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戦闘準備

なんで高校生ごときが仕切ってるんだ、とは言わないでw


SOWのメンバーは、ラビ、キール、マキシム、ルアーの四人ですよ




 SOWの構成員はたったの四人しかいない。一人、引篭もり(ひっきー)でいつも陰ながらの応援しかしてくれないニートがいるが、あいつはあくまで技術屋であってメンバーではない。まあ、あいつがいなければSOWはまともな活動が出来なくなるが。

 更に、SOWのメンバーは特定の場所に集まったりしない。実態が掴みづらい、雲のような物だ。普通は皆で集まり、情報を交換し、皆で仕事をする。SOWは特殊なんだ。

 配給された装備を特定の場所に隠し、それを身に着けることで俺達の仕事が始まる。

 しかしわざわざ隠すのが億劫な俺は、装備品を自転車ごとガレージに突っ込んでしまっている。無用心と言われたが別に金目の物なぞ入っていない。誰が盗ると言うのだ。

 がしゃがしゃと自転車の籠で喧しくなる袋を見やった。日は完全に没し、仄かに広がる緋の色も直ぐに消える。

 自転車を止めた。袋の中身を出す。中には歪な形をした半円型のカバー付きナイフが二本と無線機、それに銀色に光るガントレットが入っている。

 そう呼んで良いのなら、ナイフは良くファンタジー系統のゲームなどに出てくる飛刃と言う奴に似ている。しかしこれは投げるものではない、突き立て食い入り引き裂くものだ。それをベルトの左右に吊るす。

 耳にインカムを着けて無線機に繋ぐ。無線機を後ろポケットに突っ込んだ。スイッチをオンにしても何も聞こえない。時間が早いからまだ誰もいないのだろう。

 ガントレットと言うよりは金属プレートを取り付けた手袋のようだ。サイズのぴったりあった手袋を両手にはめ、拳を合わせる。このガントレットが“ラビ”がSOWの一員であることを示す唯一の証拠となる。逆に言えば、これを着けていない時には仕事が出来ない。

 自転車を漕ぎ出す。今日からSOWの補充員として研修する武内志之(たけうちしの)とは近くの駅で待ち合わせている。彼女の家もこの近く。わざわざこの街近辺の人を採用したのだから当然と言えば当然だが、彼女が俺と同学年なのは偶然だ。

 人数の少なさ故に二人一組の常識的な行動すら出来ないのでいつもなら一人で街を彷徨いくだけなのだが、やはり新入りには先輩の教授が必要だろう、との事。それなら愛想の悪い俺なんかでは無く、キールかマキシム辺りに任せれば良いのに。キールは自分の身を守るので精一杯だと言い張り、マキシムはあまり他人にものを教えるのは上手くないというか建設業者らしくがたいの良い男(筋肉バカ)なのであまり良い人選とは言えず、紅一点のルアーはあまり会わせてはいけない種類の人間なので論外。本人が俺をごり押しなので何故か俺が彼女の面倒を見る羽目になってしまった。

「別に良いけど、さ」

 気にしない事にしよう。

 漸く陽の朱を払拭した夜の空気を肺の中一杯に吸い込む。ゴーグルを外して眼を凝らすとつまらなさそうにベンチに腰掛ける武内を見つけた。

 この辺ともなれば日が落ちる頃には駅だってコンビニだって一様に人はいなくなる。万一の事が起これば不味いし、第二セクターの様に煌々と灯りを点けておく程余裕も無い。それでも外に出る人の為に街灯や駅の光は途絶えない。おかげで夜の待ち合わせ場所には最適だった。

「川原君、こんばんは」

 そう言えば、声を聞くのは初めてか。

おはよう(、、、、)、今晩は良い夜だな」

 雲の無い夜は月が綺麗に見える。奴らも活動を活発化させるから普通は喜ばしくない事なのだが、俺は月を見ると自然と気分が高揚するのを抑えられない。

 俺の返しが意外だったのか武内は変な顔をしていた。

 自転車のスタンドを立てて武内の格好を検分するように眺める。若干長めの茶髪を後ろで纏めて、前髪をピンでとめている。半袖にジーンズ、スニーカーはまさに夜の格好(ナイトスタイル)。ウエストポーチはあるようだが手ぶらなのはいただけない。

「一応これ貸してやるよ。使えるな?」

 背中から金属バットを抜いて手渡す。軽いから女子の細腕でも振り回せるだろう、との考えだったが、武内は何か言いた気に口を開閉した後大人しく受け取ってくれた。

「川原君は? バット無くて大丈夫なの?」

「“川原”じゃない、“ラビ”だ。仕事中は全員あだ名かコードネームで呼べ」

「ふぅん。じゃあラビ君、君のコードネームって?」

 返事はせずにスペアの無線機を手渡して、自分はさっさと自転車に乗った。

『テステス、あー皆いるかい?』

 七時ちょうど。スイッチを入れっぱなしにしていたインカムから若い男の声が流れてくる。直後に二人の応じる声が続く。

『ういっす、今晩も張り切って夜歩きしてる奴らを補導すんぞ』

『ぶっ殺す。それは良いけど新入りって女の子なんだって?』

『うん、そうだよルアー。今日からラビと同年齢の武内志乃さんが仕事仲間になりました。もしかしたら長い付き合いになるかも分からないけど宜しくやろう』

『やーん聞こえてる志乃ちゃん!? お姉さん元自衛官だから何かあったら頼りにしていいのよ、っていうかして』

『落ち着け変態(ルアー)、犯罪はおこすんじゃねえぞ?』

 無線機は誰かが喋っているときは他の人は喋れない筈だけど、あの技術屋の腕は確かなようで、携帯みたいに使える。携帯じゃ駄目な理由は金がかかるからだ。

 無線機の扱いが分からずまごついている武内を横目にインカムのマイクのボタンを押す。

「総員確認。夜はもう始まってる、これよりはぐれ騎士として使命を果たす。現時点での優先事項は迷子の保護と“白犬”の退治」

『迷子の子は解決したみたいだよ。謝礼は無しだけど、見つかってよかった』

 成る程、緊急性の依頼は無しか。

「行くぞ新入り、今日のお前の仕事は良く見ておく事だ」




相変わらずちまちま。


ナイトウォーカー達は光が嫌い、だけど光のあるほうに人間はいる。

人間が油断したときに暗がりから襲い掛かる。


…普通に通り魔っぽいな


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