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序章

半透明のゴーグル越しに街を見下ろす。

既に見慣れてしまったこの景色には初めて見た日のような新鮮さや感動はなく,今は単調で窮屈にしか見えなかった。

テラスを吹き抜ける空気は暑くも寒くもなく,無駄がないように作られたこの世界はあまりにも無機質で。

私までこの世界に混ざり,溶け込み,消えてしまいそうだった。

天窓のガラス越しに見える景色は夜とは思えぬほど明るく,眩い太陽の光の線は細く伸びながら定刻に閉じる天井の陰に隠れていった。


太陽。遠い昔からこの惑星を照らし続けて来た恒星。

かつて様々な恵みと恩恵を授けてくれた太陽も今は眠ることを忘れてしまっている。

やがて陽の光が完全に遮られて人工的な光だけが暗い街中を照らした。


振り向いた先の視界に映るのはついさっき拾った謎の本。

古く薄汚れたその本は題名も読めないほどボロボロで,表紙には重厚感と控えめながらも厳かな雰囲気がある。

貴重なものだろうか。

ページはどれもくたびれていて、薄く茶色くなっていた。

それでも折り目ひとつないざらついた質感に,この本の持ち主は長く大切に読んでいるのだとわかる。

ざっと目を通したところ,この世界について書かれているようだ。

塩の味がする海,真っ白な雪が降り積もるという山,四つの季節があるという国。

上層部から出たことのない私にとってそれらは全て夢のようで,嫌になるほど広いこの空間もちっぽけで息苦しく感じてしまった。

ここから出ることができれば,私も陽の光を浴びれるだろうか。何にも遮られることのない,暖かな陽の光を。

「いつかこの目で見て,感じたい」

叶うはずのない願いを抱えながら私は本を持ってそっとその場を後にした。



ここまで読んでくださりありがとうございます。

序章と書いておきながらも,この先まだ執筆中でかなりの不定期更新になってしまいます。

また,小説を投稿するのは今回が初めてなのでここがわかりにくかった等ありましたら、教えてくださると今後の参考にしたいと考えております。これからよろしくお願いいたします。

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