表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【☆5.4万PV】アダルトレジスタンス   作者: オレノマツ
第一章 レジスタンス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/238

File011 報告後

グッドを押してくださる方、ありがとうございます。

作品を評価されているという経験をしたことがないのもありますが、思ってる以上に嬉しいです。

これからも励みにしていきます。

 上役への説明を終え、講堂を後にする。


「お疲れ様です、前崎大臣……で、よろしかったでしょうか」


 一ノ瀬がペットボトルのお茶を差し出す。

 気を利かせたのか、カフェインゼロ。

 わずかに温かい。


「正式には“内閣特命担当大臣兼内閣危機管理監”。

 長ったらしいだろ。今まで通り、前崎でいい」


「了解です、前崎さん。

 ……それにしても、現場に出る大臣なんて前代未聞ですよ」


「俺もそう思うさ。

 だが、防衛大臣がこう言ったぞ。

 “前例がないことをやるのが、君の座右の銘だろう”ってな」


「皮肉にしか聞こえませんが?」


「褒め言葉だと言っていたがな。どう聞いても嫌味だった」


 前崎は肩をすくめ、乾いた笑いを漏らした。


「まあ、そのおかげで35でこれだけの権限を手に入れた。

 官僚組織の力を使いながら公安を自由に散策できるのはかなり便利だ。

 大体の許可は得れるからな。

 ……動けるなら、動くしかないさ。

 異物には異物なりの役割がある」


「……特に、アダルトレジスタンスが相手では」


「そうだ。奴らの“ホログラム転送技術”を暴かない限り、俺たちは永遠に後手を踏む」


「転送技術の正体が見えない以上、次も同じことが繰り返されますね」


「あぁ。誰かが突き止めないとな。

 とはいえ、検討はついているがな」


 前崎は足を止め、一ノ瀬に向き直る。


「シンフォニアを制圧した直後、なぜ奴らは国会を“即時”には襲わなかったと思う?」


「……確かに。不自然ですね」


「それだけじゃない。

 国会襲撃の後も、続けざまに別の場所を狙えばよかったはずだ。

 にもかかわらず、奴らは沈黙したままだ。

 俺たちを一気に対応不可能なパニック状態にさせられる」


 前崎はわざとらしく首をかしげる。


「単純に“兵力が尽きた”と言えばそれまでだが……それでは説明がつかないことも多い」


 一ノ瀬の表情が引き締まる。


「国会は混乱、自衛隊は復旧作業に追われ、シンフォニアは陥落中。

 絶好の機会だったはずです。

 それでも動かなかった理由がある……と?」


「そうだ。“動けなかった”と考えるのが自然だな。

 何らかの制約、もしくは発動条件が存在する。

 ……奴らにとっての“制約”がな」


前崎は空を仰ぐ。


「おそらくエネルギーだ。

 転送には桁違いの出力が必要なんだろう。

 日本中、いや世界中の電力使用量を洗え。

 異常に跳ね上がった地点が、奴らの心臓だ」


「わかりました。

 すぐに国内外のネットワークを確認します」


「それから、次の標的も考えておけ」


「次……ですか?」


「一つはメディアと教育機関。

 奴らが檻と称して名指しした場所だ」


「国民を従わせる装置……まさに、ですね。

 まあ偏見がかなり混じっていますけど」


「犯罪者が考える過激な二元論だ。

 気にするな。話を戻すぞ。

 二つ目は外資系企業と金融拠点。

 経団連、五大商社、外資ファンド。

 奴らにとっては、売国と搾取の象徴そのものだ」


「叩けば象徴的な意味でも大きい……なるほど」


「三つ目は空港と港湾。グローバル経済の動脈。

 外資に切り売りされたと認識している以上、奴らが放っておくはずがない」


「物流を遮断すれば、経済にも国際信用にも直撃します」


「医療施設も考えたが、奴らは“未来を築く”と言った。

 子どもが利用する場所は狙わんだろう」


「優先順位は、メディア、経済、物流の三本柱、というわけですね」


「だが優先順位1位以外は放棄だ。

 警備を偏らせろ。

 特に教育関係とメディア関係だけに絞れ。

 ま、簡単にいうと要注意箇所に警戒を敷いておこうといった次第だ」


「よろしいのですか?」


「可能性の低い所は放棄だ。

 奴らが急な強襲をしてくる以上はな。

 すべての対応は不可能な上、次の襲撃で奴らの本拠地の特定にすべてを注ぐ」


一ノ瀬はわずかに目を細める。


「ですが、前崎さん。このやり方でいいんでしょうか?

 SNSではあなたの戦闘映像が拡散されていますよ。

 称賛もありますが、国家権力の暴走だと批判する声も大きい。

 特に子どもを殺すという行為は」


「法が変わるんだ。文句は言わせないさ。

 有象無象に何言われたって構いはしない。

 むしろバカなシンパが生まれて本拠地が明らかになるさ」


「SNSの拡散すら、逆手に取ると」


「そうだ。国家が本気を出す時、何が起こるか。

 全世界に見せつけてやるさ。

 日本にテロを起こせばどうなるか。

 そんなバカな奴が現れないように徹底的にな。

 ついでにもし奴らが外資を破壊してくれるのであれば、我々はどさくさ紛れて処理してやる」


 一ノ瀬が息を呑む。


「表向きは断固非難しながら、内心では“渡りに船”というわけですね」


「その通りだ。俺たちは手を汚さず、腐った枝だけが落とせ。

 奴らの正義を逆手に取る。

 国民が変化を望むなら、人柱になってもらうさ」


「……策士ですね、前崎さん」


「国を守るのは、綺麗事じゃないさ。

 泥水をすする覚悟がいる。

それにチェ・ゲバラしかりカダフィ大佐、キング牧師。

いずれも国家に楯突いた奴らだ。

 やつらは偉大だが全員殺された。

 それでも時代は変わった。

だから 彼らのような勇敢な人間を殺して時代を穏やかに変えていくことが我々国の仕事だ。

  急激に変化させると過激になりやすい」


「ですが、その代償は……あなた自身の身体です」


 一ノ瀬は声を落とす。


Layered(レイヤード) Node(ノード)を使った時も出力オーバーでしばらく動けなかったでしょう?」


「……あれは仕様外の運用だった。

本来は福祉機器だ。

身体障害者支援法に基づく生活支援用外骨格としての認可。

戦闘用途なんて、武器等製造法に違反する。」


「それでも、使った」


「そうしなければ、国会議事堂は取られていた。

 “撃ち合い”で勝てないなら、“刺し違える”しかないと判断した。

 それが“異物”の役目だ」


「だからこそ、今は前崎さんが潰れる方が国家リスクなんです。

 報告資料の作成で碌に寝てないでしょう?

 あとは我々に任せてください」


「……東雲と山本に任せれば、数時間は持つか?」


 前崎は深く息を吐いた。


「わかった。公安の個室で休む。

 これ以上、愚を重ねる気はないからな」


「それが賢明です」


「……随分と偉くなったな、お前も」


 皮肉げに笑いながら、前崎は踵を返し、その場を後にした。

思っていた以上に多くの方が読んでくださっていて、驚きつつも本当に嬉しいです。

結末までの道筋はすでに思い描けていますので、ご期待に応えられるよう丁寧に書き続けたいと思います。


※しばらく毎日投稿で時間は朝の7時あたりに投稿時間を固定しようと思っています。

 読んでいただけると光栄です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
戦闘シーンや、動画などの設定がかっこよくて、説明も上手でわかりやすい(わからなくても良さそうな名前とかがわからなくても大丈夫だとわかるというのも含めて)ので、読みやすいです。こういう、作者が、かっこい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ