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机の中

教師のつける『態度点』が、

進路へ大きく影響していた頃の記録。

とある教室の授業にて。


黒板で、

男性教師が黙々と、

チョークで字を書く。


カタッ、

カタッ、

カタッ。


音が教室に響く。


生徒たちは、

黒板をノートへ書き写す。


シャープペンシルの芯を出す音。


カチッ、

カチッ、

カチッ。


消しゴムで文字を消す音。


摩擦で、

ノートが揺れる音。


カサッ、

カサッ、

カサッ。


教師の書く速度は早く、

黒板の文字を、

すぐ消して、

また新しい文字を書く。


みんな一生懸命、

先生の書いた文字を、

ノートへ書き写す。


生徒が鉛筆で、

カサッ、

カサカサッと、

ノートへ記す音。


ガシャーン。


缶ペンケースが落ち、

硬い金属音が、

静寂を切り裂く。


チョークの音が、

止まる。


静まり返る、教室。


また、

別のどこかで。


ガシャーン。


また、

違う誰かの席で。


ガシャーン。


金属音が、

重なる。


ゆっくりと、

冷え切った視線が、

後ろを振り向く。


『姿勢が悪いから、

筆箱を落とすんだな。


態度点、減点。


お前と、

そこのお前と、

お前。


姿勢が悪い。

減点』


誰も、

声を上げない。


誰も、

言い訳をしない。


教室全体の空気が、

凍りついたように、

固まっている。


その教師の授業の時だけ、

筆箱は、


机の中。


それが、

当たり前になった。

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