされていました。

こういった地方の人々は、インカの末期には国中に散らばっていたので、離れた地方でもこういう形をした人骨が見つかっています。

最盛期には80もの民族と抱えていたといわれるインカ。

皇帝は各地で起こる反乱などに常に悩まされていました。

統一をはかるために、兵士や宮殿で働く人員やアクリャといった者たちが各地の部族から集められました。

これらの労働力は税金の代わりだったのです。








~ここまでの登場人物~


●カパック・ユパンキ{ユタ}

タワンティン・スーユ帝国{インカ帝国}の皇帝の弟。

十六歳で成人し皇帝の片腕として働く。若いが並外れた武術の腕前と統率力を持つ。

のちに将軍となりスーユの軍を率いて遠征に出る。

幼名はユタ。ミカイにはユタという名の職人と名乗っている。

南への遠征の途中で雷にあたり、左掌に稲妻の形のあざが残る。

雷神の印とされるそのあざが、カパックに不思議な力を与える。


●ミカイ

緋の谷に住む農民の娘。明るく活発な少女。

首都クスコに花を売りに来てユタと出会い、ユタに想いを寄せる。

織物が得意で、薬草に詳しい。

カパックが北方に遠征するときにその素性を知ってしまうが、

彼の傍にいることを望んでアクリャになることを決意する。


●パチャクティ皇帝

タワンティン・スーユ帝国の皇帝。カパックの腹違いの兄とされているが、実は・・。

絶対的な権力を持ち、逆らう者を容赦しない冷酷さもある。


●ワイナ将軍

古くからパチャクティ皇帝の片腕として数々の戦いを経験してきた勇敢な戦士。

カパックとともに二大将軍として軍を率いる。


●マス大神官

太陽の神殿に仕える神官の中で最高位の神官。

カパックのあざを見て、彼が雷神に惑わされているのではと疑い、

カパックの失脚を画策する。


●トゥパック・インカ・ユパンキ{トパ皇子}

パチャクティ皇帝の次男。カパックとは貴族の中で年齢がいちばん近いため、兄弟のように育ってきた。

カパックが雷神に支配されていると思い込み、彼を倒すために北へ向かう。


●ワコ

カパックの母親。近隣部族のキリスカチェからスーユの皇帝に嫁いだが、

カパックを産んですぐチャンカ族との戦いに出征し、戦死した。


(カパックの側近)

●アリン・ウマヨック

軍の参謀として活躍する老貴族。

様々な部族の言葉が分かり、通訳として活躍する。


●スンクハ

常に冷静な判断力を持つ。

武器のひとつ、星型の石をつけた棍棒マカナの達人。


●クッチ

柔軟な体と敏捷性を持つ、陽気な小男。

スーユの西方にある国、チンチャの出身。調査官としてたびたび緋の谷を訪れては、

カパックとミカイの仲立ちをする。


●ハトゥン

とがった頭をした、力自慢の大男。

南方にあるコヤの国の出身。クッチとともにカパックとミカイを見守る。


●ワラッカ

小柄だが頑丈な体をもつ、無口な男。石加工の技術に優れ、土木工事などを指揮する。

武器のひとつ、投石器の達人。


●アティパイ

長い手足をもつ長身の男。

長槍の達人。


(チャンカ族)

●アンコワリョ

チャンカ一族の長。せむしの大男。

カパックに忠誠を誓う。


●キータ

チャンカ一族を率いる呪術師。

予知能力があり、カパックの運命を最初に会ったときから見抜いていた。

移住した南の国で命を終える。


(緋の谷)

●大祖母さま

ミカイのアイユを見守る老婆のミイラ。人の頭の中にメッセージを伝えて会話する。

人の未来を見抜くことができる。


(ワヌコ)

●ワヌコ王

スーユの北方の少数部族ワヌコを率いる若き王。


●リワ王女

ワヌコ王の幼いひとり娘。人質としてクスコに送られる。



(現代)

●宮 由隆

奄美の島出身の高校生。鹿児島の高校で挫折し、

半ば自暴自棄になって東京へやってくる。


●花岡 小町

バスケ部で活躍する、明るく活発な高校生。

しかし、毎晩おかしな夢に悩まされていた。

合宿での登山中に、沢に転落して・・・。




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