生まれて、死ぬまでのお話
生まれました
小さな 小さな
小さな命が この世界に
たくさんの笑顔と いっぱいの幸せを持ち込んで
誕生しました
小さな命は少しずつ
少しずつ 少しずつ
大きくなるにつれて 知ってしまったこと
それは
辛いこと 苦しいこと 痛いこと
でも まだ他にもたくさんあります
うれしいことや 楽しいことも
お母さんのこと お父さんのこと 皆大好きということ
そんな 色々な たくさんの気持ち
今まで知らなかった感情と思いをたくさん知りました
あの日に生まれた命は
今ではその命の光をさらにイキイキと輝かせて
色々な命と たくさんの命と
寄り添いあい 時には離れ離れに
悲しいことも 悔しいことも
面白いことや 笑えることを
たくさん感じて たくさん学んで
スクスクと成長していきます
あの小さかった命は
はじめての恋をしました
その感情は 今まで知っていた大好きとは違います
心が締めつけらる 心が窒息しそうなぐらいに
苦しい 苦しい でも
でも 嫌いじゃない
心が締めつけられると思うと 心が満たされます
心が暖かくなって 苦しいけど 気分が良くなる
そしてはじめて気がつきました
この苦しさは 心が外から締め付けられて苦しいわけじゃない
この苦しさは 心の内から満たされた思いが
心を内から 心の外へと
あふれ出ようとする その思いを押さえつけようとするから苦しいだけなんだ
あの時の小さな命の大きさは 今ではもう大人と変わりません
母よりも大きくなりました
父にももうすぐ追いつきそう
でも 形だけ
心は まだまだ
未熟者でした
あの日に生まれた あの小さかった命は
ゆっくりと時間をかけて また恋をして
命は 恋をした命と交わりました
そして小さな命が 生まれます
あの日の小さかった命も
今では新しい命をこの世界に誕生させることの出来る
立派な命へと育ちました
あの小さかった命は 今ではもう大きな命
立派な 立派な 大人の命
この世界に新しい命を誕生させて
今ではその命も 大きく 大きく
立派な大人の命として また新しい命を
たくさんの幸せと笑顔を その小さな両手いっぱいに抱えた 小さな小さな命を
また一つ この世界に誕生させました
その小さな命は 本当に小さくて 小さくて
あの日のことを思い出させてくれる やさしそうな笑顔を振りまく 小さな命でした
はじめて知ったことは ぬくもりでした
母と父の 暖かい ぬくもり
人生で一番の経験は あの時の初恋です
はじめての 初恋
結局失恋に終わったけれども
今となってはいい思い出です
何よりもうれしかったことは
命が生まれたことです
丈夫で 元気な 可愛らしい小さな命
今ではあの小さな命も 巣立っていってしまいました
再開したときには 小さな命を生んだのよ
その一言が あの小さかった命が最初に切り出した会話でした
もうすぐ消えてしまう 大きくて 立派な命
今はもう あの頃のように輝くことは出来ないけれども
輝いた頃の面影はちゃんと残っている
その面影は あの頃に輝かせていた ありのままの笑顔
そして この笑顔は
もっと昔の 昔の昔の
あの日 この老いぼれた命がこの世界に誕生した日
母と父に最初に見せた 最高の笑顔
この世界から一つの命が消えました
立派に生きてきた 大きな 大きな命
あの日に生まれた あの小さな命
その命は たくさんの悲しみと 多くの思い出を その両手に大事そうに抱えて
この世界から 消えていきました