鬼が笑うか、悪魔が嗤うか
戦闘する探偵めっちゃ好き♡
なので『探偵はBARにいる』も全作観ました
-翌日 慧聖女子大学-
時計が正午に差し掛かる頃、どこかに電話を終えた羽柴は再び大学に入って行った。今回は辺りを見回すこともせず、真っ直ぐに目的の場所へと向かう。
辿り着いたのは、昨日来た医学研究棟。エレベーターを呼び、目的の階数のボタンを押す。ただし、今回用事があるのは3階の研究室ではなく、地下1階にある解剖学習室だ。
機械音が鳴り扉が開く。薄明るい廊下をコツコツと鳴らしながら進んでいき、解剖学習室の扉を無遠慮に開けた。そこには、10畳ほどの広さの部屋に死体が乗る前の綺麗な解剖台と壁に設置された八つの遺体安置棚が設置されていた。そして、白衣を着てニコニコと羽柴を待っていた水越教授がいた。
「昨日ぶりですね羽柴さん」
「おう久しぶり〜」
「・・・やはり、貴方は意味不明な人ですね」
「俺の心は医者でも完治が無理だったんだ。脳みそ取り替えるとかしない限り、俺は変わんねえよ」
互いに笑っているが、空気は反比例し剣呑な空気で満たされている。昨日の羽柴は、あくまで参考人として水越と接触したが、今日はそんな軽いものではない。もっと核心に迫る用件でここに来たし、水越を呼んだからだ。
「今日はどうしました?また何か遺体の傷でもみて欲しいんですか?」
「いや、それは昨日で終わった。今日来たのは・・・」
羽柴は扉に寄りかかり、側にリュックを置いて水越から目を離さず用事を打ち明けた。
「まずは血と死体に関する医学的講義だな」
「えっ?」
水越は、大学の女子たちが想像もしたことないキョトンとした顔をした。大方、羽柴が水越を犯人として推理ショーでも始まると思っていたのだろうか。
「血と死体についてちょっと素朴な疑問があってよ。先生ちょっと教えてくんね?」
「・・・えぇ、それくらいなら良いですよ」
解剖学習室という狭い部屋で、解剖台を挟み2人が対面する。
「血って昔のドラマだとめっちゃ明るい色してるけど、実際はなんか赤黒いじゃん。アレって何で?」
羽柴のなんてことない医学的な疑問に、水越は医学者として答えた。
「血液にヘモグロビンが入っていることは知ってますよね?血の色は、そのヘモグロビンの酸素飽和度で変わります。高ければ映画の血糊のような鮮やかな赤ですが、低いと死体のような暗い赤になります」
「へぇ〜」
更に羽柴は質問を重ねた。
「じゃあさじゃあさ!マンガで磁力を操って体から鉄分を抜き取る能力者がいたんだけど、鉄分なくなると血が黄色くなるってマジ?」
「はい。血中から急に鉄分が無くなると赤血球が無くなりますので色は黄色に近くなります」
「じゃあ黄色って血漿の色ってこと?」
「そうなりますね」
「スゲ〜!そのうち犯人の拷問に使ってみよ!」
「いや、そんな探偵がいて堪りますか・・・」
羽柴は本当に血と死体に関する疑問しか言わなかった。医学者としての水越もつい乗せられてしまう。
その状況を自覚し、水越はここで羽柴の策の一端を知った。出鼻をくじき、自分のペースに持ち込む気なのだ。してやられたと思った水越は、態とらしく講義を切り上げて本題に入ろうとした。
羽柴も、水越とのお遊びも程々(ほどほど)に、ようやく事件に関する話題が始まった。
「お前古い赤が好きっつったけど、血が好きなん?まあ、こんな職やってりゃなる奴もいるか」
「ええ。前は黒が好きだったんですが、解剖学を研究しているうちに自然と赤が好きになりました」
最初は赤の話題から切り出してみた。話すにつれて、赤に何かしら魅力を感じていることは確かなようだ。血が好きになるのも、好血症という一種の精神病にあるが、水越はそれとは少し違うようだ。
「それで血を好むと・・・なら死体の血で十分だな。幸い、解剖学となれば死体の数には事欠かないしよ」
「いえ、死体ではダメなのです」
好血症に関する話で、水越から否定の言葉が飛び出した。普通の好血症なら、自分をリストカットしたり血の味に興味を持ったりするレベルだ。まして人間の血であれば何でもいい。なのに、そこには強い否定の意思があった。
「は?」
「先ほども言いましたが、死体の血は暗い赤紫なんです。あの鮮やかな色にはなり得ない。生者の血でなければダメなんです。でも死体は死体で良いところもあるんです。濃厚な色と匂い・・・。解剖学者としてこの仕事をしていて、最も気分が上がる瞬間です」
早々に水越の本性が出てきた。水越は、血に性的な興奮を覚える血液嗜好症だ。それもかなり重度の症状、いや下手すれば人格障害かもしれない。自分とベクトルは違うが、同じ異常な世界の住人と知って、羽柴も少しテンションが上がった。
「ヒヒヒ、いい趣味してやがる。そしたら人間1人じゃ満足できねえよな?経験人数は?」
「ちょっと。その手には乗りませんよ?私を殺人鬼みたいにするつもりでしょ」
「おっと、誤解をさせたかね?・・・あぁ、そうだ。実は義理の娘が助手でいるんだけどよ。そいつが事件の死体遺棄方法を解いたんだぜ?」
「・・・賢い娘さんなんですね。どんな方法だったんですか?」
水越の顔は変わらなかったが、言葉に若干の詰まりがあった。興味のあるように振る舞って誤魔化しているのは、羽柴の視点では明白だった。この調子で、イケメンマスクの化粧を落としていく。
「複数での犯行だった。しかも、奴らがやったことは一つだけ。公園のど真ん中に死体を運んで置いた・・・以上」
「ハハハハッ、そんなシンプルな方法な訳ないじゃないですか」
集合住宅のど真ん中の公園で堂々と死体を置けば確かにリスキーだ。まず四方を住宅で囲まれているのだ。だが、実際の共犯は本当にそれしかしていないのだ。では、どうしてそんなことができたのか。
「できたんだよ。誰にも見つからないって分かってたんだから」
「・・・・・・どういう事ですか?」
羽柴が説明した。
「あそこは東西南北に一棟ずつ集合住宅が公園を囲うように建っている。そんな立地で、朝天気がいい時に起こることなーんだ?」
羽柴が水越にナゾナゾみたいに問いを投げる。程なくして、水越は一つの答えを導き出した。
「・・・日の出の強烈な日差し、ですか」
「正・解。あそこは朝日が東西の部屋にもろ当たる。そこで、組合長が変わったルールを施行した。日の出と日の入りの時間帯は窓もカーテンも閉めること。これは東西棟はもちろん、窓の反射光を考慮して南北棟も同ルールだった。とすれば、その時間帯に部屋内からの目撃者はゼロになる」
流歌の調査によると、あの棟は全て早朝と日没に日差しと反射光対策のために窓とカーテンを閉める決まりがある。
長岡らは、日の出の時間帯に遺体を公園のど真ん中に捨てたのだ。いくら女子大生でも、老人一人で運ぶのは負担が大きい。栗原が散歩している時間帯も知っていたのなら、尚更速く行動しなくてはならない。よって、2人以上で遺体を運んだのは確定なのだ。
「しかし、なぜその時間帯に?真夜中でいいじゃないですか」
「いや、それだと被害者の白いカーディガンが目立つ。このルールを知る前、ロープで反対の棟の屋上から公園の中央上まで、遺体を持って行き落としたってのも考えた。でも、だとすると遺体のどこかには打撲跡ができるし、夜中とはいえ空中に白い物体が浮いてたら目立つ危険性がある。ましてや、そんな棟の幅よりも長いロープを架けることも高所作業車やクレーンを使うか、下からロープを屋上まで引き上げないといけないが、どっちにしろ目立ち過ぎて無理だ。以上」
遺棄の推理を述べた羽柴は、目線を水越から外して頭を垂れた。
「ならなぜ、犯人たちはその場所を選んだのですか?」
水越の言う通り、遺体を捨てるなら他のところで十分だったはずだ。しかし、それでは見つかった後に証拠や痕跡を調べられて普通に捜査を展開されてしまう。だから、警察を混乱させるためにはあの立地でなければいけない理由があったのだ。
「四方を集合住宅に囲まれて、しかも見晴らしのいい公園のど真ん中に遺体を置く。昔ベンサムっていう功利主義の哲学者が考えた理想の刑務所みたいな構図が、理想の現場を作り上げた。そんな不可能に近いように思える状況が、捜査を撹乱する上で必要だったのさ。だからターゲットに恨みがある共犯の長岡達に話を持ちかけ、今回の事件を起こした」
羽柴が目線を上げ、下から水越を覗き込むような姿勢になる。
「なあ?実行犯さんよ」
羽柴が、ここに来て水越が殺人事件の犯人と断定した。犯人と言われた水越は、それでも顔色を変えなかった。それが更に、彼とこの場の不気味さを煽っている。
「・・・・・・根拠は何ですか?今の所は死体を捨てた方法しか推理していませんが・・・」
「確かにな。まあ、簡単に言うと昨日ここにきた時に罠を張らせてもらった」
「罠ですか?」
水越の顔に僅かな驚きが表れた。どうやら本当に寝耳に水のことだったようだ。羽柴は笑い出しそうな気持ちを抑えて推理を続けた。
「お前に首の傷の写真を見せたろ?確かにスマホで撮ったからズームして見ることはできる。でもよぉ、そんな傷の端の違いまで分からんだろ。右から切ったとか左利きとか」
「・・・・・・私には分かるんですよ」
それを解剖学者に言われてしまうとこの話は水掛け論になってしまうが、彼の失言は他にもあった。
「それによぉ、なんで犯人が左利きなんだよ」
「それは右端の傷が」
「左利きの犯人が切った?真正面からか?」
「!?」
羽柴の指摘により、水越は自分の失言に気づいてしまった。普通なら、真正面から首を切ることに矛盾はない。
しかし、ここで引っ掛かることが一つある。それは、傷口が綺麗に切られていたことだ。人が立っている状態なら正面から切れなくもないが、そうすると被害者は抵抗するし、傷の軌道も曲がる。プロの殺し屋とかなら分かるが、ここは日本だしそんな漫画みたいなことは起きない。それでも傷が綺麗な横一文字ということは、被害者は死亡時刻の時には座らされていたか寝かされていたことになる。
座っていたとしても、上半身が立っていては意味がない。よって、三浦は寝かされていたのだ。抵抗できないように睡眠薬でも飲まされたのだろう。
「寝かされたとして、一体どこに」
「そりゃ、この温もりと薬品と血の匂いがする解剖台だよ。服にも血がなかったってこたぁ、裸でここに横たわらせたな。どうだった?教え子の裸を見た感想は?」
羽柴が露骨に解剖台に頬擦りをしながら水越を見上げている。
「・・・・・・」
水越はとうとう、羽柴の下衆い質問にも反応を示さなくなった。ここまで自分の嗜好に忠実な殺人犯も珍しいものだ。羽柴は、そんな水越を少し見直してもいた。
「血にしか興奮しないお前には過ぎた話か・・・。お前は三浦の頭上か左横から頸動脈ごと喉を切った。まあ、ここは医学研究棟だ。メスでも使ったんだろうな。その場合、右利きでも動脈側から刃が入り、正面から見りゃ左利きの犯行という風にもできる」
水越は羽柴の推理に舌を巻いた。ここまで解ける探偵がいたのか。しかし、水越には余裕があった。
まだ自分がやった物証は見つかってないのだ。今までの推理はあくまで状況証拠。水越が犯人ならこう説明がつく、と言っただけに過ぎない。彼を犯人と確定するには、動かぬ証拠が必要不可欠なのだ。水越は、お返しとばかりに羽柴を嘲笑した。
「はははっ、素晴らしい推理と想像です羽柴さん。でも、大事な部分が欠けてますよ」
「ん?」
「証拠です。あなたの今言ったことには、証拠に関する言及は何もなかった。全てはあなたの妄想でしかないのですよ。真犯人を捕まえる為に捜査に戻った方がよろしいですよ?」
水越は、嗅ぎつけられた以上何としても羽柴をこの場から遠ざけたかった。今日だけでも彼をかえし、もう一度徹底的に痕跡を洗い流したいとおもったからだ。物証がないなら、長くは留まれない。水越は一旦逃げおおせたと思い始めていた。
「あーそれね。証拠なら今頃鑑識んとこだけど?」
「・・・・・・は?」
だが、羽柴はもう一枚上手だった。
「共犯にゲロさせてアンタから死体遺棄トリックを教えてもらったことも裏が取れてる。切り口で凶器の種類もいつかは割れるし、何より」
羽柴が一度言葉を区切り、水越に顔を近づけた。その顔は、西洋画に描かれる悪魔のように歪んで笑っていた。
「三浦に服着せたのアンタだろ?服の裏にテメェの指紋が付いてたぜ?処分し損ねるとは馬鹿だねぇ〜」
「何・・・!?」
遂に水越の仮面が砕け散った。まさかというかおだ。その顔をしてしまうのも無理はないと、羽柴には分かっていた。
「そんなはずはない!私は手袋を外さなかったんですよ!」
水越が信じられないと声を荒げた。
しかし、その予想外に対する油断が命取りとなった。
「あっそうだったの?教えてくれてありがとね」
「え?・・・・・・ハッ!」
今、水越は確かに言ってしまった。手袋をしていた、と。彼は羽柴の策略により、自白に等しいことを口走ってしまった。完璧主義の自分がそんなミスをするとは信じられなかったし、事実と食い違ってたのに証拠が出てきたと聞かされれば、犯人は焦りを見せてしまう。
事実を知っているからこそ出てしまうボロ。羽柴はそれを狙っていたのだ。
解剖台を周りながら、水越にゆっくり詰め寄る。
「いや〜嘘ついてごめんね。共犯はまだしょっ引いてねえし、証拠はさっきまではなかったんだけど、もういらねえや。自白が取れたんだからなぁ?」
「それは!」
羽柴はヒラヒラと懐からボイスレコーダーを取り出してみせた。この部屋に入る前から今までの、全ての会話を録音されていたことを水越は悟った。
急いで扉を開け逃げようとした水越は、鍵が掛かっていることに気づいた。慌てて鍵を開けようとつまみを捻るも、何故かピクリとも動かない。
「あ,開かない!?何故だ!」
「あ、これのことかな〜?」
振り返った水越が、羽柴の手にあるものに注目した。それは、どこのコンビニや文房具店・ホームセンターにも売っている物だった。
「アロンアルファ・・・だと?」
「すげえ商品だよなこれ。部屋入った時に鍵掛けたつまみの淵とかに突っ込んどいた。こんなもの作れる企業はそりゃ儲かるよな〜」
ケラケラと笑う羽柴を見て、水越は背水の陣のような気分になった。ここに呼び出された時から、奴の掌の上で踊らされていたのだ。地下で窓はなく、唯一の出入り口は施錠された。蹴破ろうにも内開きで突破は難しい。水越に残された道は、たった一つしかなかった。
「ッ!!」
「ハハハハッてうおわ!?」
この厄介な男の口を封じ、ボイスレコーダーを壊す。水越は羽柴を殺すことに決めた。胸ポケットに入っていたボールペンを投げつけ、羽柴はそれを横に避けた。反射で羽柴もアロンアルファを水越に投げつける。解剖台から羽柴が離れた隙に、トレイに入っていた一番刃渡りが長いメスを取り、羽柴に向かって構えた。
「すみませんね。貴方を殺さないと、これからも美しい赤が流れる様が見れなくなるんですよ」
「うっわキッショ。眠らして無抵抗の女から切って流れた血に興奮する奴が何言ってんの?俺が入ってた精神病院紹介しようか?」
「言ってなさい!」
遠慮なしに切り掛かってくる水越のメスを、余裕で捌き続ける羽柴。暫くその状態が続き、疲労が見え始めた水越が羽柴の首めがけて突いてきた。
「よっ」
「ぅあ!?」
羽柴は水越の右前腕を弾き軌道を逸らした。そして躱し際に、その整った鼻に素早く右ストレートを打ち込んだ。
「ゔっ・・・」
右拳をカウンターで食らった水越は数歩後退し、殴られた鼻を押さえる。生温かい感触がして手のひらを見ると、鼻が折れて血が出ていた。
「どう?自分の血を見て絶頂しちゃったあ?鼻も折れちゃってまあ・・・。医者に鼻でも高くしてもらえよ。そうだ、どうせならカ◯ジみてえな尖った鼻にしてみようぜ!笑いも取れて人気者に返り咲けるぞ?」
余裕綽々でメスを捌き反撃も入れ、更には煽る元気がある羽柴に、水越の内には大きな怒りと少しの絶望が芽生えてきた。
「ああああああああああああ!!!」
狂乱しながらメスを振り乱したり突いたりしてくる水越。ここで殺さなければ、今までの赤による快楽の日々に終止符が打たれてしまう!
必死にメスを振るう今の水越には、二つの恐怖があった。一つは、美しい少女の流血が見れなくなること。もう一つは、目の前の狂人に身も心も壊されることだった。
「せいっ」
「うぐぁ!」
「よいさっ」
「ぶぶぁ・・・!」
それでも、どんな人間にも無慈悲に恐怖と痛みは降り注ぐ。羽柴は笑いながら水越の顔や体を殴り、蹴り、膝をつかせないようアッパーカットや上着を掴んで立たせたりして、ギブアップすらもさせないように嬲り続けた。
脇腹にレバーブロー。
左目にフック。
鳩尾や顎に掌底。
こめかみに肘打ち。
地面へ払い腰。
挙げ句の果てには解剖台に頭を叩きつけたりもした。その間、腫れ上がってよく見えない水越の視界には、悪魔のような狂悪な笑顔と嗤い声で、自分に暴力を浴びせ続ける狂気の体現者が見えていた。
「はいっとぉ!」グサッ
「ギャアアアアアアアアア!」
嬲り続けてテンションが最高潮になった羽柴は、最後に水越が落としたメスを彼の右手の甲に突き刺した。右手に、人間の肉を指した感触が伝わる。耳を貫く殺人鬼の悲鳴に、羽柴は天にも昇るような気分だった。
「ギャハハハハハアハハッ!・・・・・・あー疲れた」
「・・・・・・」
死んではいないが、極限まで肉体を痛めつけられた水越は床の冷たさを感じて、これで終わったと思い込んでいた。
だが、地獄はまだ折り返し地点だった。
「よし、最後の仕上げだ」
「・・・・・・・・・・ぇ?」
水越の心を完全な絶望が支配した。更なる地獄が来ることが確定したからだ。震える声で、羽柴に何とか問いかける。
「こ・・・これ以上、私にな・・・・・・にを」
「ここら辺の行方不明もお前の仕業だろ。そん時は、今回と同じく被害者に因縁のある奴を共犯にして自殺や事故を装ったってとこか。そのケジメがまだだぜ?」
「え・・・?」
羽柴は、近くに置いていた自分のリュックからあるものを取り出し、顔に装着した。その顔を見た水越は、本当に地獄の悪魔が顕現したと錯覚した。
「知ってっか?死ぬ時ってよ、寒くて真っ暗な世界が広がるんだってな」
これを書いている時の作者
「いいぞもっとやれ」